「上方落語の会」本日のゲストは女優の大河内奈々子さんです。
大河内奈々子です。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
お願いします。
今までね落語に対して持ってたイメージってどんなんです?私たちは相手と一緒にお芝居をするっていうのが大前提にあるんですけど落語はお一人でされますよね?万が一飛ばしちゃったり失敗しちゃったらどうなるんですか?間違えたらねこれお芝居よりよっぽど楽なんです。
どうしてですか?お芝居は相手役いてまっしゃろ。
はい。
セリフ間違うたら相手の人が困りますやん。
なるほど。
相手いてないからねそこ飛ばしたらええねん。
えっごまかすって事ですか?違う事言うたりしたらええねん。
そんな事は起きるって事…?起きますよ。
だから時々途中で終わったりする時ある。
おなじみのお笑いでと終わったり。
それでOKなんですか?成立します。
OKです。
落語ってすごいですね。
じゃ今日ももしかしたらどなたかがそんな事があるかもしれないという事ですよね。
これ言霊っていいましてねそういう事起こる事がありえますから。
このあと誰が出てくるか…。
今度次は笑福亭風喬さんの「金明竹」です。
無事を祈ります。
ではどうぞ。
(拍手)ありがとうございます。
風喬の方で一席おつきあいを願います。
今日あの〜楽屋入りする時にですねNHKの放送センターの1階を通ってきたんですけどもやっぱこれだけの人数ですからすごい人が並んでる訳ですね。
ほんまにもうエスカレーターもずら〜っと何か人だらけでございましてその中を通ってきたんですけども。
通ってますとね「わっ風喬が歩いてる」とか「今日出る…落語やる風喬やで」とか「笑福亭風喬や!」とこう言うてくれる人は誰ひとりなく。
(笑い)ほんまもう17年やってまんねん。
覚えてもらわなあかんなと思とります。
風喬でございますね。
私の師匠が松喬と申しまして松の木の「松」にあの「喬」でございます。
で地方なんかに行きますとよく間違えられるんですようちの師匠。
「しょきょう」って読んでくれないんですよね。
「お宅の師匠は松喬さんですよね」ってよく間違えられます。
ま確かに松の木の「松」にあの「喬」ですから「しょうきょう」って読んでしまうんですけどこれ大阪弁独特の言い方でちょっと母音を縮めますねんね。
ですから「しょきょう」。
でうちの師匠の師匠が松鶴師匠。
松の木の「松」に「鶴」ですから。
でほんまやったら「しょうかく」なんですけど「しょかく」。
で「しょきょうなんですよ。
母音抜くんですよ」ってこう説明したらその人が「あそうですか。
ほんならお宅はふきょうさんですか」。
なんでやねん。
(笑い)風喬でございますね。
顔と名前と覚えて頂きたい訳でございます。
え〜非常にねあの〜物事伝えんの難しいなとかね思たりするんですけどもね。
まあ今繁昌亭という所で落語よくやらして頂くんですけども繁昌亭なんか終わりますとですね近くに天神橋筋商店街って日本一アーケードの長い商店街があるんですね。
であそこまああのね…「打ち上げ」言うて終わって飲んでうろうろしておりますとたまにですけど一回面白い事あったんですけど中学生か小学校高学年ですかね?ちょっと11〜12歳ぐらいの子が向こうから歩いてきまして。
夜10時ぐらいですわ。
多分塾帰りや思いますね。
そんな時間やからね。
で歩いてきてるんですけどもそのいうたら私とその彼の間にはですね占い師がぎょうさん並んでたんですよそん時は。
占い師のおっさん出ますねん。
シャッター閉まるとその前にぼんぼりさん立ててボ〜ッとしてますねんけど。
あのねでその小学生か中学生か分からないですけど何か機嫌悪そうに歩いてました。
缶かんコン蹴ってましてんけど。
空き缶をですねそのうちグッとつかんでどないした思います?占い師のおっさん向かってパ〜ン放りよったんですよ。
ほなおっさん怒ってね「お前どこの子や!」。
「当ててみぃ!」言うてましたね。
(笑い)いろいろネタ拾えるもんやなと思いながら。
ま子どもって楽しいなと思てる訳でございますけども。
一席私の方でもおつきあいを願いますが。
「これ定吉定吉!」。
「へえ」。
「また何をしておりますのじゃ」。
「へえあの表の掃除しとりますので」。
「見たら分かるけどもやな。
え?天気がええというのに水もまかんと掃除をする。
またこっちへこっちへ掃き込んでくるもんやさかい店ん中砂だらけやないか。
あのな『掃除をする時は水をまきなはれ』と何べん言うたら分かりますのじゃ。
ああもうそこはええよってな道具片づけて店番をしてなはれ」。
「へ〜い。
アハハ。
よう怒る旦那やでほんまにな。
『掃除する時水まけ水まけ』て。
こないだも掃除する時水まけ言うもんやさかい座敷で水まいたらえらい怒ってたな。
あ〜せやけど暇やな〜。
何にもする事ないな店番て。
ボ〜ッと…。
あれ?何じゃ急に外暗なってきた。
どないな…。
あっにわか雨か!わ〜皆傘持ってへんねや。
人が走る走る。
あ一人こけよった。
ハハハ。
あれ?お店の前に人立っちゃったけどそんなとこ立たれたら商売の邪魔やな。
ちょっと言うたろかな。
あもしそこの人」。
「何です?丁稚さん」。
「あのねそんなとこ立たれたら商売の邪魔でんねん。
すんまへんけどちょっとのいてもらわれしまへんか?」。
「えらいすんまへんな。
急に雨が降ってきましたんでなわたい傘持ってまへんので」。
「ああんた傘持ってへんの?さよか。
それやったらねそこにぎょうさん傘おまっしゃろ?それどれでも一つ持っていきなはれ」。
「え?これどれでもよろしの?さよか。
ほなあのこの傘をお借りしてよろし?」。
「はあそれ旦那の一番ええやつでんねん。
どうぞ持ってっとおくんなはれ」。
「あさよか。
ほなこれお借りします。
さいならごめん」。
「これ定吉」。
「へえ」。
「今表で声がしたが」。
「ああの違いまんねん。
あのあの…お店番してましたら急に雨が降ってまいりましてん。
ほなねお店の前に人立ちはったんで『そんなとこ立たれたら商売の邪魔や』言うたら『傘持ってへん』ちゅうんで傘貸してあげましたんでんねん」。
「あなるほどな。
まあまあうちは商売をしてます。
人に親切にしてやるというのは結構やがどこのどなたにお貸ししたんや?」。
「何です?」。
「誰に貸したんやちゅうねん」。
「いえいえ…知らん人です」。
「ちょっと待ちなはれ。
知らん人に物を貸して返ってきたためしがないねやがな。
あのなあ知らん人に物を貸したらいかんのじゃ。
断わんなはれ」。
「ああさよか。
ほな『お前みたいなやつ知らんさかい貸したるか!』とこう言いまんの?」。
「子どものけんかやがなそれやったら。
いやいやうちは商売をしてます。
こういうのは丁寧に言わないかん。
うん。
『うちにも貸し傘が何本かございましたがこないだからの長雨で骨は骨紙は紙ばらばらになって使い物になりまへん。
しかたがないのでいずれたきつけにしようと思て物置に放り込んであるのでお貸しする傘がございません』とこういうふうに言うて断りますねや。
分かりましたな」。
「へ〜い」。
「こんちは」。
「へえへえ何です?」。
「わたい表通りの最上屋から来たんでっけどもねうちに大きな鼠が出まして皆でよってこってやっと押し入れまでは追い詰めたんでっけどもそっから出てけぇしまへんねや。
ほんでみんなでね『もうこんな時に猫でもおったらええのにな』と言うてましたら何でもお宅に鼠をよう捕る猫いてるんやそうですんまへんけどちょっと猫貸してもらわれしまへんか?」。
「猫ねちょっと待っとくんなはれ。
えっとねえっと…うちにも貸し猫は何匹かいてました」。
「貸し猫?」。
「こないだからの長雨で骨は骨紙は…あ猫紙ないわ。
皮は皮ばらばらになって使い物になりまへん。
しかたがないのでいずれたきつけにしようと思て物置に放り込んだある」。
「え?お宅猫たきつけに使うの?変わったうちやな。
いやほな諦めますわ。
さいならごめん」。
「定吉」。
「へえ」。
「また声がしたが」。
「ああの最上屋はんでんねん」。
「おう何ちゅうて来た?」。
「あのね『猫貸してくれ』と」。
「それやったらうちのタマ貸してやったらええやないか」。
「あわたいちゃんと断りました」。
「何ちゅうて断った?」。
「へえあの『うちにも貸し猫は何匹かいてました』」。
「貸し猫?」。
「『こないだからの長雨で骨は骨皮は皮ばらばらになって使い物になりまへん。
しかたがないのでいずれたきつけにしようと思て物置に放り込んだある』」。
「お前猫たきつけに使うてお前。
どんなうちやと思われるやないか。
猫はまた別に断りようがあんねや」。
「猫別口ですか?」。
「別口ちゅうやつがあるかい。
猫はなあ〜『うちにも野良が一匹いとおりましたがこないだから盛りがついて家にようじっとしてまへん。
3日ぶりに帰ってきた思たらどこぞのゴミ箱で腐ったエビのアラでも食べたんでっしゃろな。
毛は抜けてる腰は抜けてるで使い物になりまへんのんで今奥でまたたびをなめさして寝かしてます』とこういうふうに言うて断りますねや。
分かりましたな」。
「へ〜い」。
「えらいすんまへん。
こんちは」。
「何です?」。
「わたいあの十七屋から来たんでっけどもねあの〜何ちゅうたらええかな。
うちに新しい道具が入りましてところがね手前どもでは2〜3目の利かん物が出てまいりましたんでできればお宅の旦那にご鑑定を願いたいと思て寄してもうたんですが」。
「な…何ですか?」。
「いやそのつまり早い話がお宅の旦さんをお借りしたいんですわ」。
「だ…旦那借りに来た?ちょっと待っとくんなはれ。
えっとねえっと…うちにも野良の旦那がいてました」。
「の…野良の旦那?」。
「こないだから盛りがついて…」。
「盛りが!?」。
「家にようじっとしてまへん。
3日ぶりに帰ってきた思たらどこぞのゴミ箱で腐ったエビのアラでも食べたんでっしゃろな。
毛は抜けてる腰は抜けてるで使い物になりまへんのんで今奥でえ〜股に足袋はかして寝かしてます」。
(笑い)「ま…股に足袋はかしてまんの?こんなとこへ?ホホホえらいおもろい。
みんなに言うたろ。
さいならごめん」。
「定吉」。
「へえ」。
「また声がしたな」。
「あ…あの十七屋さんです」。
「おほんならお前道具の目利きじゃろ?何でわしを呼ばんねや?」。
「わたいちゃんと断りました」。
「断った?お前また妙な事言わなんだやろな?」。
「あのうちにも野良の旦那が…」。
「お前『野良』とはどうじゃ」。
「こないだから盛りが…」。
「盛りが!?」。
「い…家にようじっとしてまへん。
3日ぶりに帰ってきた思たらどこぞのゴミ箱で腐ったエビのアラでも食べたんでっしゃろな。
毛は抜けてる腰は抜けてるで使い物になりまへんのんで今奥で股に足袋はかして寝かしてます」。
(笑い)「分かりました分かりました。
あ〜あのなもう十七屋さんへはわしがじかへ行ってきますでな。
お前ここでちゃんと店番をしなはれ。
言うときますがな今度誰ぞが来はっても勝手に応対する事ならんぞ。
うちのやつを呼びなはれ。
うちのやつを」。
「分かりました。
呼びます。
うちのやつ」。
「お前が言うてどうすんのや。
頼んましたで」。
「へ〜い」。
「こんちは。
えらいすんまへん。
こんちは」。
「今日ぎょうさん人来るな今日。
な…何です?」。
「私あの〜松屋町の加賀谷佐吉方から参じましたんやが先度仲買の弥市取り次ぎました道具七品のうち祐乗光乗宗乗三作の三所物ならびに備前長船の則光横谷宗四分一ごしらえ小柄付きの脇差あら柄前が鉄刀木やとの仰せにございましたが埋木やそうでございまして木が違うとりますのでこの旨ちょっとお断りを申し上げます。
ならびに黄檗山金明竹寸胴切りの花活けのんこの茶碗『古池や蛙飛び込む水の音』でございます。
こら風羅坊芭蕉正筆の掛け物にございまして沢庵禅師の一行物には隠元木庵即非張り交ぜの小屏風こらうちの旦那の檀那寺が兵庫にございましてこの兵庫の坊主がえらい好みまする屏風じゃによって表具やって兵庫の坊主の屏風に致しましたとお伝え願いたいのですが」。
(笑い)「あ…あのえらいすんまへんねんけどあの…お…お金やるさかいもういっぺん言うて」。
「んなあほな。
ちょっと頼んますわ。
私ちょっとせいてまんのんでねもうちょっとしっかりした人いてまへんか?」。
「しっかりした人でっか?ちょっと待っとくんなはれ。
今…うちのやつ呼びますよってに。
御寮人さん御寮人さん!」。
「何やねんな定吉大きい声で。
え?お客さん来てはんのか。
それ先言わんかいほんまにもう。
えらいすんまへんお待たせ致しまして。
どちらさんでございます?」。
「お家はんでございますか。
じき応対でございます。
私あの〜松屋町の加賀谷佐吉方から参じましたんやが先度仲買の弥市取り次ぎました道具七品のうち祐乗光乗宗乗三作の三所物ならびに備前長船則光横谷宗四分一ごしらえ小柄付きの脇差あら柄前が鉄刀木やとの仰せにございましたが埋木やそうでございまして木が違とりますのでこの旨ちょっとお断りを申し上げます。
ならびに黄檗山金明竹寸胴切りの花活けのんこの茶碗『古池や蛙飛び込む水の音』でございます。
こら風羅坊芭蕉正筆の掛け物にございまして沢庵禅師の一行物には隠元木庵即非張り交ぜの小屏風こらうちの旦那の檀那寺が兵庫にございましてこの兵庫の坊主がえらい好みまする屏風じゃによって表具やって兵庫の坊主の屏風に致しましたとお伝え願いたいのですが」。
「フフフフフ…。
さよか。
ちょっと待っとくんなはれ。
これ定吉お客さん来てはんねやないか。
早い事お茶出しなはれお茶を。
えらいすんまへん。
すぐにお茶を入れますよってに」。
「いやいやあの茶なんかどうでもよろし。
今の分かって頂けました?」。
「いやそれがそのあの…ちょっと丁稚に小言言うとりましたもんで。
えらいすんまへんねんけどあのお金やるさかいもういっぺん言うて」。
「んなあほな。
頼んますわ。
急いでまんのでね。
ほなあのもういっぺんだけ言いますさかいにちゃんと聞いといておくんなはれ。
頼んまっせ。
私は松屋町の加賀谷佐吉方から参じましたんやが先度仲買の弥市取り次ぎました道具七品のうち祐乗光乗宗乗三作の三所物ならびに備前長船の則光横谷宗四分一ごしらえ小柄付きの脇差あら柄前が鉄刀木やとの仰せにございましたが埋木やそうでございまして木が違うとりますのでこの旨ちょっとお断りを申し上げます。
ならびに黄檗山金明竹寸胴切りの花活けのんこの茶碗『古池や蛙飛び込む水の音』でございます。
こら風羅坊芭蕉正筆の掛け物にございまして沢庵禅師の一行物には隠元木庵即非張り交ぜの小屏風こらうちの旦那の檀那寺が兵庫にございましてこの兵庫の坊主がえらい好みまする屏風じゃによって表具やって兵庫の坊主の屏風に致しましたとお伝え願いたいのですが」。
「フフフフフ…。
さよか。
ちょっと待っとくんなはれ。
これ定吉お客さん来てはんねやないか。
早い事ごはん出しなはれごはんを。
あのすぐにごはん出しますよってに」。
「もうごはんなんかどうでもよろし。
あの今の分かって頂けました?いやわたいもう急ぎまんのでこれで帰らしてもらいまっさ。
さいならごめん」。
「あもしもし…。
帰ってしもうたやないかほんまにもう。
あんたが早い事ごはん出せへんよってに。
あの人にごはん食べさしてあと10遍ぐらい言わそ思たけど何のこっちゃさっぱり分からなんだわ」。
「ただいま」。
「お帰りなさいませ」。
「うん。
わしの留守中に誰ぞ来なんだか?」。
「ハハハハそれがそのあの…一人お見えになったんでございます」。
「おお誰が来たんや?」。
「それがそのあの…何でもあの〜松屋町の加賀谷さん…とか?」。
「加賀谷さんが来たんか?」。
「それがその…仲買の弥市さん…かも」。
「誰が来たんや」。
「それが分からんのでございますけどもあの〜何でもその弥市さんが備前へお行きになったとか…」。
「弥市が備前へ?ほう。
それから?」。
「それから向こうであの…遊女を揚げまして…これがえらい千女や万女で大騒ぎ」。
「千…?何のこっちゃねそれは?」。
「いやそれが分からんのでございますけどもその遊女がえらい孝女でございまして掃除が好きやったそうでございます。
で弥市さんの気が違うたとか…」。
「弥市の気が違うた?」。
「へえでその弥市さんが遊女を寸胴切りに斬り殺した」。
「弥市が人殺したんかいな?」。
「いやそれでまあまあ気が違うとるもんですさかいに何を言うてものんこのしゃあでいんげん食べるやら?たくあんかじるやら。
でそこへ坊主が出てまいりまして…」。
「何で坊さんが出てくんねん?」。
「いやそれが分からんのでございますけどもその坊主の後ろに…屏風があったんでございます。
でその後ろに坊主がおってで屏風があってで坊主がおって屏風があって坊主がおって屏風が…もうこれな〜に?」。
「分からんわお前。
何やねんお前。
何かもうちょっとなこう…筋の通ったとこはないか?筋の通ったところは?」。
「筋の通ったところ…?あっそうそう!その弥市さんが古池に飛び込んで死んだとか?」。
(笑い)「弥市が死によった?もうかなんなほんまにもう。
いやいやあいつにはな道具七品というのを預けてあってちゃんと買うてくれと頼んであったのに買うたんやろか?」。
「いいえ買わず
(蛙)に飛び込みました」。
(拍手)笑福亭風喬さんの「金明竹」でございました。
いかがでした?すっごく面白かったです。
私風喬さんのファンになってしまいました一気に。
喜びますわ彼。
あの独特の世界があって最初の口上からもうすっごく面白くて独特の彼の世界がもう見えてましたよね。
ね。
何かフワッとした感じでね。
何か柔らかいんだけども時々こうシュッと入ってくる鋭い言葉とかがすごく面白くて。
あの…早口言葉がね本当にどきどきしながら聴いてたんですけどすごいですね。
止まる事なく…ね。
あれね実は全部お茶道具で意味がある言葉なんです全部。
全然意味が分かんなかったんですけど1回目聴いて2回目何となく分かったかなと思ったら3回目全然違う事言うからもっと分かんなくなっちゃって。
もうあと2回ぐらい聴きたかったかなって…。
同しようなん思てましたと?あれね金明竹のそういうお茶道具にそういう竹を使うとこがあってね全部うそ1個も入ってないです。
調べたら。
あそうなんですね。
はい。
あの人でたらめ言うとる訳やないんで。
何かね関西弁なのでうまくごまかされたのかなとか思うような落語だから独特のね言い回しがね面白いですよね。
もともとは東京でやってたネタなんですこれは。
そうなんですか。
それをこちらへ持ってきて…。
東京でも大阪弁が出てきて余計大阪弁で怪しいのが出て…。
なかなかね難しいですよね。
ね〜。
もう風喬さんのねとても楽しかったです。
この次またもっとすごい人が出てきますんで。
はい。
林家花丸さんの「うぬぼれや」です。
どうぞ。
(拍手)ありがとうございます。
今度は花丸でおつきあいをお願い致しますけれども。
もう見て頂いてお分かりのように落語というのは不思議な芸でございましてね。
一人で出てきて右向いて左向いて何のセットもない書き割りもないのにまた前に人がいてる訳でもないのにたった一人で大勢の人物を演じて会話を成立させるという尋常な神経の人間ではやれない芸能でございます。
こんな事ができる体に生んでくれた親に感謝するやら恨むやらでございますけれどもね。
え〜その落語を聴いて頂く訳でございますけれども。
何でございます最近は見てるだけやなしに自分もやってみたいという人が多いみたいで。
落語もそうですね。
もとは私もそうでございました。
最初からプロの世界にいてた訳やない。
やっぱり落語が好きで大学の落研落語研究会というところにおりました。
私は桃山学院大学という学校…。
何で笑うんでしょうかね。
(笑い)予想外の展開でございますけれど。
(笑い)あちらの方に行っておりましてですね落語研究会に入っておりました。
先輩が名前を付けてくれまして平仮名で芸名がえびという名前でございました。
先輩にきずしさんいう人とねばってらさんいう人がいてはりましてその人たちがまあ付けてくれた訳でございます。
家でボ〜ッとしてたら先輩から遊びの誘いの電話がかかってまいりましてね。
「もしもしえびいますか?」。
「どちらさんです?」。
「ばってらです」。
何のこっちゃ分からんという。
不思議な会話がございましたけども。
それでもまあ好きで学生の頃から落語をやっておりました。
私の弟も落語が好きになりまして別の学校に行きましてねやっぱり落研に入りまして。
「ああ君えびの弟か?ほならかにや」いうてね。
(笑い)親一生懸命お金使て子ども育てて気ぃ付いたら訳の分からん魚介類みたいなもんになりましてですな。
えびかにでやっておりましたんですけれども。
アマチュアの人の落語教室というのもいっぱいあるそうでございまして。
やっぱり見てるだけやない聴いてるだけやない。
自分がやる方に回りたいという人がいっぱいいてはるそうでございます。
で寄席に来てくれはりましてねそういう方が。
「花丸さん面白かったです」。
「ああありがとうございます。
また来て下さい」。
「今度いつ出るんですか?」。
「あ何とか会館で何月何日に出ます」。
「あ〜すんません。
その日私が出番なんです」言うてね。
お客さんの方も忙しいんでございます。
アマチュアの人に断られたりなんかしまして。
「ほな何月何日の方はどうでしょうか?」。
「その日も出番です」。
「ほな何月何日は?」。
「その日は広島で出番です」言うて。
聞いたら向こうの方が忙しかったりなんかしましてね。
「また私も使て下さい」言うて仕事を頼んだりなんかしましたですけれども。
それぐらいまあやってて楽しいというそういう性質の方もいらっしゃるみたいでございますけれどもね。
私もまあ落語の方はこれもう商売でやらして頂いてますからまた別にそういうような気持ちになるものがございます。
私が好きで楽しんでおりますのは宝塚歌劇の鑑賞でございまして。
え〜この事はご存じの方はご存じなのでございますがご存じでない方はご存じでない訳でございまして。
一年の間に50回から60回も通うという。
それぐらい好きで見に行っておりますけれどもね。
まさかこんなにはまると思っておりませんでした。
でも見過ぎというのもどうかなと思います最近ね。
何か芸風に影響が出てまいりましてですね。
落語のセリフの言い方が変わってまいりました。
前までやったら「こんにちは」。
「おお誰やと思たらおまはんかいな。
こっち上がっといで」。
こういう感じでやってましたが「こんにちは」が変わってきました。
「こんにちは」。
(笑い)あれどういう訳か知らんうちに手が開くようになりましたね。
「誰やと思たらおまはんかいな。
こっち上がっといで」かなんか…。
ちょっと大げさに招き入れたりなんかしましてね。
体に染みついてるんですね。
何か糸か何かでつられて動いてんのと違うかなというようなそんな感じですけれどもね。
え〜舞台でそうなりますからふだんでもそうなってしまいます。
例えばタクシーに乗った時なんかでもね「いくらですか?740円。
ではこの1,000円で。
いえいえお釣りは下さい」。
もらうんでございますけど。
この辺がかっこつきませんけれどもねぇ。
影響が出てしまいます。
ほかにもありますね。
例えば信号。
赤信号から青に変わるのかなと思て見てたらすみれ色に見えたりなんかしましてですね。
相当なところまでいっておりますね。
あの歌を歌う落語もございます。
旅の話なんかね。
今日は寄席の方には出ておりませんけれども例えば「三十石」という落語なんか船頭さんが舟唄を歌うというそういう場面がありますが。
昔でございましたらヤンレ淀の川瀬のナーあの水車よなんて歌っておりましたですけれども。
(観客)うまい。
ありがとうございます。
(拍手)もう今いつでも民謡歌手になれる自信が湧いてまいりました。
まあならんように気ぃ付けようと思いますけれどもね。
最初は普通に歌うんですけどね途中から歌が変わってきたりなんかします。
歌い方も変わってきたり致しますね。
ヤンレ淀の川瀬のナー・「あの水車よ」
(笑い)・「テス君だけが俺の愛の全てだ」
(拍手と笑い)好きでやってるだけで調子に乗りますよ。
いろんな事を言いながらね。
まあこんなふうに変わってきてしまいますのんであんまりこのかぶれるというのも考えもんかも分かりませんが。
上手やったらええんでございますけれども玄人ぶって周囲に迷惑をかけるというそういう人もちょいちょいあるようでございまして。
「お師匠はんいてはりまっか?」。
「こんにちは」。
「こんにちは」。
「こんにちは」。
「こんにちは」。
「こんにちは」。
「まあまあ町内の若い人が一体どないしはりました?」。
「へえあの〜何でございます。
今日はなお師匠はんにお願いがあってこないして皆で寄してもらいました」。
「まあ怖いこと。
わてで間に合いますやろか?」。
「お師匠はんやないとあきまへんねん。
ええ。
といいますのはねあのうつぼ屋の旦さんの事でんねや」。
「うつぼ屋の旦さんとおっしゃいますとはあうちの連名頭の太兵衛はんの事かいな?」。
「そうでおます。
あのねお師匠はんまあここだけの話ぶっちゃけた話あの旦さんの浄瑠璃の事あんさん一体どない思てなはる?」。
「『どない思てなはる?』てまあ本人が好きで一生懸命に稽古してはりますさかいになあれでええのんと違いますか?」。
「ちょ…ちょっと待っとくんなはれ。
お師匠はん殺生でっせ。
そうでっしゃないかいな。
わたいね今わざわざ『ここだけの話』と断ってお尋ねしました。
せやけど今の言いよう旦さんの耳に入ったらと思てちょっと気ぃ遣て言うたんと違いますか?あいやいや言いにくかったらねこっちの方から先言わしてもらいます。
ここにいてる連中皆わたいら皆ねあの旦さんの浄瑠璃ちっともええ事ないと思てまんねん。
ええ?何だんねんあれ。
とても人間の出す声やと思えまへんな。
豚が喘息患うた時の声というかオットセイの雄たけびというかヤギの悲鳴というか。
あんなもんまともに聞いてられまへんで。
そうでっしゃないかいな。
ねえ。
でまたあの人ね金があって暇もおますさかいにちょいちょい会を開いては皆を呼び集めて聞かせまんねん。
会を開きまんねや。
断りたいとも思いますけどもな後々のつきあいという事がおますさかいに辛抱して皆行きまんねや。
こないだなんかあんた一人で8時間半も語りました。
ええ?皆もうなじっと座って聞いてられへんようになりました。
ほたらあんた途中で『休憩や』言うて御簾内で語ってたあの旦さんが御簾をパッとめくったら皆が横たわってまっしゃろ。
えらい怒りましたで。
『お前らええ加減にせえ!この結構な浄瑠璃を何やと思てるねん!寝るやつがあるかえ』ちゅうて。
寝てんのと違いまんねや。
皆倒れてましたんでんねん。
具合が悪なったんでんねん。
順に医者へ行たんでんがな。
ええ?それを寝てる言いまんねやで。
あんなもんで寝られますかいな。
かわいそうやったんは丁稚の定吉どん。
あの子だけはなようようの事で柱につかまって横たわる事もなしにじっと聞いてましたんや。
そやけどそれでもあの旦さんは怒りました。
『姿勢が悪い!わしの浄瑠璃を聞くのにそんな格好で聞くやつがあるかい。
里へ帰ってしまえ!暇を出す』言うて。
ええ!ほらあんたこの番頭さんが慌てて飛び出してまいりまして『まあまあまあまあ旦さん。
子どものこってすさかいに』とその場をいさめてなんとか定吉の首はつながりました。
そやけどねこれからは会のたんびに定吉は一番前の真ん中で聞かないかんという世にも恐ろしい罰を与えられてしまいました。
もうあの子はまともな大人になりまへんなあれは。
ええ?もう見込みないと思いまっせ。
まとにかくな昔からよう言いまっしゃろお師匠はん。
こういう事言うのご存じでっか?『下手な浄瑠璃は味噌を腐らせる』言いまんねん。
ええ?そばに置いてある味噌がね下手な浄瑠璃で腐ってしまうちゅ言いまんねやで。
あの旦さんの浄瑠璃は味噌は味噌でも聞いてる人間の脳味噌を腐らせまんな。
いっぺん聞いたらお通じが止まってしまいまんねん。
2遍聞いたら熱が出まんねやで。
あの浄瑠璃旦さんの浄瑠璃太兵衛はんの浄瑠璃うつぼ屋さんの浄瑠璃あれあのままほっといてよろしおまんのんかいな。
お師匠はんどない思てなはんねや」。
「あのな何だす?最前から聞いてたら。
あの旦さんの浄瑠璃太兵衛はんの浄瑠璃うつぼ屋さんの浄瑠璃浄瑠璃浄瑠璃と。
言うときますけどもなあんなもんは浄瑠璃と違います」。
「ええ!?」。
(笑い)「お師匠はんが一番きつうおますな」。
「そうだっしゃないかいな。
ええ?今までわてもないろんな人にお稽古してきましたけどもなあんな不細工で不器用で不気味な人は初めて」。
「不気味まで言いますか」。
「不気味だっしゃないかいな。
ま大抵のお人はなお稽古してましたら自分が浄瑠璃に向いてるかどうかぐらいの事は分かりますのん。
ところがあの人にはそれに気が付く神経というもんが通てまへんねやがな。
まほかの生き物でいうたらクラゲかボウフラみたいなもんでな。
物を考える能力というもんがおまへんねやで。
ほんまだっせ。
こっちが三味線弾いてまっしゃろ。
ま仮にこの三味線が東海道いてるとしますわ。
あの人の浄瑠璃は中山道いてまんねや。
草津で分かれたら二度と会われしまへんねやで。
師匠にどつかれもって一生懸命身につけたこの芸をあんな人に教えないかんやなんてそらお月謝もらわん事にはこっちもやっていけまへんさかいにま体のええ事言うて通うてもろてますけどもほんまに情けない。
金が敵の…」。
「こんなとこで語りなはんなあんた。
ええ?今のはまたえらい熱入ってましたな。
いやいやお師匠はんがねそない言うてくれたら後々の話がしやすなりました。
ええええ。
いやお頼みというのはここの事でおますのやがなああの旦さんにもうお師匠はんの方から『あんたに浄瑠璃教えるのはやめとく。
浄瑠璃のお稽古するのは断ります。
あんたは浄瑠璃に向いてない』。
バシッとこの引導を渡してもらいたいとこれがお願い事でございまして」。
「まあわてがだっか?」。
「そりゃそうでんがな。
あんさんが師匠でっしゃろ?あんたが言わなんだら誰が言うてくれまんねん。
ね頼んますわ。
どうぞ言うとくんなはれ」。
「そうかてあんた恨まれまへんか?」。
「誰に恨まれまんねん」。
「そらあんたお店の人にだんがな。
『うちの旦さんのたった一つの楽しみを奪うような事しなはんな』と恨まれたらこっちもつろうおまっせ」。
「あさよか。
そういう事お師匠はん気になさる。
あ〜分かりました。
ちょっと番頭さんに聞いてみまひょ。
番頭はんどないでっか?今あんさん聞いてなはったやろ?お師匠はんあんな事言うてますねん。
どない思いなはる?」。
「お師匠はんよろしゅうお頼申します。
もうわたいらこりごりでんねや。
ええ?毎日あの下手な浄瑠璃聞かされてだいぶ体もぼろぼろになってますねん。
体だけと違いまっせ。
店の屋根やら柱ももうむちゃくちゃ傷んでますねやがな。
ええ!それから最前言うてた定吉なあらだいぶいがんだ人間になりますわあのままほっといたら。
定吉のためにもよろしゅうお頼申します。
定吉だけと違う。
わたいだけでもおまへんねや。
ええ?お梅どんかてあれでっせ。
木平衛どんかて何だんがな。
お咲さんかてあれでっしゃろ。
ほいから近所の人も皆何でっせ」。
「あんた『あれ』と『何』ばっかりで分かりまへんがな」。
「まあ何や分からんぐらいやめてほしい言うてまんのでなとりあえずお師匠はんお頼申します」。
「さよか?ほなまあいっぺん言うてみまひょか?すんまへんな。
えらい急にお邪魔しまして」。
「お師匠はん水くそうおますがな。
用があるねやったらねこっちから行きまんのに。
いやいや話というのは言うてもらえでも分かってます」。
「分かってなはる?」。
「あ〜よう分かってますがな。
ええ。
今度の会の出し物の事でっしゃろ?こないだやり過ぎました。
『菅原』やりましてなそれから『千本桜』やりまして『廿四孝』と8時間半もやりましたやろ。
あらちょっと長かった。
明けの日の朝喉が痛うてなあ。
昼過ぎには治ってましたけどもな。
もう8時間半はやりまへん。
今度からは8時間15分」。
「あんまり変わりまへんがな。
いやあの会の出し物の事と違いまんねや。
こんな事言うて何だすけれどもな。
ま落ち着いて聞きなはれや。
もうあんたにお稽古するのはやめさしてもらおと思いましてな。
いや要はもう浄瑠璃のお稽古は断らせてもらおとこない思とります」。
「お師匠はん何言いなはった?」。
「せやさかいにあんさんのお稽古はもうやめさせてもらいますと」。
「ああさよか。
ああええはあ。
承知しました。
長々お世話になりましてありがとうございました」。
「えらいまたあっさりと。
よろしおまんのんかいな?」。
「ええいやお師匠はんがそう言うのはねもう前々から分かっておりました。
ここのところいつ言うか今日言うかと思てお稽古に通とりました。
ええ。
いやお師匠はんがこの先言おうと思てる事は分かっておりま。
言わせまへん。
わたいは皆分かっとります」。
「分かってなはる?」。
「はいよう分かってます。
いや町内の連中はな私が物の分からんがさつな男やと思てるように見えますけどもなそら違います。
私ぐらい周りの見えてる男は町内にいてまへん。
この先お師匠はんのおっしゃりたい事は『あんたにはもう皆教えた。
早い話があんたはもう私を抜いた。
素人の域やない。
文楽の世界に旅立って玄人になれ』とこういう事でおますなあ」。
「誰もそんな事言うてやしまへんがな」。
「言わんでも分かります。
そういう男です」。
「あんたちょっと落ち着いて考えなはれや。
自分の年を考えてみなはれ」。
「年…そうですお師匠はん。
年が大事です浄瑠璃文楽にはね。
ええ?若い者には出せん声ちゅうのがおまっせ。
例えばそう。
あの竹本住大夫の先生なんかあらええ声持ってはりますなあ。
息と間だけやなしにあの声ああいうのは若い者には出まへんな。
年季がいると思いまんねん」。
「あのなあ言うときますけどもな住師匠はあの人は若い時からええもんを持ってはってそこに苦労勉強努力というものを重ね合わせていってあの声をお作りになったん。
あんたらと一緒になりますかいな」。
「そうかてお師匠はん素人の頃から玄人並みちゅう人もいてましたやろ?」。
「そらまあ確かにな。
あの豊竹呂太夫という師匠なんかは元は天満の薬屋の次男坊。
そやけどもあんまり声が立派やというのんで玄人の方から教えを請いに来てたとこんな話聞いた事おます」。
「私と一緒です」。
「どこが一緒だんねんええ?呂太夫師匠はなあんまり声が立派やというので町なかでは稽古でけん。
声が響き過ぎて近所に迷惑をかけるというのんでわざわざ越前まで行て越前の海に向かって声を張り上げてお稽古したといいまっせ。
そら素人から玄人にいこうと思たらそれぐらいの声の持ち主やないと無理でおます。
あんさん方でうまい事いきますかいな」。
「なるほど。
分かりました」。
「いよいよ分かりなはった?」。
「分かりました。
よう分かりました。
お師匠はんのこの先言いたい事はつまりは『もうあんたは最後の仕上げに越前に行てこい。
それから玄人の…』」。
「そんな事言うてやしまへんがな」。
「言わんでも分かる男です。
伜おおそこにいてたか。
今の話聞いてたやろ?そういう事や。
今から越前に旅立つ。
店はお前に任すさかいなちょっと荷物まとめてくれるか」。
「ちょ…ちょっと待ちなはれ。
太兵衛はんあんた大きな荷物持ってどこ行く…。
え!?ほんまに越前に行くのんかいな。
ちょっと戻っといなはれ!」。
「お師匠はんようやっとくなはった」。
「番頭さんこれでよかったんかしら?」。
「ああもう上首尾でおますがな。
いやそらねあのうちの旦さんに浄瑠璃をやめさすというこれはかないまへんでした。
できまへんでした。
そやけどねお師匠はんのおかげでこの町内から旦さんの浄瑠璃を追放する事ができました。
こらあんたお手柄でっせ。
わたいね辻々にお師匠はんの銅像建てさせてもらいますわ」。
「そんな恥ずかしい事しなはんなや」。
「まあとにかく越前は遠おますさかいなここまでは聞こえまへんで」。
一方旦那の方でございます。
やって参りましたのが波打ち寄せる越前の海。
「お〜とうとう来てしもた。
これが越前の海かあ。
あ〜えらい景色やなあ。
鉛色の空今に雪でも降りだしそうな。
ここで呂太夫師匠は一生懸命声を張り上げて稽古してたんやなあ。
後で聞いた話によると呂太夫師匠が声を張り上げて稽古をしてるというとその低い声を聞いて海の底から海亀が海鳴りと間違えて陸へ上がってきたというそんな逸話を聞いた。
わいも負けんようにやるでえ。
呂太夫師匠聞いてておくんなはれやあ。
ん〜。
かかる所へ春藤玄番今頃は半七さん現れ出でたる武智光秀〜」。
よう皆さんご辛抱頂きました。
言うておりますとどういう訳でしょうか。
海の底からおびただしい数の越前がにがぞろぞろぞろぞろ丘の上へ上がってきよった。
「うっえらい事や!これどないなってあんねん!かにがぎょうさん陸へ上がってきたがな。
分かった!呂太夫師匠が越前の海で語ってるというと海鳴りと間違えて海亀が上がってきたというけれどもおいかにお前らもわしのええ声を聞いてええ?海鳴りと間違えて上がってきたんやろ?」言いますとかにがぐっと体を持ち上げて「味噌が腐る〜」。
(笑い)
(拍手)え〜林家花丸さんの「うぬぼれや」でございました。
いかがでした?はい。
花丸さんって芸が細かいというかすごくたくさん技を持ってらっしゃる方なんですね。
偉いな。
そのとおりです。
見ていると「また違う人になった」ってすぐにこう話し口調とかしぐさで分かるので見ていて分かりやすい落語でしたね。
そら何よりでございます。
宝塚も好きやしね。
歌も最初に聴かせて頂いたのなかなか落語の席では聴けない事なのでねすごく得をした気分だったんですけども。
この「うぬぼれや」って先生が…。
よう言うてくれました。
脚色されてるって…。
もともと江戸の小話…最後の部分だけのね最後の彼が出てくるとこだけの小話やったんですよ。
それ前こしらえましてあんなふうにしたという。
こういう事もやってる訳です。
落語ってもともとあるものを色づけをしたりというか肉づけをして出来るものもあるんですね。
あります。
すごく面白かった。
今日聴いて頂きましたけども落語の魅力ってのはいかがなんでしょうね?生で見るまではちょっとこう敷居が高いと思ってたんですが一回見てしまったら笑いの世界で本当にこう何て言うんだろう…明るい世界で笑うしか本当にないのでとても幸せにしてくれる笑いで…アンチエイジングもそうですけど気持ちを明るくしてくれるものですよね。
もっと皆さんに見てもらうといいなって思いました。
そない言うて頂けますと…敷居をもっと下げて頂かないと。
来て頂いたらね。
ありがとうございます。
今日は一日ほんまにありがとうございましたどうも。
では「上方落語の会」今日はこれでお別れです。
ではさよなら。
2015/06/12(金) 15:15〜16:00
NHK総合1・神戸
上方落語の会 ▽「金明竹(きんめいちく)」笑福亭風喬、「うぬぼれや」林家花丸[字]
▽「金明竹」笑福亭風喬、「うぬぼれや」林家花丸▽第351回NHK上方落語の会(27年4月9日)から▽ゲスト:大河内奈々子▽ご案内:小佐田定雄(落語作家)
詳細情報
番組内容
笑福亭風喬の「金明竹」と林家花丸の「うぬぼれや」をお送りする。▽金明竹:道具屋の店番の小僧さん、加賀屋さんから使いがきて口上を述べるが、この小僧さん、早口の口上が何を言っているのかよくわからない…▽うぬぼれや:浄瑠璃に熱中する旦那さんに迷惑千万の町内や店の者が師匠を訪ね、稽古を止めるように説得する。納得した師匠が話をするが、旦那さんは話を取り違え…。▽ゲスト:大河内奈々子▽ご案内:小佐田定雄
出演者
【出演】笑福亭風喬,林家花丸【ゲスト】大河内奈々子,【案内】小佐田定雄
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