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クラウドの台頭やデジタル化の進展によって、企業においてIT部門が担うべき役割に変革が求められています。IT部門が担うべき役割についての調査結果からは、ビジネス貢献へと積極的に打って出たいという思いと、それが簡単ではないという現実が明らかとなりました。
ITRが毎年実施している「IT投資動向調査」の最新版では、IT部門の担うべき役割に関する調査項目を初めて追加しました。その結果、自社のIT部門が「現在担っている役割」と、「3~5年後に担うべき役割」をそれぞれ問うた結果を集計してみると、全体的に担うべき役割が縮小、分散する傾向がみられました(図1)。
このことから、既存システムの維持運用に加えて、グループやグローバルへの業務領域の拡大、セキュリティ対策やコンプライアンスへの対応、数多い開発、保守案件の遂行など実施しなければならない業務は増加する傾向にあるものの、人材は必ずしも増員されるわけではなく、抱えている業務で手一杯という状況であり、そこから何とか脱したいという意向を読み取ることができます。
特に、現在のIT部門が担っている中心的な役割である「システムの機能やパフォーマンスの改善」「システムの安定稼働/障害対応」「セキュリティ管理」といった「従来型機能」に位置づけられる項目は、調査時点では6~7割の企業でIT部門が担っているとしていますが、3~5年後にもIT部門が担うべきだと考えている企業の割合は3~4割と大きく落ち込んでいます。
ITをビジネスや業務で利用する以上、安定性や安全性、パフォーマンスに関わる要求水準が今後低下するとは考えにくいため、その役割自体の重要度が下がることはないと思われます。したがって、こうした「従来型機能」は中長期的にはクラウドの活用、専用性に優れた外部の事業者へのアウトソーシング、システムによる自動化などを推進していくことで社内の業務負荷を軽減したいという意向が反映されていると考えられます。
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