【日本ハム】矢野、涙の移籍1号!「憧れ」大谷のため「マジ気合で」逆転3ラン
◆交流戦 日本ハム3─1DeNA(14日・札幌ドーム)
“気合の戦士”が、新天地でまたも大仕事をやってのけた。巨人からトレードで日本ハムに移籍した矢野が、1点を追う6回1死一、二塁で今季1号の逆転3ランを放った。持ち前の勝負強さを発揮し、移籍3試合で2度目のお立ち台で目を潤ませた。これでチームは中畑DeNAに3タテを食らわせ、リーグ&交流戦で首位をキープ。16日の阪神戦(甲子園)で引き分け以上なら、交流戦首位が決まる。
笑顔で上がったはずのお立ち台。だが、第一声の前に矢野の目は、真っ赤になっていた。
「今までだったら打席にも立てなかった。(相手が右投手に代わったところで)代えられていたと思う。あそこでいかせてもらって…絶対打ってやろうと。マジ気合で打ちました」
1点差を追う6回1死一、二塁。マウンドは左腕の砂田から右の平田にスイッチした。巨人時代の13年には球団新の「代打安打19本」を記録。だが、逆に最近は好機で代打を送られることもあった。常勝軍団で味わった悔しさと、一振りにかける思いが交錯した。
実は平田とは巨人時代の昨年4月2日、DeNA戦(横浜)で対戦している。4点を追う8回1死一、二塁から代打で登場し左前安打。満塁とチャンスを広げ、この回一気の「10得点逆転劇」を演出した。
「イメージや球の軌道は頭に入っている」。初球。真ん中に入ってくるスライダーをフルスイングした。左翼ポール際へ飛び込む逆転3ラン。13年8月22日のヤクルト戦以来、2年ぶりの一発だった。「真芯で最高でした。(ダイヤモンド一周は)興奮して、あまり覚えていない。打席に立てることが本当にうれしくて、うれしくて。感謝しかないです」
移籍1号は父親のプライドでもあった。自宅に残した8歳の長男・丈太郎くん。休日のキャッチボールは親子の楽しみだった。それだけに急きょ決まった移籍を、どう受け止めるか心配していたが、思いのほか大喜びされた。「とにかく息子が大谷君を大好きで。僕も憧れの投手。初めて間近で見られて本当にうれしかった。すごい投手。彼が投げる試合で打てて最高の報告ができる」
栗山監督は「勝負どころで1球で仕留める。ホントに若い選手の見本」と絶賛した。チームは札幌Dでは今季初の同一カード3連勝。リーグ首位キープで貯金は最多14。16日の試合で引き分け以上なら交流戦首位も決まる。
「今まで感じたことのない、いい疲労です。今までと違った興奮もある。チームに必要とされてきた。その気持ちに応えたい」。移籍後3試合で2度のヒーローインタビュー。この日も絶叫した「ファイターズ最高!」は、もう決まり文句だ。北の大地に矢野謙次がいる。(小谷 真弥)