今国会の最大の焦点である安全保障関連法案に逆風が吹き荒れ、同法案の今月中の衆院通過が危うくなっている。首相・安倍晋三のやじ、自民党推薦の参考人までが衆院憲法審査会で「同法案は憲法違反」と断じたことが集中砲火を浴び、加えて年金情報の流出が国民の政府不信を招いている。
このため、法案審議が滞り、成立させるためには今月24日で切れる今国会の大幅な会期延長は必至だ。しかし、だからといって、安保法案が今国会で成立しないことはあり得るのだろうか?
法案、難解でも…
安保法案の最大の弱点は分かりづらさにある。法案は抽象的な概念の羅列で、自分の身に引き寄せて考えるのが非常に難しい。具体的事例を挙げて説明しようとすると、中国を仮想敵国とすることになり、政府は中国を例にして説明することができない。
南シナ海の南沙諸島における中国の岩礁埋め立てを見れば、中国の脅威が高まり、この脅威に米国一国だけで対処できなくなっている。だから、日本が「一国平和主義」にとどまらず、国際的役割を果たさなければならなくなっていることは、なんとかのみ込むことができる。
しかし、自衛隊が出動できる状況を定義している5つの事態のうち、とくに「存立危機事態」、「重要影響事態」の区分けが分からない。
前者は「他国に対する武力攻撃によって日本の存立を脅かす事態」。後者は「日本の平和と安全に重要な影響を与える事態」となっている。だが、「存立を脅かす」ことは「平和と安全に重要な影響を与える」のと、どこがどう違うのだろう。
このため、賛否を問われたなら、にわかに賛成するとは言い難い。だが、法案の成否を問われたならば、以下の理由から成立する可能性が高いと見ている。
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