東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 東京 > 6月17日の記事一覧 > 記事

ここから本文

【東京】

終戦前後の出版物ずらり 根津で展示や入札販売も

披岸さんと、「航空少年」など1945年前後に出版された雑誌の数々=文京区で

写真

 太平洋戦争末期と終戦直後に出版された雑誌や本を集めた展示会「紙のプロパガンダ 1945年前後の雑誌や本」が十六日、文京区根津の喫茶・ギャラリー「りんごや」で始まった。少年雑誌や単行本など計数百点を入れ替えながら展示する。二十八日まで。 (井上圭子)

 主催したのは、店舗を持たないフリーの古物商「不思議(はてな)」店主の披岸外志男(ひぎしとしお)さん(63)。不用品の処分を依頼された台東区内の民家に、大切に保管されていたという。「戦時中の出版物がいかにして国民の戦意を高揚し、軍国少年少女を生んだか。戦後七十年の今だからこそ、多くの人に見て考えてほしい」と話している。

 入り口正面の棚に並ぶのは、一九四四年五月に創刊し、四五年六月に廃刊となった少年向け陸軍雑誌「若櫻」と海軍雑誌「海軍」(ともに大日本雄弁会講談社)。

 四一年十二月創刊の少年向け雑誌「航空少年」(誠文堂新光社)もある。戦中は特攻隊の手記や日本軍の戦闘機の紹介、軍歌の暗唱を呼び掛ける記事などが満載だったのに、四五年十一月の終刊あとがきで「『航空少年』は『農耕と園芸』として生まれ変わり、現下日本にとって最も重要なる農業に…」とあっさり内容の転向宣言をしている。

 ほかに、戦後に東京新聞社(現在の中日新聞東京本社)が「祖国復興」をテーマに募集した懸賞論文集や、戦後に子ども向けに出版された「米兵との話し方教室」といった冊子がそろっており、終戦を境に言論事情が大きく変化した状況が伝わってくる。

 正午から午後七時(最終日は五時まで)。入場無料。会期中、一部の展示品を古書として希望者に販売するための入札を行う。月曜日定休。問い合わせは、りんごや(根津二の二二の七)=電03(5685)2456=へ。

 

この記事を印刷する

PR情報