ライブやコンサートなどで音楽などを演奏する場合、著作者に著作権料の支払いが必要となります。
これは他人の著作物を使用してお金儲けをするわけですから、著作者にいくらかが還元されるべきであるからです。
営利を目的としない上演とは、観客から料金を徴収せず、かつ出演者にも出演料などで金銭等の支払いをしない場合を言います。
この場合は著作者に許可はいりませんし、著作権料の支払いも必要ありません。
ただしその著作物がすでに公表されている(不特定多数に公開されている)場合に限ります。
無料で使える例をいくつか挙げると、
非営利であり、無料かつ無報酬であることが条件です。
著作物を利用することによって誰も金銭的な利益を得ない場合に無料で使用できます。
出演者への報酬の支払いはダメですが、交通費・弁当代、宿泊施設代などの実費程度であれば支払っても問題ありません。
ただしそれを超える分は無報酬とは見なされないのでNGとなります。
宣伝のために無料でCDやDVDを流すというのは、CDやDVDの売り上げをアップさせる目的ですので非営利にはなりません。
お店などの店舗でBGMを流すなどの場合は認められません。
店舗などに来るお客はBGMに対してお金を払うわけではないですが、店側がBGMを流す目的はイメージ作り、雰囲気作りを行うことで集客をアップさせるためです。
このことが「営利目的」となるため非営利にはなりません。
ただし露店などで短時間BGMを利用する場合や福祉施設、医療施設での利用、事務所や工場などで従業員のみを対象とした利用であればJASRACは使用料を免除するとしています。
http://www.jasrac.or.jp/info/bgm/index.html
喫茶店等にテレビを置いて客が視聴できるようになっているところがありますが、テレビやラジオ放送はそのまま客に見せることが認められています。
この場合はたとえ営利目的であってもOKです。
(著作権法38条第3項)
この場合に使用できるのは「家庭用受信装置」を用いての伝達です。
家庭用受信装置とは単純にテレビやラジオを指します。
これ以外のものは使用できませんし、出来るのは「伝達」だけです。
たとえばHDDレコーダーに録画したテレビ番組を客に見せることはできません。
(録画は複製行為に当たる)
非営利目的であれば、「受信装置」を用いて公衆に伝達することができます。
「受信装置」と「家庭用受信装置」の違いは著作権法上は明確ではありませんが、一般家庭では用いられないような特別な機材を使用する場合と考えられます。
ただし非営利目的であっても、大型スクリーンを用いてテレビ放送を伝達することは放送事業者の権利(著作隣接権)を侵害することになるのでできません。
公表された著作物は、非営利目的であれば公衆に対して貸出ができます。
「非営利」の定義は非営利での上演の場合と同じです。
図書館がタダで本を貸出できるのはこの例外規定があるためです。
ただし映画の著作物は非営利であっても貸与できないと定められています。
(映画の著作物とは動画全般と考えてください)
非営利での上演等で認められているのは「上演」「演奏」「口述」「上映」、あるいは「(テレビ、ラジオを用いての)伝達」「貸与」です。
これ以外はたとえ非営利目的であってもできません。
複製や公衆送信などは非営利でも認められていません。
いくら非営利だといってもコピーしてタダで配ったりネットにアップロードするのはダメということです。
厳密にいえば公衆送信できる規定もあるのですが、一般人にはほとんど関係のないようなケースでの話なので割愛します。
少し話がそれますが、非営利でもネットにアップロードするのは認められないと書きました。
これはあくまで許可を取らない場合であって、事前に許可を取れば問題ありません。
Youtubeやニコニコ動画などの有名動画サイトはJASRAC、e-License、JRCの3つの著作権管理団体と事前に契約を結んでいます。
契約の内容を要約すると
というものです。
上記の著作権管理団体は楽曲の著作権を管理していますが、CDには著作隣接権という演奏者やレコード製作者の権利が含まれています。
(⇒著作権の種類参照)
JASRACなどが管理しているのはあくまで楽曲自体の著作権だけで、著作隣接権までは管理していません。
管理していない権利を他人に対して許可を出すことはできないので、CDの使用許可までは契約によって許可されていません。
(著作隣接権はレコード会社が持っています)
つまりYoutube、ニコニコ動画に投稿可能なものは
などです。
他人の演奏であってもその演奏者の許可があれば問題ありません。
たとえば個人製作の曲で、その作者自身が許可を出している場合は動画サイト等で利用することができます。
またニコニコ動画はいくつかのレコード会社と個別に契約を結んでいて、CDの利用までを可能にしています。
使用可能な曲は以下のURLから見ることができます。
http://license-search.nicovideo.jp/
このようにあらかじめ許可されている使用方法であれば著作権法は気にすることなく許可された範囲で著作物を利用することができます。