布団の中で薄目を開けて探っていますよリモコンを…って色っぽくも何ともございませんが。
「演芸図鑑」司会の国本武春でございます。
さてさて今日の演芸は漫才の大空遊平・かほりさんでございます。
奥さんの方がまくしたてるという日本の夫婦の典型でございますね。
お楽しみ頂きたいと思います。
それから落語は笑福亭鶴光さん。
この方のラジオでどれだけ楽しませて頂いた事か。
感謝しております。
それではどうぞ。
(拍手)盛大な拍手どうもありがとうございます。
本当に鳴りやまない感じですね。
こうやって夫婦で漫才やってると毎日のんきに出かけて歩いてるみたいに思われちゃって。
これはね本当そうなんですよ。
考えたら珍しいですよね〜。
夫婦そろって荷物持って毎日一緒に出かけて歩いてって。
それもね同じ方向向かってしゃべってる夫婦ってのはめったにいないなって。
まあねのんきにしてられるのが一番いいんでしょうけど何だか毎日事件だ事故だ相変わらず物騒なニューステレビから流れてきちゃって…。
どうしてこう毎日嫌なニュースってあるもんなんですかね。
たまには夜のニュースで一日ぐらい「こんばんは7時のニュースです。
今日は何にもありませんでした」ってないのかなと思いますね。
そういう日があってもいいね。
事件解決する警察官の方だって大変ですよね。
あちらこちらから毎日のように110番だと…。
だからね昔の人ってうまい事言ってますよ。
はい?「110番って何番だっけ?」なんて言ってたでしょ。
お願いだからそのほのぼのとした50年前ぐらいのギャグはやめて。
でもこういう古いのはいいです。
本当にのんきなんだもん。
家庭の中もね幼児虐待から家庭内暴力離婚も増えちゃって。
離婚は増える子どもは減る老人は増える年金は減る。
本当大変。
これプラスマイナスゼロでいいとこですよ。
足したり引いたりする問題じゃない。
だってね増えたり減ったり分かりやすいから。
増えたり減ったり喜んでる場合じゃない。
自分だって老後を考えなくちゃいけないようになってくるわよ。
老後?そりゃそうよ。
考えるっていったってね。
何か考えてる?我々の年代は年金をもらえるようなってるんだろうとかね。
我々の年代じゃない。
どの年代でも年金の事はちゃんとして頂きたいなと思いますよね。
あとはね病気した時ね誰が面倒見てくれるんだろうとか心配だねこれ。
どうして人前出てきて水くさい事言ってんのよ。
何が?誰が見てくれるって私がいるじゃないのよ。
何何?見てくれんの?私がちゃんと見ます!遠くの方から望遠鏡で。
(笑い)「また転んでるわ〜」。
何の役にも立たないじゃない。
でもね老後の心配も必要なんですけど老後の夢ってのも持ちたいなと思いますね。
自分のさ理想の老後の姿なんて考えた事ない?理想の姿?ああなりたいなとかこうしたいなとか。
僕はね大好きな猫抱いてね一緒に縁側に座ってひなたぼっこしてね庭を眺めてるなんてこういうのいいね!やっぱりバカだわ。
えっ?何でだよ?縁側に座って庭眺めるってのは庭付きの一戸建てを今から建てなきゃいけないって事。
今のマンションから買い替えるには3倍以上働かなきゃいけないじゃないのよ。
あなたが働いても2倍も3倍も大して変わんないけど。
でもねそんなに働いてたらよ過労死なんかしたら元も子も無いからね。
大丈夫よ。
万が一過労死してもあなたの遺骨を縁側に置いてその上に招き猫置いてひなたぼっこさしてあげるから。
うれしくも何ともないよ!理想に近いじゃないの。
私の理想の老後の姿も考えてます。
私の理想の老後の姿。
やっぱりさ猫抱いてさ。
いや猫要らない。
縁側に座ってね。
縁側要らない。
ひなたぼっこ。
あなたと違ってもっと夢は大きいの。
象抱くの?誰が象抱いて縁側に座ってんのよ。
だって大きいって言うから。
大きい意味が違う。
どこか南の島。
南の島?無人島でのんびり暮らすという。
そういうの僕は嫌だな〜。
いやあなたはいいのよ。
私一人で行くんだから。
何一緒じゃないの?今までず〜っと一緒なんだもの。
老後ぐらい別々の道を行きましょうよ。
冷たいじゃないのよ。
あなたは縁側で猫抱いて私は無人島でのんびり昼寝よ。
目が覚めたら浜辺を歩き回る。
「波の音がとってもロマンチックに聞こえますね」。
あれ?誰かいるの?ボート乗り場のおじさん。
だって今無人島って言ったじゃないの。
だからボート乗り場のおじさんのいる無人島なのよ。
どんな無人島だよ。
いいじゃん夢なんだから誰が出てきても。
ボート乗り場のおじさんやって。
僕がね。
はいはいはい。
「波の音がとってもロマンチックに聞こえますね」。
「今年はですねイワシが取れなくて困ってんですよ〜。
はい」。
誰が気仙沼の漁師やれって言ったのよ。
そうじゃないんだ。
私の相手なんだから例えば俳優さんで言うとマーロン・ブランドショーン・コネリー三國連太郎笠智衆ってそういう感じよ。
え〜?ちょっとどんな人だよ?二枚目の渋い感じでお願いします。
渋い感じね。
「波の音がとってもロマンチックに聞こえますね」。
「毎日聞いてる私にはですね同じようにしか聞こえてきませんね」。
いいじゃないのよ。
よかった?いいわよ。
あなたの老後決まりました。
無人島のボート乗り場のおじさん。
勝手に決めないでよ。
でも夫婦で会話するっていうのはいい事だなと思いますよね。
同じように年齢重ねてきたら同じような趣味持つのもいいかなと思いますね。
例えばね夫の趣味がバードウオッチングだったら妻は焼き鳥屋のはしご酒をしてみるだとか。
何それ?夫の趣味が絵手紙だったら妻はね置き手紙して出ていくだとか。
家出してどうすんだよ。
そうやって家族でなんとか会話がつながるじゃないの。
じゃあさ老後はさ僕の趣味にねあんたが合わしてくれる?うちは違うでしょ。
大体あなたの趣味って墓参り寺巡りさい銭泥棒ってこの3つじゃないの。
うちは力関係によって私の趣味にあなたが合わせるのよ。
私の趣味はパソコンテニススキューバダイビングですからね。
じゃあ僕がパソコンやりゃいい訳だ。
パソコンしなくていいわよ。
あなたのふだんの生活がパソコンなってるじゃないのよ。
パチンコで損する根性なしパソコンってそのまんまじゃないの。
じゃあねテニスやるテニス!テニスいいよね。
今ね錦織君なんか頑張ってるね。
何が錦織君よ。
あなたの顔なんか錦織っていうかもうコリゴリってそういう感じ。
テニスなんかしなくていいのよ。
テニスを日本語で言うと?庭球。
そのまんまじゃないの。
あなたはそのまんまでいいの。
やらなくても。
そういう事はしなくていい。
最後のスキューバダイビング?あれいいね。
スキューバダイビングやりたいよ僕もね。
そんな事今からしなくていいの。
酸素ボンベでね…。
スキューバダイビングって何をするの?潜ってさ魚見たりね。
海ん中潜る訳でしょ。
だったらあなたはこれ以上潜らなくてもいいのよ。
漫才界の潜りなんだから。
そういう事はしなくても…。
ちょっと待ってよそういう言い方ないじゃない!また真剣になっちゃってもう…。
だってみんなの前で…。
すぐそうやって冗談言うと真剣になってかわいいんだから。
そう?しっかりしろよ。
それがいけないんじゃない!お願いだからもうちょっとしたら終わるから仕事の邪魔しないでおとなしくしてて。
大丈夫おとなしくしてれば連れて帰るから。
ちょっとちょっと!共働きなんだからさ。
何が我々共働き。
あなたの力が入っちゃうと共倒れ状態になるからやめて。
言っときますけど僕はここまで遊びに来たんじゃないんだからね。
何偉そうに言ってんのよ。
留守番できないから連れてきてるんじゃない。
(拍手)
(拍手)
(拍手)ほんまに高齢化社会でんな。
(笑い)皆さんの事言うた訳やないんですよ。
「訛りは国の手形なり」ってな事申しましてね。
まあそれぞれ土地土地には方言ってものがございますけど大坂で昔朝起きて顔洗う事を「手水を使う」とこう言うたんやそうですな。
手の水と書いて手水と。
手水を使う顔洗う事。
これが大坂をちょっと離れた丹波辺りへ行きますともう皆目通じなんだやそう。
大坂の人が丹波の貝野村という所へ泊まりまして朝起きて縁側に立ちますとまあ都会と違いまして田舎の事。
景色が非常にきれいで空気が澄み切っております。
「あ〜ええ気持ちやな〜。
今朝ここで顔洗わせてもらおうか。
これ!誰ぞいなさらんか?」。
「お客様おはようさんで。
何か御用でございますか?」。
「あ〜すまんがなここへ手水を廻しとくなさらんか?」。
「今何とおっしゃいましたんで?」。
「いや手水を廻しとくなされとこない言うてますのじゃ」。
「はあ…一度主人と相談致しますのでしばらくお待ちを。
旦さん!」。
「何や?お清」。
「昨晩お泊まりになりました大坂のお客様が『ちょうずをまわしてくれ』言うてはりますけどどう致します?」。
「うん…そういう事は全部板場に任したねんけどな喜助に聞きなはれ」。
「喜助どんに聞いたら分かる。
えらいすんまへんでした。
喜助どん!」。
「何や?お清どん」。
「昨晩お泊まりになった大坂のお客さんが『ちょうずをまわしてくれ』言うてはります」。
「何を?」。
「『ちょうずをまわしてくれ』とこない言うてはりますの」。
「ちょっと待ちやおい。
俺も長い事板場やってるけどもちょうずをまわすってな料理作った事がないぞ。
それなんぞの間違いと違うか?」。
「旦さんが喜助どんに言うたら分かる言うてはりましたで」。
「そうか。
ひょっとしたら旦さんが知ってはる。
よっしゃ俺行って聞いてくるわ。
旦さんおはようさんで」。
「おう喜助か。
何や?」。
「今お清どんがね昨晩お泊まりになった大坂のお客さんが『ちょうずをまわしてくれ』言うてはるって来ましたんやけど私も13の時から板場やってるんですがちょうずをまわすってな料理こしらえた事もない。
旦さんちょうずをまわすって一体どんなもんでおます?」。
「お前も知らんか?私にも分からんねや。
いやひょっとしたらお前が知ってるかいなと思って聞きにやった。
これは困った。
あのお客さん3日もとう留する言うたるええお客さんや。
まして大坂のお方。
分かりませんってな事言うてみあ〜これやさかい田舎の宿屋はかなんと思われるのが嫌や。
困った。
お前すまんけどなちょっと木菟念寺まで行ってきてくれるか?」。
「旦さんわてはお寺に何しに行きまん?」。
「向こうの和尚さんなかなかの物知りじゃ。
ひょっとしたら分かるかもしれん。
訳言うて聞いてきてくれ」。
「へいいてさんじます。
和尚さんこんにちは!」。
「お〜これは誰かと思たら丹波屋の喜助どんか。
何しにござったな?」。
「折り入って和尚さんにお頼みしたい事があってよしてもろたんですが」。
「うん改まってわしに何を頼みに来なさった?」。
「訳言わな分かりませんけどね昨晩お泊まりになった大坂のお客さんがね朝起きるなりうちのお清に『ちょうずをまわしてくれ』とこんな難しい事言わはりまして。
旦さんも私も何のこっちゃ分かりまへんねん。
旦さんが言うには木菟念寺の和尚さんなかなかの物知りやさかいひょっとしたら分かるかもしれん聞いてこいって言わはった。
和尚さんちょうずをまわすって一体どんなもんでおます?」。
「はあ何か?大坂の人がそんな難しい事言うてなはった。
ちょっと待っておくんなされや。
ちょうずちょうずちょうず…。
喜助どん『長い』という字を書いて『ちょう』と読みますな」。
「ええ」。
「『頭』という字を書いて『ず』と読みまっしゃろ」。
「『ず』と読みますな」。
「長頭つまり長い頭を回してくれとこない言うてなさる」。
(笑い)「あっさようですか。
それやったらそれと言うてくれはったらよろしいのに。
大坂の人って難しい物の言いようしはりまんな。
また改めてお礼に伺います。
おおきに。
さいなら!行ってまいりました」。
「どや?分かった?」。
「さすが木菟念寺の和尚さんすぐに分かりました」。
「ほう。
一体何のこっちゃ?」。
「旦さん『長い』という字を書いて『ちょう』と読みますな。
『頭』という字書いて『ず』と読みまっしゃろ。
長頭つまり長い頭を回してくれとこない言うてはるそうですわ」。
「あっそうか。
それやったら早速お清に言うて長い頭回すように…ちょっと待ちなはれやおい。
その長い頭ちゅうのは分かったがうちにそんなもんありゃせんで」。
「あの旦那さんまこと入り用でしたら一つだけあるんですが」。
「うちにかい?」。
「いやうちやおまへんねん。
ご存じやおまへんか?隣村の市兵衛っちゅう男」。
「いや知らん」。
「この市兵衛という男が長い頭で手拭い3本つないでも頬かぶりがでけんちゅうくらいヘチマ頭の市兵衛っちゅうあだ名。
この男呼んできて回させましょか?」。
「そんな人が隣村住んでるのか。
分かった!あのお客さんその人のうわさをどこぞで聞きなさった。
うちに泊まったのを幸い大坂の土産話に見ていこうとこない思うたねん。
ほなお前すぐに呼びに出て。
あっお礼の方は十分させてもらうさかい」。
「いてさんじます」。
「旦那様なんぞあの喜助どんが呼びに来てくれましたけどおらに御用で?」。
「お〜お前さんが市兵衛さんか。
長い頭。
実は訳言わな分からんけどな昨晩お泊まりになった大坂のお客様がな朝起きるなりうちのお清に『ちょうずをまわしてくれ』とこんな難しい事おっしゃって恥ずかしながら何のこっちゃ分からんのでな喜助に木菟念寺まで聞きにやらした。
さすが木菟念寺の和尚さんちょうずとは長い頭を回す事やと教えてくれはった。
察するところそのお客さんお前さんのうわさをどこぞで聞いてな大坂へ帰るのに土産話に見ていこうとこない思うたんだ。
お前さんえらいすまんけどお客さんの前でその長い頭くるくるとこう回してもらえんやろかな?」。
「あ〜何の事やと思ったら承知」。
「やっとくんなさるか?お礼の方は十分させてもらう」。
「ところで旦那様お客様はどちらにお泊まり?」。
「離れにお泊まりで。
あっ裏から回って行きなはれ。
先ほど縁側に立ってなはった。
どうぞよろしゅうおたの申します」。
「どんならんなほんま田舎の宿屋は。
顔洗うのにいつまで待たす気やほんまに。
これ!誰ぞいなさらんか?」。
「へえお客様ごめんくだしぃまし」。
「何や?長い頭の人が入ってきた。
あんた何じゃな?」。
「お客様が長頭回せとおっしゃったんで私回させて頂きに参りました」。
「あんたが廻しておくんなさんのか。
ほなすぐに廻しておくんなされ」。
「今ここですぐにでおますか?」。
「さっきから待ってますのや」。
「さいですか。
ほなちょっと失礼して…。
こんなもんでどうです?」。
(笑い)「な…何をしてんねん?この人は。
早い事廻しておくんなさい!」。
「もっと速うでおますか?ほなこんなもんでどうです?」。
はよ廻せと言われたんで市兵衛さん一生懸命回したもんで目ぇ回してその場へ倒れてしもうた。
もうそれ見てたお客さんアホらしなってきて顔も洗わせてもらえない宿屋はどんならん。
朝ごはんも食べずにさっさと勘定済ませておたちになりました。
「喜助ちょうずとは長い頭の事やないらしいで。
大坂のお客さん3日泊まる言うててえらい怒っておたちになってしまった。
またあのお寺の坊主何を教えやがって…!まあまあ済んでしもうた事はしがない。
しかしまたいつ何時大坂のお客様がお見えになるか。
その時こんな事になったらどんならん。
何か分かるええ方法はないかな?」。
「旦さんこう遊ばせたらいかんなもんざんしょ。
旦さん大坂お越しになってどこぞの宿屋お泊まりになって朝起きるなり女中さんに『ちょうずをまわせ』とおっしゃったらすぐに分かると思いますが」。
「なるほど!これはええとこへ気が付いた。
ほなお前もついてき」。
「へえお供致します」。
まことに商売熱心なお方で。
大坂へやって参りましてねあちらこちらを見物なさいまして日本橋辺りで宿をとりまして明くる朝。
「そろそろまわしてもらおうかな」。
「ええそうでおますね。
一体どんなもん持ってくるのか楽しみですな」。
「ほんまやな。
これ!お女中!」。
「まあお客様お早いお目覚めで。
おはようさんでございます。
何か御用でございますか?」。
「あ〜あの〜すんませんがなここへちょうずまわしとくなさらんかな?」。
「あっこちらへでございますか?すぐに廻させて頂く。
しばらくお待ちを」。
「喜助聞いたか?さすが大坂の宿屋。
主人に相談しに行かへんで」。
言うておりますところへ昔のあかの金だらい。
あかというと銅製の立派な洗面器にこう湯をなみなみと入れましてね盆の上には塩と歯磨き粉と房ようじ。
これ昔は塩で歯茎をマッサージして房ようじに歯磨き粉をつけて磨いたんやそうです。
「お待ち遠さま。
ここ置かせてもらいます」。
「ああおおきありがとう」。
(笑い)「喜助これがちょうずというもんや。
長い頭とえらい違いや」。
「なるほどね。
さすが大坂でおますね。
立派な器が使うてございますな」。
「器?するとこれは食べるもんか?」。
「飲むもんでおます」。
「飲むもん!?大坂の人毎朝こんなもん飲んでなさるのか?へえ〜来てみな分からんもんや。
ほなこの白いのは?」。
「それは塩でおます」。
「何に使う?」。
「もちろんその中に入れて味付けに使います」。
「塩味か。
ほなこの赤いのは?」。
「それ薬味でおます。
それもその中放り込みまんねん」。
「へえ〜この棒」。
「かき混ぜまんねんそれで!」。
「へえ〜来てみな分からんもんやな。
いっぺんこしらえてみろ」。
「へえ分かりました」。
喜助どんあるだけの塩と歯磨き粉放り込んでそれを房ようじでバ〜ッ!「どうぞお上がり」。
「うわ〜!たくさんあるな。
何かな大坂の人はこれ1人で全部飲みなさるのか?いや〜わしはこんな飲めんで。
ひょっとしたら残すかも分からんがお前残ったら飲んでくれるか?」。
「そら喜んでお相伴致しますんで」。
「そうか。
ほな先に…えらい事なった。
ゴクゴクゴクゴク…。
うえっ!ゴクゴクゴクゴク…。
アハハハハ!やっぱし思たとおりこない残してしもうた」。
「旦さんお味の方は?」。
「妙な味やな。
とてもわしの口には合わんでこれは。
お前よかったら飲んどくれ」。
「旦さんこないたくさん残して頂きまして。
私も旦さんのお供して大坂へ出てきたおかげでこんな結構なもの頂いて…。
ごちそうさん」。
く〜っと飲み干しましたところへ…。
「お客様お待ち遠さまで。
もう一つここへ」。
「喜助また来たでほれ!はは〜するとさっき飲んだのがあれは私の分。
これはお前の分じゃ。
お前よかったら全部飲んどくれ」。
「アホな事言いなさんな。
旦さんのお残り頂きましておなかがチャポチャポチャポチャポ」。
「困ったな〜。
これ!これお女中!」。
「お客さん何でございます?」。
「あとの一人前はお昼に頂きます」。
(拍手)さあ本日のゲストは…。
隅田の水で産湯をつかい舞台ひとすじ女を磨く今日のゲストは木の実ナナさんハッたっぷりとさあどうぞ「お呼びになった?」。
「さあナナさんこちらへこちらへ」。
じゃあ遠慮なく入らせて頂きます。
どうぞ。
さあさあ足を崩して掘りごたつでございますから。
ちょいと待って。
あら!あら!ナナちゃんきれい!美しい!日本一!うれしいわ国本さん!さあどうぞ!さあどうぞ!掘りごたつがあって…。
お久しぶりでございます。
お会いしとうございました。
どうも本日はありがとうございます。
ありがとうございます。
久しぶりで。
相変わらずパッと花が開いたようなすばらしいですね。
ナナさんとも随分いろいろご一緒させて頂きました。
本当ですね。
全く変わらずに。
そうですか!全く!ますます…。
でもね最初の出会いはさ国本さんとはミュージカル。
そうなんですね。
この私のどこがミュージカルという感じですもんね。
私狸太夫という役で。
そう。
タイトルが「狸」というね。
「狸」でございます。
すばらしいミュージカル。
でもやっぱりミュージカルも和と洋が一緒になったもの。
私は大好きなんですよ。
そうなんですよね。
ナナさんのショー私随分ご一緒させて頂きましたけど和があり洋があり和洋折衷の。
そうなんです。
和洋折衷っていうのがすごい好きですね。
やはりそれはナナさんのお生まれになったお育ちになったそういう…。
それはありますね。
墨田区は向島。
向島いいとこですね。
大川の手前ですけども芸者衆の三とも通りっていうのがあってまだ昭和33年までは赤線がありましたんで赤線のおねえさんと。
和と洋ですよ。
洋も聞こえて。
はい。
片一方からはジャズ聞こえてくるしブルースとか。
おねえさんからは今の師匠のように三味の音がず〜っと聞こえてくるから。
大人っていいなと…。
大人に憧れて?そう大人に憧れた。
だから一番最初になりたかったのは小学校1年生ぐらいの時に言ったのは芸者さんって言った。
芸者さんになりたかった?はい。
もう優しくてきれいで…。
たくさん優しい言葉かけて頂いたり生活の中で…。
そうですね。
割にいじめられっ子だったのでいじめられてる時に助けてくれたりして1人こうしてポツンとしてると「どうした〜?」っていうのとその笑顔とさ心根がいいんだな〜。
下町人情がすごくあって。
ナナさんが若い頃にというか子どもの頃にミュージカルを…舞台のダンサーとかねそういうものを目指したという証拠がね実は私ちょっと入手をしたんですよ。
証拠って言われても私…。
そんな小さい頃からそんなふうに思ってたのかなという事をね私はこういうものをちょっと…。
ちょっと手に入れましてですね。
文集でございます。
これにナナさんの将来の目標というのがねもう既にそこに書かれていて…。
私の?私はねそういうダンサーになるんだそういう舞台に立つんだというような決意がねこれちょっとナナさん…。
私読むの?恥ずかしいな自分で。
是非是非。
はい。
「池田鞠子。
私は将来勉強で生きていくのではなく得意なもので生きていきたい。
私は踊ったり歌ったり演技をする事が大大大の好きです。
高校へは行かないで…」。
(笑い声)「松竹舞踊学校に行き国際劇場の踊り子になりたいのです。
劇場に入ってもいつも優しく元気で朗らかに正しい道をまっすぐに行きたいのです」。
フフフフフ…。
うわ〜すごいですね。
これは?これは?ヒラヒラ。
昭和32年!きえ〜!私にも…。
11か2ですね。
そうですか。
そんなもんですね。
しかし実際にナナさんは寅さんでSKDの…。
そうなんですよ。
私見ました。
もうね寅さんの中で一番好きな回で。
本当!アハハハハ!もう本当にハマり役でばっちりで。
うれしかったですね。
夢がかなったじゃないですか。
でも本当に入りたかったんだけどうちの父親が最後の方で国際で吹いてたんですねトランペットを。
だから舞台稽古から四大踊り春夏秋冬全部を見に行っていつも一番前でこうやってエプロンステージあの前の所でこうやって見て。
そこで寒い時なんかここに照明があるじゃないですか。
そうすると猫が温まってきて2人でこうやって見てうわ〜!よ〜いやさ〜っとパ〜ッと変わるショーのだいご味。
あれは私の夢でしたね。
だからもう早くこういうふうになりたいって思っててそれである時私は歌の方に行っちゃうんですけどその時に恩師と語るみたいなのでこの時の小学校の先生と対談させて頂いて「この中で本当に自分がこれになりたいってなった子お前だけだぞ」って言われて。
みんな夢があって野球の選手になりたいとかいろいろあっても。
「だからお前はね本当に自分の好きな事をやれてお前は幸せだな」って言われて。
すごいですね。
私は小学校の時は総理大臣になりたいって…。
うわ〜!ハハハハハハ!総理大臣になりたいって。
いや〜変わってたかもしれないそしたら。
いいわ〜。
うなる総理大臣。
さあみんな早くやってくれみたいな。
そんなこんなで。
本当にそうですね。
実現して。
いろんな…日本で尊敬する方とかたくさん影響受けた方とかいらっしゃると思いますが越路吹雪さんの話をナナさんはよくされますが…。
とっても…何て言うんだろう…。
スターさんって今まで言われてた日本のスターさんって人は意外と鼻持ちならない人が多かったんですよ。
ちょっと偉そうにしてて。
越路さんはそういうところが全然なくてごく普通のおばさんっていう…ふだんは。
ええもう本当にダランと。
そのかわり衣装を着てひとつ舞台に立ったらもうバ〜ンって変わるという。
お客様が喜んで下さるためには私はバ〜ッやるわっていう。
それまではもう本当に普通で。
袖へお連れするまでも震えて…。
そんな感じなんですか?駄目なの。
やだやだやだやだって言うんです。
全然…我々画像で見るだけですけど堂々として自分の世界を持ってらっしゃる。
私には本当に素の越路吹雪さんを出してくれたというかな。
すばらしいお師匠さんといいますかね先生にも出会えたタイミングやいろんな事があります。
それは本当に財産になる。
財産ですね。
だから今でもお化粧する鏡…どこへ行っても越路さんの写真はちゃんと貼ってますから。
「行ってきます」って…「これからお化粧します。
行ってきます」って言ってやるのはもう…。
もう越路さんの年よりも私が年行っちゃった。
でも最後に越路さんは私に何も言わなかったけど足を冷やすなっていう事と結婚するなっていう事。
ご自分は結婚したんですけどね。
あ〜そうですか。
ご自分は結婚したんです。
それはナナさんはしっかり。
はい。
あ〜そうですか。
結局結婚してもご自分がやっぱりお茶を出すしか朝。
こうやってお茶を「おはようございます」って旦那様に。
やっぱり自分は2つはできない人間だったんだよねっていう。
女房奥さんっていうのは大変なお仕事で。
ごはん作ったり全部やって。
それはそれで大変なんだと。
だからそれだけは言う。
結婚はするなって。
舞台に立つ者はそれ一生懸命やれと。
それはもうすごく言われましたね。
だからそういう意味ではショーに没頭できるというか…。
2015/06/14(日) 05:15〜05:45
NHK総合1・神戸
国本武春の演芸図鑑・選「大空遊平・かほり、笑福亭鶴光、木の実ナナ」[字]
浪曲師・国本武春が、演芸界のよりすぐりの至芸をナビゲートする。演芸は大空遊平・かほりの漫才、笑福亭鶴光の落語。対談のゲストは木の実ナナ
詳細情報
番組内容
浪曲師・国本武春が、演芸界のよりすぐりの至芸をナビゲートする。演芸は大空遊平・かほりの漫才、笑福亭鶴光の落語。対談のゲストは木の実ナナ
出演者
【出演】大空遊平・かほり,笑福亭鶴光,木の実ナナ,【ナビゲーター】国本武春
ジャンル :
バラエティ – お笑い・コメディ
劇場/公演 – 落語・演芸
バラエティ – その他
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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