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脳科学が教える生産的になるための5つの戦略
MakeUseOf:生産性に関する情報は有りあまるほどあります。最高のオフィス、最高のポッドキャスト、モチベーション戦略、生産的な習慣...。挙げればきりがありません。しかし、そのほとんどは、重要かつ基本的な要素を見逃しています。それは、「脳」です。
なによりもまず、脳自体が生産的になる準備を整えていなければなりません。では、どうすればいいのでしょうか? 以下、脳科学からの知見を見てみることにします。
1. 報酬の仕組みをつくる
人が達成感を得るとき、脳はドーパミンという神経伝達物質を放出します。これは、喜びを感じたときに放出される化学物質で、食事、愛、リスクをとることなどに関連があります。ドーパミンが関係する問題としては、依存症やうつ病などがあります。興味深いことに、この化学物質は、達成感を得る前の「動機づけ」とも強い結びつきがあるのです。
ドーパミンと動機づけの関係をうまく使えば、生産性を大きくアップできます。報酬の仕組みを作っておくことで、ドーパミンを意図的に放出させることができるのです。たとえば、ポモドーロ・テクニックは完璧な事例のひとつです。25分間タスクに集中したあと、報酬として5分間の休憩を与えます。5分という時間は決して長くはありません。おそらく、脳を休めるには不十分でしょう。しかし、報酬系を活性化させるには十分です。
報酬は大げさなものである必要はありません。プロジェクトをやり遂げるために、新しいゴルフクラブセットを買う必要はないのです。タスクリストにチェックマークをつけ、タスク管理アプリが鳴らすファンファーレを聴くだけでも十分です。
心理学者のレスリー・シェリン氏が米誌「Fast Company」で語ったところによると、タスクを達成したときに「終わり!」と口に出すだけでも、脳が次のタスクに備えやすくなるそうです。
ですので、タスクを細かく分解して、そのひとつを達成するごとに、小さな報酬を与えるようにします。報酬としては、Facebookを少しだけ見る(ただし脱線し過ぎは禁物)、外を散歩する、スナックを食べる、あるいは、小さくガッツポーズをつくって、完了と言うだけでもOKです。
2. ToDoリストをつくる
みんな、ToDoリストが大好きです。ToDoリストを使うメリットは、心理学的にも説明がついています。脳のワーキングメモリは、情報を短期的に保持するために使われる場所ですが、目の前のタスクを適切に処理するのにも重要な役割を果たします。ところが、ワーキングメモリは容量が決まっており、限度を超えて情報を入れると、パフォーマンスが落ちてしまうのです。
ここでToDoリストの出番です。覚えておくべき事項を紙に書き出しておけば、ワーキングメモリに保持しておく必要はなくなります。空いた脳内スペースは、目の前のプロジェクトに使えます。
ToDoリストマニアではない人にとっても、身につけて損はない習慣です! リストアプリで覚書をメモしておくだけでも、ワーキングメモリをより有効に使えるようになります。また、もっと本格的に、『Evernote』のようなアプリで、生活のすべてを記録するのも効果的なやり方です。そしてもちろん、リストにチェックマークをつける行為は、脳の報酬系を適度に刺激してくれます。
3. 説明責任を負う
最近、Cerebral Cortexで、「社会的促進」に注目した興味深い研究が発表されました。社会的促進とは、近くに人がいると、パフォーマンスが向上するという現象です。近くにいる人は、タスクと無関係でもよく、面識がない人でもかまいません。この社会的促進をうまく使って生産性を高める方法がいくつかあります。
コワーキングスペースで仕事をすると捗るという人は、より多くの時間をそこで過ごすようにします。誰だって、(たとえ無意識でも)周囲からデキる人だと思われたがっているもの。周囲に人がいることで、タスクに集中しやすくなるのです。
また、周囲の人に、タスクをどれだけ達成するかについて、公約するのも良い方法です。例えば、メンターと定期的に会って、あなたの仕事ぶりについて尋ねてもらうといいでしょう。また、友人や同僚たちとグループをつくり、一日にどれだけ達成したか、お互いにチェックし合うのもありです。このように、他人に対して説明責任を負うことで、モチベーションと注意力を維持しやすくなります。
4. 趣味に時間を使う
直観に反するかもしれませんが、趣味に時間を使うと、生産性が高まります。健康系ブログ「iNform Health」が、生産性において脳の扁桃体が果たす役割を解説していました:
扁桃体は、情動反応と、それに伴う生理的状態を決める役割を受け持っています。扁桃体は外部から刺激を受けると、その刺激に対応した一連の化学信号を発します。それが、全体的な気分を作り出すのです。
多忙な生活の中では、他者の幸福に奉仕するばかりで、個人的な楽しみは脇に追いやられてしまいます。その結果、同じ刺激ばかりを受け続け、脳内でも同じ反応を繰り返すことになります。
繰り返される反応が、ストレスや不機嫌、疲労といったものであるとき、それを追い払うために、必然的に、よりハードに働かざるをえなくなります。
iNform Healthは、好きなことに時間を使うと、ストレス反応の繰り返しを破りやすくなると説いています。趣味に取り組むことで、意識、無意識それぞれの焦点が移り、結果、気分転換になるのです。
脳にこうした変化を与えることで、現代の生産性中心社会で陥りがちな、ストレスを招いて生産性を殺す状態から脱しやすくなります。ですので、少し時間をとって、電子工作をしたり、プログラミングの基礎を学んだり、木工工作をしたり、好きなことに取り組んでください。さまざまな良い効果が期待できます!
5. ときどき空想にふける
趣味に時間を使えば、脳が生産的なモードに入るときの感覚を養うことができます。では、空想は? 空想はどんな役に立つでしょうか?
多くの著名な成功者たち(マーク・トゥエイン、リチャード・ファインマン、JK・ローリング、そして、アルバート・アインシュタイン)が、それぞれのもっとも有名なアイデアを思いついたのは、脳を遊ばせているときでした。
脳は、リラックスしている状態になると、かけ離れたアイデアや思考同士を結びつけやすくなることがわかっています。こうした常識を外した情報の結びつけが、創造的で革新的なアイデアを生むのです。
生産性に人生を乗っ取られてはいけません。趣味の時間を十分に確保するとともに、静かに座って脳を遊ばせる時間をつくってください。日曜日に公園で20分、静かに座って空想にふけるだけでも、生産性にはプラスになります(もちろん、精神の健康にも)。
脳をうまく使おう!
いまや、ありとあらゆるテクノロジーが利用できるようになりました。自分が望むとおりのシステムやルーチンも作れます。しかし、心理学や脳科学を無視しては、生産性のポテンシャルを最大限に引き出せません。この記事で紹介した戦略を使って、脳を適した状態に誘導すれば、生産性も自ずと向上するでしょう。
Hack Your Brain: 5 Ways to Use Neuroscience to Be More Productive|MakeUseOf
Dann Albright(訳:伊藤貴之)
Photo by Shutterstock.
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