福島のニュース
  • 記事を印刷

<自主避難者>仮設提供終了、賛否相半ば

 福島第1原発事故の自主避難者への仮設住宅提供を2017年3月で終了すると福島県が決めた15日、避難者の間には「生活が苦しくなる」「将来を考えやすくなった」と賛否が相半ばした。除染など原発事故をめぐる行政の対応に不信感を抱く避難者も多く、今回の方針が住民帰還の後押しになるかは不透明だ。
 「打ち切られれば生活が成り立たない。政治の都合を優先した無責任な決定だ」。いわき市から都内に自主避難する非常勤講師鴨下祐也さん(46)は憤った。仲間とともに撤回を求め、国や県に要望を続ける。
 災害救助法に基づき、民間賃貸住宅などを活用した仮設住宅の提供は1年ごとに延長が決まっていた。福島市から新潟市に自主避難している村上岳志さん(39)は「将来設計が難しかった。古里に戻るか戻らないか考えやすくなった」と評価。一方で「生活再建策が不十分なら、避難者と県の信頼関係が崩れる」と丁寧な対応を訴えた。
 避難指示解除後も郡山市に残っていた川内村の農業矢吹一郎さん(86)は、無償提供終了と同時に村に戻る予定だ。「村の医療は貧弱で少し心配。除染廃棄物が残っていることを気にする住民もいるのではないか」と話した。
 住民帰還を望む首長は、決定を「一定期間の延長」ととらえて評価した。
 避難指示解除後、村民の6割が戻った川内村の遠藤雄幸村長は「帰村にはある程度の準備期間が必要」と歓迎。4735人が今も自主避難する郡山市の品川万里市長は「避難者が一日も早く戻ることを選択していただけるよう、環境整備に尽くす」とコメントした。


2015年06月16日火曜日

  • 記事を印刷

先頭に戻る