日本年金機構:生年月日や住所も…情報流出3種125万件

毎日新聞 2015年06月01日 21時51分(最終更新 06月02日 08時18分)

個人情報流出を受けた記者会見を終え、頭を下げる日本年金機構の水島藤一郎理事長(左から2人目)ら=厚労省で2015年6月1日午後6時14分、小出洋平撮影
個人情報流出を受けた記者会見を終え、頭を下げる日本年金機構の水島藤一郎理事長(左から2人目)ら=厚労省で2015年6月1日午後6時14分、小出洋平撮影

 ◇職員パソコンに外部からウイルスメールで不正アクセス

 日本年金機構は1日、職員のパソコンに外部からウイルスメールによる不正アクセスがあり、機構が保有する国民年金や厚生年金などの加入者と受給者の個人情報が外部に流出したと発表した。機構によると▽基礎年金番号、氏名、生年月日の3情報が約116万7000件▽同番号、氏名、生年月日、住所の4情報が約5万2000件▽同番号と氏名の2情報が約3万1000件−−の計約125万件に上るとみられる。相談を受けた警視庁は不正指令電磁的記録(ウイルス)供用容疑などにあたる可能性があるとみて捜査を始めた。

 機構によると、職員のパソコンにウイルスが入ったファイルが添付されたメールが届き、職員がファイルを開け、5月8日にウイルス感染が確認された。機構は契約しているソフト会社にウイルス対策を依頼するなどしたが、18日までに十数件メールが届き、ファイルを開いて感染が拡大した。19日に警視庁に相談し、捜査の結果、28日に約125万件の情報が流出していることが判明した。機構によると、これまでのところ情報が悪用された被害は確認されていない。

 個人情報は職員のパソコンと、LAN(構内情報通信網)ネットワークでつながるサーバーに保管されていた。ウイルス対策ソフトを使用していたが、ウイルスが新種で防げなかったという。保険料の納付や受給に関する年金情報の基幹システムである「社会保険オンラインシステム」への不正アクセスは確認されていない。

 機構の内規は、個人情報を記録したファイルにはパスワードを設定して誰でも開くことができないようにすることになっていたが、約125万件のうち約55万件には設定されていなかった。

 厚生労働省で記者会見した機構の水島藤一郎理事長は「お客様に万が一にも迷惑を掛けないよう、組織の全力を尽くして対応する」と陳謝した。機構は今後、情報が流出した加入者の基礎年金番号を変更し、受給などの手続きの際に本人確認を徹底するなど流出情報の悪用防止を図る。また、フリーダイヤル(0120・818211)で午前8時半〜午後9時、問い合わせを受け付ける。

 特定の企業や組織を狙ってウイルスを添付したメールを送りつける「標的型メール攻撃」について、警察当局が昨年1年間に防衛やエネルギー関連などの事業者を通して把握したのは1723件に上り、前年の約3.5倍に急増。犯人グループはメールを開封させることでパソコンをウイルスに感染させて機密情報を盗み出そうとしているとみられており、警察当局は警戒を呼びかけていた。【古関俊樹、金秀蓮、松本惇、長谷川豊】

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