純血種ほど環境変化に弱い!
日本はもっとオープンに、ダイバーシティを取り入れよ

2015年06月15日(月) 田村 耕太郎
〔PHOTO〕gettyimages

東京は世界一ファンタスティックな街だが・・・

1時間の講演料が約7,000万円ともいわれるトニー・ブレア氏。私はLAで彼と会食して2時間ちかく独占したので、ざっと1億4,000万円くらい払わないといけない計算になる。

その小規模な夕食会で面白かったのは、マイケル・ミルケン氏から急に振られて、各参加者がアドリブで演説をしないといけないことだった。なにせいつ振られるかわからないので、プレゼンが得意そうなリーダーたちもリラックスしてステーキを楽しめる雰囲気ではなかった。

私も急に「ミスター田村、日本についてなんでもいいから話してくれ!」と振られ、アメリカの固い肉がのどに詰まりそうになりながら、どうにかこうにか日本を売り込んだ。話し終わるとブレア氏から「グッジョブ!」と言われたので、少しだけ自信になった。

ブレア氏もミルケン氏の無茶振りにあった。今の彼の立場では非常にセンシティブなテーマが無茶振りされ、スピーチの名手も困惑。そんなところが、なんとも可愛いらしく、大いに盛り上がる。その後、超オフレコで本音を話してくれたのだが、これは英国、そして欧州の未来について、投資家はもちろん、投資家でなくても誰もが一番知りたいことだった。

このLAでの酒席では、ブレア氏を含め世界のリーダーたちがこぞって私に本音を聞かせてくれた。「東京は世界で一番ファンタスティックな街だ。驚くべき素晴らしさだ。ただ一点だけ違和感を覚える。それは、あれだけの巨大都市でありながら、ほぼ日本人しかいないことだ」と。

国家元首から経営者まで、世界の成功者が共通して訴えるのは、「組織も国もオープンにして、ダイバーシティを取り入れろ!」ということだ。東京を絶賛する国家元首やCEOたちも、まずは都市としての東京を絶賛してくれるのだが、より親しくなると、「日本人しかいないあの状態はメガシティとしては特異」と、懸念に近い感想を示す。




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田村 耕太郎

(たむら・こうたろう) 前参議院議員。エール大学上席研究員、ハーバード大学研究員などを経て、世界で最も多くのノーベル賞受賞者を輩出したシンクタンク「ランド研究所」で唯一の日本人研究員を務めた。
国立シンガポール大学公共政策大学院名誉顧問、新日本海新聞社取締役東京支社長。
1963年生まれ。早稲田大学卒業、慶応義塾大学大学院修了(MBA取得)。デューク大学ロースクール修了(法学修士)、エール大学大学院修了(経済学修士)、オックスフォード大学上級管理者養成プログラム修了、ハーバード大学ケネディスクール危機管理プログラム修了、スタンフォード大学ビジネススクールEコマースプログラム修了、東京大学EMP修了。
2002年から10年まで参議院議員を務めた間、内閣府大臣政務官(経済財政、金融、再チャレンジ担当)、参議院国土交通委員長などを歴任。
シンガポールの国父リー・クアンユー氏との親交を始め、欧米やインドの政治家、富豪、グローバル企業経営者たちに幅広い人脈を持つ。世界の政治、金融、研究の第一線で戦い続けてきた数少ない日本人の一人。
2014年8月、シンガポールにアジアの地政学リスクを分析するシンクタンク「日本戦略情報機構(JII)」を設立。また、国立シンガポール大学(NUS)リー・クワンユー公共政策大学院の兼任教授に就任し、日本の政府関係者やビジネスリーダーに向けたアジア地政学研修を同校教授陣とともに実施する。
著書に『君に、世界との戦い方を教えよう 「グローバルの覇者をめざす教育」の最前線から』などがある。