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人と共生 イルカ産声 能登島3年ぶり 保護実る

大人のイルカと遊ぶ赤ちゃんイルカ(左)=石川県七尾市能登島で(大久保利明さん提供)

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 石川県七尾市能登島に生息する野生のミナミバンドウイルカの群れに今月、三年ぶりに赤ちゃん一頭が生まれ計十頭になった。水上バイクがイルカを追い回すなど生息環境の悪化で、一時途絶えた赤ちゃんの誕生。イルカと人が共生できる環境確保に取り組んできた能登島イルカ保護委員会のメンバーは「やっと生まれてくれた」と喜んでいる。(兼村優希)

 毎日イルカの観察船を運航する委員会副会長の大久保利明さん(56)=同市能登島向田町=は六日午前、イルカが普段生活する入江で、群れの中に見覚えのない小さな背びれが見えるのに気付いた。体には母親の胎内にいた名残を示す縦もようの「胎児線」が確認でき、生まれて間もない赤ちゃんと分かった。

 赤ちゃんは体長七〇〜八〇センチほど。その後もややぎこちない動きで、母イルカとみられる大きな背びれにぴったりくっついて泳ぐ愛らしい姿を見せている。大久保さんによると、四日に群れを見かけた時は九頭のみだった。五日夕に別の船が赤ちゃんを見たとの情報もあり、四日から五日にかけて誕生したとみられる。赤ちゃんは二〇一〇年から一二年まで毎年生まれたが、それ以降途絶えていた。

 能登島はミナミバンドウイルカの生息地として世界最北端とされる。昨今は水上バイクが湾内でイルカを追い回すなどの問題が浮上し、委員会は生息海域での低速航行など自主ルールも整備してイルカがすみよい環境づくりに努めてきた。その取り組みが奏功したと言えそうだ。

 委員会認定ガイドの近本杏里さん(33)=金沢市西金沢=は「最近は赤ちゃんが見られなかったので心配していたが、ほっとした。子連れのイルカは警戒心が強いので、優しく見守ってほしい」と話している。

     ◇

 委員会では七月末までイルカ船を利用する人を対象に赤ちゃんの名前案を募集する。イルカ船の問い合わせは能登島観光協会=電0767(84)1113=か、近本さん=電090(7088)3219=へ。

 

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