皇太子ご夫妻:東京の子育て支援施設訪れ親子と懇談

毎日新聞 2015年06月16日 18時53分(最終更新 06月16日 19時20分)

 皇太子ご夫妻は16日、「こどもの日」にちなんで東京都新宿区の子育て支援施設「ゆったりーの」を訪れ、親子と懇談された。今年、天皇、皇后両陛下から引き継いだ新しい公務で、9月の「敬老の日」前後の施設訪問と併せて秋篠宮ご夫妻と共に分担していく。

 ご夫妻はゆったりーの内で絵本の読み聞かせをしている場面を視察し、集まった約20人の親子と和やかに懇談した。3歳の長男と1歳の長女の母親(30)に雅子さまは「お弁当作りや(幼稚園の)送り迎えは大変でしょうね」「どんなお遊びが好きなんですか」と笑顔で話しかけ、皇太子さまは絵本を朗読した女性(32)に「愛子が小さい頃、私も読み聞かせをしました」などと感想を話した。

 この施設は親子の交流や子育て相談の場として2004年にオープン。0歳から小学校就学前の子どもや保護者が利用している。【真鍋光之】

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 「こどもの日」と「敬老の日」にちなんでの施設訪問は、両陛下が平成になってから始めた公務。毎年、首都圏の学校や老人ホームなどを巡ってきたが、両陛下とも高齢となったことから、今年から若い世代にバトンが渡されることになった。

 両陛下が二つの祝日にちなんで施設訪問を始めたのは1992年。天皇陛下が58歳、皇后さまが57歳の時だった。以後、天皇陛下が風邪でこどもの日の施設訪問を1度欠席したことがあっただけで、昨年まで23年間、続けてきた。

 だが、天皇陛下は今年の誕生日で82歳、皇后さまは81歳となる。天皇陛下は2013年12月の記者会見で「子どもとはあまりに年齢差ができてしまいましたし、老人とはほぼ同年配になります」と述べ、若い世代へ引き継ぐ考えを示した。

 皇太子さまも昨年2月の会見で「心を込めて、受け継がせていただきたい」と話し、秋篠宮さまは「次の世代に移行するというのが、ごくごく自然なこと」と語っている。

 山本信一郎・宮内庁次長は今月15日の定例会見で「両陛下はさまざまな施設を心を込めて訪問されてこられた。若い世代にその気持ちを引き継いでいってほしい、と切に願っておられるのではないか」と話した。