自転車で危険な乗り方をした運転者に安全講習を義務づける新たな制度が今月、スタートした。
「危険行為」に指定されたのは酒酔い運転や信号無視など14項目である。
制度導入をきっかけに自転車の安全運転の意識を高め、事故防止への取り組みを強めたい。
制度の対象となるのは14歳以上だ。警察官から指導・警告を受け、従わないときや危険性が高い場合は交通切符が交付される。
3年間に2回以上交付されると、3時間の講習を受けなければならない。受講しないと5万円以下の罰金が科される。
制度導入の背景には、深刻な自転車事故が後をたたないことがある。
警察庁によると、昨年1年間に起きた交通事故の約20%に当たる10万9269件に自転車が関係し、うち542件は死亡事故だった。
この間、自転車利用者への交通切符の交付は7716件に上り、悪質な違反は年々増えている。
鹿児島県内でも昨年、発生した自転車関連事故は716件で、うち4割以上が自転車側の法令違反だったという。
今回の制度で指定された危険行為には、一時停止違反や歩道での歩行者妨害が含まれる。
同様にスマートフォンを使ったり、イヤホンで音楽を聴いたりしながら自転車を運転し、事故を起こした場合も摘発される可能性がある。
いずれも街角でしばしば見掛ける光景である。警察にとがめられるまでもなく、事故につながりかねない危険運転だと自覚すべきだ。
自転車事故の撲滅へ向けては、子どものころからの安全教育が欠かせない。
警察による交通安全教室はもとより、学校現場や家庭、地域との連携が鍵になる。
鹿児島市には児童にヘルメットを着用させる小学校もある。自分の身は自分で守るという意識を高める工夫が必要だ。
万一の事故にも備えたい。自転車と歩行者の衝突などで高額賠償を命じられる判決が全国で相次いでいる。県PTA連合会の自転車保険加入者は2014年度、前年度より約1200人増え、2万7000人を超えたという。
保険加入への関心が高まることは望ましい。自転車は手軽な乗り物だが、危険な運転が招く悲劇は自動車事故と変わりない。
安全運転の手本を、子どもたちに示すのは大人の責任である。根気よくルールの徹底を図りたい。
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