上田市は16日、市の庁内LANに接続したパソコン3台がサイバー攻撃でウイルスに感染したと発表した。日本年金機構(東京)が受けた攻撃と同じタイプで、メールに添付されたファイルを開くと感染する「標的型メール」による攻撃とみられる。市は庁内LANをインターネットから切断し、他に感染したパソコンなどがないか調査を続ける。現時点で個人情報などの流出は確認されていない。
市広報情報課によると、民間組織「JPCERTコーディネーションセンター」(東京)から12日、「庁内LANに接続した端末が不正通信をした可能性がある」と連絡があった。同センターがサイバー攻撃を受けた別の機関を調べていたところ、5月26日から今月3日に上田市の庁内LANを通じて不正アクセスされた形跡があったという。
ウイルスに感染して不正アクセスを試みるパソコンは15日までに、上田広域消防本部総務課で2台、同本部の上田中央消防署で1台見つかった。ネットを通じて遠隔操作されていたとみられ、同課は「外部機関を攻撃するため、上田市のパソコンやサーバーが踏み台として使われた可能性がある」としている。
同課によると、感染した庁内LANは情報系ネットワークと呼ばれ、職員のメールやネットを通じた職員間の情報共有などに使用。接続されたパソコンは約1500台あり、市は全てを対象に感染の有無を調べる。住民基本台帳や税務情報などを管理する基幹系ネットワークは別で、ネットにも接続していないという。
市は16日、県警にも通報。現在はネット接続を切断しており、外部機関との連絡はファクスなどを使っている。市役所で記者会見した宮川直・市総務部長は「最新のウイルス対策ソフトを導入していたが、感染を防げなかった。専門業者に依頼し、標的型攻撃を受けたことをチェックできるシステムの導入を検討したい」とした。