韓国サムスングループの心臓部が凄腕の米ヘッジファンドに狙われた。病に倒れた李健煕(イ・ゴンヒ)サムスン電子会長(73)から長男の在鎔(ジェヨン)副会長(46)への体制移行を固めるグループ企業の合併計画に対しファンド側がノーを突き付けた。バトルは法廷闘争にもつれ込むなか、英経済紙フィナンシャル・タイムズはサムスンの世襲を「賞味期限切れ」と痛烈批判、先行きは波乱含みだ。
「サムスンの心臓部を狙う戦争が始まった」−。米経済紙ウォールストリート・ジャーナルは、サムスングループの株式をめぐる騒動をこう表現した。
問題になっているのは、サムスングループの事実上の持ち株会社、第一毛織が、建設業や商社ビジネスを手掛けるサムスン物産を吸収合併する計画だ。単なるグループ企業の再編というより、在鎔氏の世襲体制を強固にする狙いがあるとみられている。
というのも、第一毛織株の約23%を保有する筆頭株主は在鎔氏で、合併後の新会社でも同氏が筆頭株主に君臨することになるためだ。
サムスンは5月26日に合併案を公表、7月に臨時株主総会で承認を得て9月1日に合併するスケジュールだったが、そこに待ったをかけたのが米ヘッジファンドのエリオット・マネジメントだ。
同ファンドは6月4日、サムスン物産株の7・12%に当たる約1110万株を取得したと公表。経営参加が目的だとしたうえで、合併案について「サムスン物産の価値を大幅に過小評価しただけでなく、合併の条件も公平ではない」と強く反対した。