韓国事情に精通するジャーナリストの室谷克実氏は、「韓国はそもそも差別の激しい国。大韓航空“ナッツ姫”事件に象徴されるように、金持ちは絶対的にえらいとされる。北朝鮮の脱北者や中国国籍の朝鮮族など外国人労働者は徹底的に差別の対象になっており、国内の風習をそのまま米国に持っていった」と指摘する。
ネイルサロン報道を受け、クオモ州知事は実態調査などに乗り出す考えを示したが、在米韓国人社会は徹底抗戦の構えだ。ニューヨークの韓国人ネイル協会などは「報道は韓国人をおとしめている」などとNYTに抗議し、韓国系州議員らも会見を開くなど事態収束に躍起になっている。
だが、追及キャンペーンは止まらず、NYTは5月19日の電子版で、韓国系飲食店でも同じような問題があると報じた。最低賃金未満で働かされた上、残業未払いがあったとしてオーナーを訴えた料理人のケースを紹介。料理人は裁判で4万5000ドルと裁判費用8400ドルを勝ち取ったが、オーナー夫婦は判決前に自宅所有権を息子に移していた。資産隠しがあったとして、料理人側は再び訴えを起こしたという。
「韓国では昔からある経営者と労働者の分裂が続いており、ようやく米国人にも理解され始めたことは大きな第一歩だ。韓国系議員が仲裁役となり、厳しく取り締まろうとする州に圧力をかけている。韓国人は米国に約200万人いるとされ、何かあれば一丸となって抗議をする姿勢が今回も表れている」(室谷氏)
10人に1人が最低賃金未満で働いているという統計もある韓国。韓国の“常識”は、世界には通用しなかったようだ。