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 民事裁判を起こしたように装い、判決文を偽造した疑いのある大阪弁護士会所属の男性弁護士(58)が13日、朝日新聞の取材に応じ、「裁判をしても勝ち目がないと思ったが、依頼人にそう説明すると怒られるので裁判をやっているように装った。ばれないと思った。申し訳ない」と偽造を認めた。大阪地検特捜部は有印公文書偽造・同行使の疑いで事情を聴く方針。

 弁護士は2010年まで約10年間、大阪府内の機械製造会社の顧問を務め、05年以降、社長から民事裁判5件の代理人業務を頼まれた。「勝てば賠償金は全額やると言われた。勝っても負けても依頼人に金を渡す必要はないと受け止め、訴訟を起こさなくてもばれないと考えた」と話した。

 偽の判決文はパソコンで作り、別訴訟の正規の判決文をコピーしたうえで裁判所の職印を切り取って貼り付けたと説明。大阪地裁名義の判決文1通、地裁堺支部名義の判決文と決定文各1通の偽造を認め、「裁判官の名前を知りたいと依頼人から迫られ、つい作ってしまった」と述べた。

 社長は着手金や顧問料計約1700万円をだまし取られたとして提訴したが、弁護士は「着手金は受け取っていない」と主張。受領額を争う考えを示した。(坂本純也、川田惇史)