無線LAN「ただ乗り」で初逮捕…不正アクセス
他人の家が飛ばした無線LAN(WiFi=ワイファイ)を勝手に使う「ただ乗り」をしたとして、警視庁と愛媛県警は12日までに、電波法違反(無線通信の秘密漏えいなど)の疑いで、松山市の無職・藤田浩史容疑者(30)を再逮捕した。「ただ乗り」自体の立件は全国で初。藤田容疑者は昨年6月、自宅近くの民家の無線LANパスワードを入手して無断で接続し、不正アクセスを行っていた。
インターネットに不正アクセスする犯罪が増加、多様化する中、「ただ乗り」そのものも、全国で初めて立件された。
再逮捕容疑は、昨年6月11日、総務相の許可なく自宅で無線局を開設し、自宅から数メートルの距離にある民家の無線LANのパスワードを入手して無断で接続した疑い。藤田容疑者は昨年2~6月、少なくとも90回以上ただ乗りを繰り返していたとみられ、遠隔操作ウイルスを送ったほか、他人のインターネットバンキングのIDを不正取得したとして、不正アクセス禁止法違反などの罪で現在、公判が行われている。
警視庁によると、これまでただ乗りを利用した犯罪が立件されたケースはあったが、ただ乗り自体を立件するのは初めて。パスワードが電波法上の無線通信の秘密に該当すると判断し、立件に踏み切った。ただ乗りすると、接続者の身元が特定されにくくなる。
藤田容疑者は、ネットオークションで高出力の無線アダプターを購入して無線局を開設。この民家の無線LANは一部が暗号化され、パスワードがかかっていたが、データを傍受し、セキュリティー関連雑誌の付録の無線通信解析ソフトを使って、パスワードを入手していたという。
逮捕された容疑者が、より軽いと見られる罪で再逮捕されたことに関して、インターネット事情に詳しいITジャーナリスト・井上トシユキさんは「パスワードを解析したというのは、家の鍵を壊して中に入るようなもの。この行為が器物損壊にあたるという見解を持つ法律専門家もいます」。それに加え、ただ乗りした上での犯罪も増えていることから「一種の見せしめという意味もあるのでは」とみている。
自宅の無線LANに、ただ乗りされるのを防ぐ方法については「とにかく、パスワードを複雑にするしかありません」。現在、1万円程度で市販されているソフトを使用すれば、数字4ケタのパスワードは約1秒で解析されてしまうといい、「英語と数字を交ぜ合わせた10文字以上にするべきです」と井上さんは話している。