100年続いた価値観が変わるとき――マクドナルドとコカ・コーラの場合

米国のアイコンともいえる2つのブランドが、いま、大きな転換期を迎えている。マクドナルドとコカ・コーラは、20世紀の、とくに第二次世界大戦後の米国の繁栄を象徴するブランドであり、米国の覇権が世界に広まるとともに世界市場に広まっていった。だが、21世紀の新しい環境のなかで、変化に対応することの難しさが表面化している。

 

日本市場を例にとれば、たしかに、日本のマクドナルドの売上が急落したきっかけは、2014年7月に、中国工場で期限切れの鶏肉の使用が発覚したこと、ついで、追い打ちをかけるように、2015年初めにチキンナゲットにビニール片が入っていたといったような異物混入の苦情があいついだことにある。だが、こういったことは、消費者が納得するかたちで問題がすみやかに解決され、消費者の信頼を取り戻せば、一時的な売上減少ですむ可能性もある。

 

しかし、マクドナルドの問題は、もっと根本的なところにある。消費者の食べ物に関する価値観が変わってしまったことだ。

 

世界の先進国市場において、健康志向が高まり、国民の3割が肥満といわれる米国でも2014年には過去10年間で最大の売上減少が起きていた。米調査会社テクノミックによると、毎月マクドナルドに通う19歳~21歳の割合は、この3年間で、82.4%から69.5%に減っている。

 

高カロリーの肉中心のファストフード・チェーン店に代わって人気を呼んでいるのが、食の安全や健康志向を強調しているファストカジュアルと呼ばれるチェーン店だ。ファストフードとカジュアルレストランの中間といったような意味でファストカジュアルと呼ばれる。2000年代末ごろから、とくに18歳~34歳くらいの若者層の人気を得るようになった。

 

そのなかでも一番人気の「チポトレ・メキシカン・グリル」は、抗生物質不使用の肉や有機栽培の野菜を積極的につかい、新鮮な素材をその場で調理する。1993年の創立だが、2015年現在1700店舗を展開し、2014年度の売上は40億ドルを超した。2010年度の売上は18億ドルだから毎年20%前後の売上増を達成していることになる。

 

皮肉なことに、このチポトレを育てあげたのは、マクドナルドなのだ。1998年当時、まだ16店舗しかなかったチポトレに出資し、その後、筆頭株主になっている。マクドナルドの資金のおかげでチポトレは2005年には500店舗を展開するまでになり、2006年に上場。IPOは大成功で、そのタイミングで、マクドナルドは持ち株を売却している。結果的には、約3億6000万ドル投資して15億ドルを手に入れたことになる。投資としては良い投資だったかもしれないが、マクドナルドはチポトレを買収して子会社とするべきだったと考えるアナリストもいる。

 

なぜなら、マクドナルドが低迷している業績を改善するためにどのような再建計画をたてようとも、価値観の変わった消費者を取り戻すことはできない。

 

たとえば、米国マクドナルドの再建策には、(1)直営店を売却し、フランチャイズの割合を現在の81%から90%に引き上げることによるコスト削減、(2)グローバル市場の管理体制を、現在の地域別から、市場の状況別(成熟市場とか新興国の成長市場といったような状況)に変える、(3)客が具材を自分で選べるパーソナライズされた(オーダーメイドの)ハンバーガーの提供、(4)抗生物質を投与した鶏肉の使用を2年以内に停止、成長ホルモン剤を投与していない乳牛の牛乳に切り替える……などが含まれている。

 

が、こういった再建策は根本的問題解決にはならないというのが一般的意見だ。

2015年06月15日

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