「利益が出るまで7年。それが良かった」 クックパッド創業者・佐野陽光氏が語る、お金がなくてよかった話
『公益資本主義』アントレプレナー・イニシアティブ決起集会において、C Channel・森川亮氏、サイボウズ・青野慶久氏、クックパッド・佐野陽光氏、面白法人カヤック・柳澤大輔氏が登壇し、「公益資本主義」をテーマにこれからの会社のあり方について意見を交わします。本パートでは、会社の評価制度や経営者の役割についてIT業界の第一線で活躍する経営者の面々が回答していきます。(『公益資本主義』アントレプレナー・イニシアティブ決起集会より)
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『公益資本主義』アントレプレナー・イニシアティブ決起集会 2015年6月1日のログ
- スピーカー
- C Channel株式会社 代表取締役社長 森川亮 氏
サイボウズ株式会社 代表取締役社長 青野慶久 氏
クックパッド株式会社 創業者取締役 佐野陽光 氏
面白法人カヤック 代表取締役社長 柳澤大輔 氏
株式会社54 代表取締役社長 山口豪志 氏
人事評価の方法が会社のオリジナリティを定義している
山口豪志氏(以下、山口):非常に自己紹介からウルウルするようないい内容だったんですけども。ちょっと2つ目は、早速皆さんの会社の中で取り入れてらっしゃるような、いわゆる仕組みというかルール、こういったところをぜひ伺っていきたいなと思っております。
実は先日、柳澤さんとご飯に行ったときに非常に共感したキーワードがあって、会社の評価軸っていうのが、いわゆる会社のオリジナリティを定義しているっていうお話を伺って非常に共感したんですけども、ちょっとぜひそういう話も含めて、柳澤さんお話いただければと思います。
柳澤大輔氏(以下、柳澤):はい。さっき公益資本主義に絡めるって言って、絡めないままバトンタッチしてたのを聞きながら思い出したんですが、あとでその話は出てくると思うんですけども。
今、評価の話ですよね? その前に忘れないうちに最初に言っとくと、さっき佐野さんが言ったように、株主が短期の思考でみるので、それによって会社が右往左往しちゃうので、長期で株を持ってくれた人に対しての議決権があるとか、配当も長期で持ってれば持ってるほど多くもらえるっていうような「長期の視点」で見ていくっていうことがまず1つ。
山口さんと飲んだときに「もうその通りだな!」と思って、1番共感ポイントだったんです。これが具体的だなと思って。これ、なぜそう思ったかって、我々クリエイティブの世界でやっぱり会社をやってますので、クリエイティブはもう時間軸が結構長いんです。
ブランド1つ作るのに短期理念でできなくて、結構長いスパンで見ないと本当にいいものは作れないので、そこに時間軸を、長いスパンのものさしで会社を評価する、経営者を評価するっていう軸が加わるだけで、だいぶ違うなっていうのが思ったところです。
サイコロ給は「他人の評価を気にしすぎるな」というメッセージ
柳澤:そういうことも取り入れてるんですけど、今のたぶん、サイコロ給の話だと思うんで、理念の話と少し絡んできてますけど、こういう会社にしたいというふうに考えたときに、その部下を作るのは何かというと、ほぼ評価なんです。
仕事というのが評価そのものだからなんですけども。取引先の評価、部下の評価、上司の評価、お客さんの評価すべて、評価に繋いであげてるんです。これは、なぜそう思ったかと、僕が社会人になって1番気持ち悪かったのは「結構評価を気にして生きていかなきゃいけないんだな」っていうのが、社会人になって1番最初の学生とのギャップだったんです。
そこから評価について考えるようになって、いろいろ調べたんですけども、いわゆる「報酬という評価」と、もう少しまた違った「報酬と連動してない評価」なんかもありますけども、どちらにしろ「評価」というものが会社の文化を作るので、そこで1番最初に導入したのが「サイコロ給」という仕組みだったんです。サイコロを振って給料を決めるという仕組み。
これは最初は友達同士で始めたので、「お金でもめるよ」って言われたんで、じゃあもめないような初志貫徹の思いを込めるか、っていうことで、サイコロ給って導入しましたけれども。
考えてみると、その評価というものの最たる報酬評価の制度の中に「一切評価しないという評価」を入れたわけです。これはかなり衝撃的で、よくよく考えると、かなり最先端だと思うんですが(笑)。全く評価をしない評価を入れたということは、それが1つのメッセージで、「他人の評価を気にしすぎるな」というメッセージです。
おもしろく働くためには、他人の評価を気にしすぎるとおもしろく働けなくなっちゃうんです。なので、少しそういう要素を入れる。全部サイコロだとまずいんですけど。数パーセントそういうことを入れることで、そういう世界に繋がっていくってことがあっておもしろく働く。面白法人から生まれてきてるものなんですけども。
経営者も他社の評価を気にし過ぎる
柳澤:「これもよくよく正しかったな」って17年やってきて思うのは、例えば世の中の失業率は自殺率にほぼ比例してます。失業率が上がれば自殺率が上がっていくっていう。つまり会社でも仕事上使えない。
これはスポーツでいうと戦力外通告みたいなものですけど、それ自体は人間を否定されたものではないんだけども、仕事上は厳しいって話になってるんです。そうすると、全人格を否定されたかのようになって、そういうところまでいってしまうことまで行くと、少し評価が厳しすぎるんだと思うんです。
経営者もすごく評価をされる軸があって、時価総額であったり、そういったとこ評価の軸に加わるから、そこには一生懸命頑張る性質が経営者なので、そこでどうしても行き過ぎてしまうとか。
あとは先ほどの話をちょっとしますけど、「どこの誰が何億調達した」とかになると、他人と比較し合っちゃうので、これサイバーの藤田さんも言ってましたけれども、自分の会社が薄々「ここまでの価値がないな」と思っていても、他の会社がそこまでの価値になると「あいつが今そこまで行くなら俺も行くだろう」って話で。
どうしても他人と比較して評価しながら、そういう方向に行ってしまうというとこからいくと、「他社の評価を気にしすぎない」ということは、カヤックの「おもしろく働く」ということは担保してきたんで、そこは多少公益資本主義と近いところもあるのかな、とういう話です。そんな感じになります。