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【堀江貴文氏インタビュー】一つところにとどまって満足するエンジニアを、僕は信用しない。

2015.06.15 Category:ギーク・インタビュー Tag: , ,

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CodeIQキャンペーン「ホリエモンからの挑戦状 総額100万円!現金山分けチャレンジ!」で特別問題を監修してくれた堀江貴文さん。

インタビューでは、ITエンジニアへのあふれる思い、コードへの関心について語っていただきました。
by 馬場美由紀 (CodeIQ中の人)

新しい言語を覚えるのにお金は要らない。ただ心を集中し、始めればよい

エンジニアって、もともと新しい価値を自分の手で生み出して、それを世の中に提示できる人ですよね。普通の人ができないと思うことを、例えばITエンジニアだったら、コードを書くだけで実現してしまう。それだけでもリスペクトすべき仕事だと思うんです。

とはいえ、コードを書くって、実はそんなに難しいことじゃない。僕自身、12歳の頃からプログラムを書いていたし、オン・ザ・エッヂやライブドアの初期の頃は経営者であると同時にばりばりのエンジニアでしたから、これは僕なりの実感なんです。

僕自身が優秀なプログラマだったかというと、そんなことはないと思うけど、少なくともコードを見ればこの人、すごいかどうかっていうのはわかるつもりです。

プログラムの勉強を始めるのに、最初からスキルなんて必要ないですよね。教育投資という意味のお金だって、そんなには要らない。いっとき集中力を発揮して、熱中すれば誰にだって覚えられるもの。だから、なぜみんなやらないのかなあと、いつも思っていますね。

と同時に、エンジニアはエンジニアであるからこそ、一つの領域に止まっていることはできない、そういうタイプの人々だろうとも思うんです。

新しい言語が登場したらとりあえず触ってみる。仕事で使うかどうかなんて関係ない。新しい世界が目の前に広がっているのに、そこに手を出さないのは、もったいないじゃないですか。

たかだか新しい言語や技術を覚えるのに、人生賭けちゃうほどの重大な決断は要らないんですよ。

ロケットエンジニアが、ビットコインに関心を持つ素晴らしさ

僕の周りのエンジニアもみんなそういう人ばかりですね。ロケット開発を手がける僕らの会社に、ボランティアで最初は参加していたロケットの姿勢制御のプログラムを書いている人がいるんだけれど、この前、聞いたら本職はiPhoneアプリ開発なんだって。

へえ~と思って、僕が別の会社で関わっているスマホアプリの改修をお願いしたら、次の打合わせのときはもうプロトタイプができ上がっていました。

その人の制御プログラムでは、ジャイロセンサーから出力されデータをHTML5で加工して、ロケットの軌道を画面にグラフィカルにプロットすることができます。

リアルタイムのデータ処理のために自分で電子回路基板も設計できて、それにつなぐモーターのプロトタイプなんかも、3Dプリンタを使ってその場で作っちゃう人。ソフトウェアエンジニアなのに、ハードもわかる。金融や経済にも興味がある。そういう人は他にもいますよ。

JAXAのあるプロジェクトのプロマネやっている知人には、この前突然、「堀江さん、ビットコインのマイニングやってみたいんだけれど、どうかな?」って聞かれました。

衛星エンジニアがビットコインですよ。普通はなんで?と思うじゃないですか。けれど、そういうモノゴトへの多次元的、多層的な関心って、優れたエンジニアなら当たり前のことだと思うんです。

だから、「エンジニアの中には一つのことを覚えると、ずっとそれにこだわりすぎて、視野が広がらない人がいる」という話を聞くと、逆に僕ビックリしちゃうんです。ワケわかんないですよ、そんなの。それってエンジニアなんですかと。

関心領域が境界を越えて広がるエンジニア。そういう人と仕事をしたい

世の中の他の経営者は知らないけど、僕に限っていえば、こういう技術領域への関心がめちゃくちゃ広いエンジニアとは、今でも一緒に仕事をしたいですね。

かつてのライブドアにはそういうエンジニアがたくさんいました。例えば、今はLINEの上級執行役をやっている池邉智洋君。経営にも明るくて、きちんと納期通りに成果物を上げてくるタイプのエンジニア。

今は自分ではコードを書かないみたいだけれど、新人エンジニアにバカにされないように、個人的にはSwift使ってアプリを書いてると言ってましたね。やはりエンジニアの魂はいくつになっても、そう簡単に忘れるものじゃない。

あるいは、宮川達彦君。彼は池邉君とちょっと違って、納期通りに上がってこないこともあるけど、すごい発想力のあるタイプ。なかにはこの2つのタイプを一人で使い分けることのできる人もいましたが、ま、両極端あっていいと思うんです。それを使い分けるのがマネージャーであり、経営者の仕事ですから。

あと皆さんご存知の、小飼弾さん。彼は一種のカリスマタイプのエンジニアですね。こういうカリスマが一人いて、技術の核を作ると、そこに自然にすごい才能が集まって来て、それが結晶化していく。僕がライブドアで眼前にしていたのは、そういうエンジニアたちのコミュニティでした。

ライブドアを離れて一番困ったのは、池邉君や宮川君のような人と仕事ができないこと。どこかにそういうレベルのエンジニアがいたら、ぜひ紹介してほしいんだけれど、なかなか見つからない。

いや、たくさん人は集まってくるけど、本当に優秀な人は、いつだってほんの一握りですから。膨大な数の人たちをスクーリングするのが大変。CodeIQのような、コーディングの力試しを通して人材をセレクトできるような仕組みがあると、それがもっと楽にできるんでしょうかね。

ほんと、僕にとってお金を集めるのはそんなに苦労じゃないけど、人を集めるのは今でも苦労しています。

自分の工夫で限界を突破した人は、いつまでも強い

この前、UIEvolutionの中島聡さんとお話しして、この人ほんとすごいなと感心しました。カリスマ的な伝説のプログラマだけど、今でも毎日コードを書いている。しかもそのコードの美しいこと!

学生時代に世界初のパソコン用CAD「CANDY」を開発した頃の話は特に面白かった。メモリ空間の少ない環境で、AからBにいかに速く直線を引くかに、一心不乱で力を注いだ。これは並大抵のことではないですよ。

こういう時代に自分の工夫で限界を突破した人というのはやはり今でも強いですね。だって、中島さんの頃に比べたら開発環境はずっと豪勢になったけど、それでも技術的な難関は常にあるわけでしょ。

例えば、iPhoneアプリ書くのに、Appleが提供するAPIだけ使っていると、どうにも動作がもったりする。だったら、自分でライブラリ書いちゃったほうが速いって、カリカリとチューニングを始めることができるかどうか。

ライブ配信の「ツイキャス」を作ったモイの赤松洋介さんも似たような話をしてたな。ツイキャスって回線が遅くなった時は、音声パケットを圧縮して流す。そのためには、ハードウェアにより近いところで低レベルのAPIを叩かないといけない。

そういうチューニングはいつの時代にも必要で、そうした作業を通して、エンジニアは力をつけてくるものだと思うんです。

HTML5だってそうじゃないですか。一番上のレイヤーで動いているから、ちょっとしたコードの違いで処理スピードが全然違ってくる。HTML5でどういうコードを書いているかで、その人のスキル、経験の幅を感じることができるんです。

プログラム高速化のために、アルゴリズムから考えよ

僕のライブドア時代は、アドテック(Web広告技術)の第一世代。その領域では僕も一エンジニアとしてチャレンジを重ねました。

例えば、サイバーエージェントと一緒に作った、クリック連動型の広告表示システム「サイバークリック」。画像キャッシュサーバーと、フロントエンドの広告表示システムが連動するんですが、RDBは遅いから使わない。

あえて、基本はKVSと一般的なUNIXのファイルシステムだけで作り、そのエンジンをすごい量のサーバーにずらっと並べて、超高速表示を可能にしました。最後の広告表示エンジンのモジュールだけ、カリカリチューニングする。その方が、メンテナンスがしやすいですしね。

その頃は検索エンジンも自主開発していたんですが、なぜか、広告表示では取り入れたサーバーによる並列処理みたいなことはやらなかった。なんだろう、やはりエンジニアとしてコードで勝負だ。速いコードを書くのが先決だと思い込んだところがあったんでしょうかね。

それと株式を上場していたので、研究開発よりも何よりもまずは利益を上げないと投資家たちが納得しない。そういうプレッシャーがたしかにありました。

利益を上げるため、実は自主開発より、受託開発のほうが手っ取り早い。だからあの頃は受託開発の比率はずっと高かったんです。

今思えばですけど、そこそこ速いシステムを作って、安いサーバーを大量に買ってそこに突っ込んでいたら、もしかしたらGoogleのようなリアルタイムの検索連動型広告表示システムが、世界で最初に作れたかもしれない。惜しいことをしました(笑)。

いずれにせよ、方法はどうであれ、システムやプログラムの高速化は、エンジニアにとっては一種の宿命のような課題です。そこにどう取り組むかで、その人のエンジニアとしての態度や実力がわかる。

今回はそんな観点から問題を監修してみました。普通に総当たりで計算するとすごく時間がかかる。それでは困るから、どこかでチューニングしないといけない。そういう問題になっていると思います。もしかすると、アルゴリズム的な発想も必要になるかもしれません。

今はプログラミングの世界も大変便利になって、アルゴリズムを意識しなくても一通りのコードは書けます。

しかし、アルゴリズムが用意されていない時代には、ガリガリと自分でアルゴリムを考えなくちゃいけなかった。そういう人たちが大勢いた、ということは肝に銘じてほしいと思います。その格闘を通してエンジニアは成長してきた。だからこそ、人々の尊敬を集めることができたんだと思います。

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堀江 貴文氏
SNS株式会社 ファウンダー

1972年、福岡県生まれ。現在は自身が手掛けるロケットエンジン開発を中心に、スマホアプリ「TERIYAKI」「755」のプロデュースを手掛けるなど幅広い活躍をみせる。HORIEMON.COMの人気コーナー「WITH」では『テクノロジーが世界を変える』をテーマに、各界のイノベーター達に堀江自らがインタビュアーとなり取材したものを連載中。有料メールマガジン「堀江貴文のブログでは言えない話」の読者は1万数千人の規模に。2014年8月には会員制のコミュニケーションサロン「堀江貴文サロン」をスタートした。近著に『我が闘争』『ゼロ』など。
Twitterアカウント:@takapon_jp
その他、詳細はHORIEMON.COM

──執筆:広重隆樹 撮影:平山諭 取材協力:ITクリエイターのためのコミュニティスペース「TECH PAAK LAB

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