3年前に発見された新種のウイルスが、韓国で猛威を振るっている。風邪と症状は変わらない。咳き込んでいる人が隣にいたら、気をつけたほうがいいかもしれない。日本に飛び火するのは時間の問題だ。
ワクチンも治療薬もない
パニックの始まりは、一人の男性だった。
農業設備の企業に勤務する韓国人男性Aさん(68歳)は、今年4月18日から5月3日まで、仕事のためにバーレーンやサウジアラビア、アラブ首長国連邦を訪れていた。5月4日、カタールを経由して韓国・仁川国際空港に到着。そのときは、とくに身体の異常は感じていなかった。
だが、帰国後1週間を過ぎてから熱が上がり、咳が出てくる。「風邪かな」と思い、病院へ行って外来で診察を受けるが、症状は改善しない。その後、別の病院へかかって入院することになった。治療をしても熱が下がらず、原因が特定できなかったため、その後も、Aさんは転院を繰り返す。
そして4番目に訪れた病院で、Aさんは初めて「中東を訪問していた」と医師に告げる。それを聞いた病院スタッフは、慌てて検査を実施した。数日後の5月20日、韓国の国立保健研究院の調査により、ようやくAさんは「MERS(中東呼吸器症候群)」と診断された—。
AさんのMERS感染が確認されてから2週間あまり。韓国での感染者は35人にまで膨れ上がり、2名が死亡した。Aさんと病室を共にした患者、見舞いに来た家族、病院スタッフらに次々と感染が確認されたのだ。感染者の周囲2m以内に近づいた人々を隔離対象としているが、その人数は1300人を超えた(6月4日現在)。
韓国が、大混乱に陥っている。
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