「きょうの健康」今週のテーマは「気づきにくいホルモンの病気」です。
ほかの病気と間違われる事も多いホルモンの病気。
いかに気づくかを中心にお伝えしてまいります。
お話し頂きますのは…内科特に甲状腺の病気の治療がご専門です。
どうぞよろしくお願い致します。
よろしくお願いします。
本当にホルモン知っているようであまり詳しくは分からないんですけどまずどういうものか教えて頂けますか?はい。
ホルモンの語源ですけれども…ホルモンを分泌する臓器は内分泌腺と呼ばれています。
唾液とか涙は体の外に放出されますので外分泌腺と呼ばれますけれどもホルモンはその名のとおり体の内体内すなわち血管に放出されます。
そして血管を伝わって全身の臓器に運ばれ…本当に生きていくのに欠かせないものだと思うんですけれどもラインナップをご紹介したいと思います。
今週は「気づきにくいホルモンの病気」と題してお送り致しますが今日は1日目は…甲状腺のお話をする前にまず全身のホルモンについてお話ししたいと思います。
このパネルにありますように脳にあります下垂体からは成長ホルモンプロラクチンバソプレシンが分泌されますし今日お話しします甲状腺からは甲状腺ホルモンが分泌されます。
またすい臓からは糖尿病との関係の深いインスリンが分泌されます。
代表的なもの随分ありますけど何種類ぐらいあるものなんですか?現在では100種類以上あるといわれています。
ホルモンの働きですけど例えば私たちが朝目が覚めて起きたり夜眠くなったりするのもホルモンの働きであります。
またすい臓から分泌されますインスリンは糖尿病と非常に密接でしてインスリンの分泌が非常に低下したりまたインスリンの働きが落ちる事によって糖尿病が起こるといわれています。
本当に大切なものなんですね。
私どもはホルモンなくしては生きていく事ができません。
またこのホルモンが多すぎたり少なすぎたりする事によって起こるのがホルモンの病気です。
それでは甲状腺についてまずご説明頂けますでしょうか。
桜井さんは甲状腺ホルモンはどのような働きがあると思われますか?甲状腺ホルモンの…言葉は知ってるんですけどよく分かりませんね。
甲状腺は喉仏の下辺りにある器官でちょうが羽を広げたような形をしています。
甲状腺ホルモンはひと言で言えば体を元気にするホルモンです。
新陳代謝を活発にしたり交感神経や心臓などの全身の臓器の活動を高めて汗をかいたり脈を調節したりします。
この甲状腺ホルモンの分泌量が多すぎても少なすぎても問題になります。
甲状腺ホルモンが多くなる病気の代表がバセドウ病で反対に少なくなる病気の代表が橋本病です。
バセドウ病はあまり珍しくはないと考えていいですか?バセドウ病は200人から300人に1人発症するといわれています。
男性にも発症しますけれども女性に多いのが特徴です。
また20歳代から40歳代に発症のピークがあります。
バセドウ病ではどのような症状が出ると思われますか?目が少し大きくなるというかそういう事でしょうかしら?それも一つの代表的な症状ですがほかにも…そういう症状があります。
首のはれに関しましてはこのパネルの画面のようにはれる方がいらっしゃいます。
甲状腺が全体にはれて触りますと非常に弾力があります。
痛みはどうなんでしょうか?通常は特にありません。
喉の違和感みたいなのはどうなんですか?しばしば喉が詰まった感じがするという事を訴えられる方がありますけれどもそれは通常心配ありません。
なるほど。
それにしても先ほど目と申し上げましたが目はどうしてそのような大きくなるような症状が出るんでしょうか。
目の奥にある筋肉や脂肪に炎症が起こってはれる事によって目が前に押されるという事によってそういう目の症状が出てまいります。
ただ目の症状が現れる方はバセドウ病の患者さんの場合3人に1人ぐらいで皆さんに現れる訳ではありません。
でもこういった症状があった場合もしかしたらバセドウ病ではないかと疑われた場合何科に行ったらいいんでしょうか。
まず内科を受診して下さい。
内科はい。
そして症状と血液検査によってほぼ診断をつける事ができます。
更に血液検査以外にほかの甲状腺の病気との鑑別のために甲状腺シンチグラフィーという検査が行われる事があります。
甲状腺シンチグラフィーですね?はい。
甲状腺のホルモンの原料はヨウ素という栄養素でして体のヨウ素のほとんどが甲状腺に集まります。
この性質を利用してヨウ素がどれぐらい甲状腺に集まるかを調べる画像検査が甲状腺シンチグラフィーです。
バセドウ病では甲状腺ホルモンが大量に作られますので正常な人に比べてはるかに多くのヨウ素が集まるために甲状腺が大きくまた黒く映ってまいります。
明らかにこう見ると違いが分かりますもんね。
ではその治療なんですが治療はどうしたらいいんでしょう?治療の3本柱は…このうち抗甲状腺薬が8割の患者さんに今選択されています。
この薬は甲状腺のホルモンを作る事を抑える薬です。
この薬をきちんと服用すれば約4割の方は治ります。
治るんですね?ただ慢性の病気ですので1年以上は服用して頂く事が必要と考えて下さい。
手術は甲状腺を取ってしまいますのでホルモンを下げる出ないようにしてしまう意味では非常に確実な治療法です。
ただ首に手術の痕が残るとかそういうデメリットもありますので実際の治療法としては約1%程度に行われています。
ただ非常に若くて妊娠の希望のある方とか甲状腺が非常に大きくてほかの治療法でなかなか治る見込みがない場合は手術が選択されます。
真ん中の放射性カプセルこれはどういうものなんでしょうか?ヨウ素131という放射性物質が入ったカプセルです。
体に吸収されたヨウ素131はそのほとんどが甲状腺に取り込まれ甲状腺の細胞を壊します。
微量の放射線を出し続けていきます。
基本的にはこのカプセルは1回服用するだけで効果が持続します。
1回のむだけでいいんですね。
でもやっぱり放射性物質という事でやっぱり不安だと思うんですけどもね。
放射性物質非常に微量ですので例えば発がんのリスクとかそういう事はほとんど心配ありません。
ただし子どもさんに関しましては放射能に対して非常に感受性が高いですのでこの治療を受けられた時は小さな子どもさんを抱くとか人混みの中に出かける事は控えて頂きたいと思います。
ただし1年以上経過すれば放射能は体からなくなっていきますのでそのあとはもう大丈夫です。
一つ大切な…この治療にはあります。
それはここに挙げましたようなヨウ素を多く含む食品は絶対に食べないように気を付けて下さい。
まず海藻類です。
海藻類以外にも意外と市販の調味料や食品には昆布エキスが含まれていますので食品の表示をよく確認するようにして下さい。
これはもう絶対食べては…どうなんでしょう?少しでもですか?これはもう絶対食べないようにして頂きたいと思います。
微量でも?微量でも放射能が甲状腺に吸収されなくなりますので絶対控えるようにして頂く事が必要です。
でもそうすると制限するのは…ずっと食べられないという事なんですか?制限はこのカプセルをのまれる1週間前からのんだあと数日ですのでせいぜい1〜2週間海藻類を我慢して頂ければいいという事になります。
ああよかった。
どうなんでしょう今度はカプセルを服用すればそれで終わったと考えていいんでしょうか?放射線カプセルを服用したあと甲状腺ホルモンが低下する場合が多くあります。
その場合は甲状腺ホルモンを服用して頂いて甲状腺ホルモンを正常に保って生活して頂く事になります。
ここまでバセドウ病について伺ったんですけど今度は橋本病ですねあまり聞いた事がないんですがお願い致します。
はい。
橋本病は甲状腺に慢性の炎症が起こる病気です。
自分の免疫が自分の甲状腺を攻撃するいわゆる自己免疫疾患の一つです。
やはりバセドウ病と同様に男性よりも女性に多く発症しまして成人女性の10人から20人に1人発症するといわれています。
特に40歳以上の女性に多く見られます。
女性ですし年齢ももちろん越えていますので心配なんですけども症状としてはどんなものがあるんでしょうか?甲状腺ホルモンが低下するためにバセドウ病とは反対に新陳代謝が悪くなり元気がなくなります。
そういうような症状が出てまいります。
でもこれを見ると例えば皮膚の乾燥とかそれから疲れやすいとか割とどちらも当てはまるような気がするんですけどもどうなんでしょうかどうしたらこれを見逃さずに早期発見できるんでしょうか?そうですねこうした症状は徐々にきますので自分で気づくのはなかなか難しいです。
最近ちょっと元気がなくなったとか年のせいかなとかそう思う患者さんが結構いらっしゃいます。
ただしここにあるような症状が3つ以上あったりそれからコレステロールが最近高くなったとかそういう事がありましたら是非内科を一度受診して頂く事をお勧め致します。
また最近は人間ドックとかほかの病気で受診されて検査を受けられてそれがきっかけで橋本病が見つかる事が…そういうケースが増えてきております。
では今度はその橋本病の治療なんですが治療はどういうものがあるんでしょうか?橋本病は甲状腺ホルモンが少なくなっていく訳ですから薬で甲状腺ホルモンを補充する事が基本です。
しかしながら慢性疾患ですので薬を一生続けて頂く場合が多いです。
ただ一生服用するといいましても甲状腺ホルモンはもともと体にあるホルモンですのでほとんど副作用はありません。
安心して服用を続けて頂きたいと思います。
もう一つはヨウ素の制限です。
健康な方がヨウ素をたくさんとっても特に問題はないのですけれども橋本病の方がヨウ素を多くとりますと甲状腺の機能が低下する事があります。
このヨウ素先ほど海藻類で多いとおっしゃいましたけども特にバセドウ病の放射性のカプセルその場合には絶対に駄目な期間があるとおっしゃいましたよね。
これはどのぐらいなんでしょう?これに関しましてはそれほど厳密なものではありません。
微量をとっても大丈夫なんですか?少々とって頂いても結構ですしどうしても海藻類とかやめられない方はそれに合わせて甲状腺ホルモン薬の量を調整する事も可能ですのでそれほど厳密なものではありません。
特に治療で注意をする人っているんでしょうか?そうですね例えば妊娠を希望される方ですね。
不妊とか流産の原因に甲状腺ホルモンが少ない事がありますのでそういう方は是非甲状腺ホルモン厳密に正常にコントロールされる事が大切です。
それ以外にもやはりコレステロールが高いとかそれから首がはれが大きいとかそれから自覚症状があるとかそういう方はやはり治療される方がよろしいかと思います。
今日お話伺って改めて女性は気を付けなければいけないなと思いましたけれども。
そうですね。
今日お話しした病気はいずれも非常に見逃されやすい病気です。
年を取ったせいかとか更年期症状とも非常に似てますので見逃されやすいです。
しかしながら治療致しますと甲状腺ホルモンを正常に保つ事によって正常な生活を保つ事ができますので是非早期発見して正しい治療を受けて頂きたいと思います。
特に女性に多い病気ですので40歳以上の方は数年に1度でも結構ですので血液検査を受けられたらよろしいかと思います。
どうもありがとうございました。
2015/06/13(土) 04:15〜04:30
NHK総合1・神戸
先どり きょうの健康「気づきにくいホルモンの病気 甲状腺の病気」[解][字][再]
甲状腺ホルモンが過剰になる「バセドウ病」と少なくなる「橋本病」。どちらも女性に多く、更年期・加齢のためと見過ごされることも。病気に気づくサインや治療を解説する。
詳細情報
番組内容
知っているようで意外と知らない「ホルモン・内分泌」。食欲や睡眠、排泄(せつ)など私たちのありとあらゆる生理現象を調節しているのがホルモンだ。このホルモンに異常が起こる病気についてシリーズでお伝えする1回目。体を元気にする甲状腺ホルモンが過剰になるバセドウ病と逆に少なくなる橋本病を取り上げる。どちらも女性に多く、更年期や加齢のせいと見過ごされているケースもある。病気に気づくサインや治療について解説。
出演者
【講師】和歌山県立医科大学教授…赤水尚史,【キャスター】桜井洋子
ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32080(0x7D50)
TransportStreamID:32080(0x7D50)
ServiceID:43008(0xA800)
EventID:22791(0x5907)