アングル:盛り上がる反集団的自衛権の機運、夏の法案成立に影
[東京 12日 ロイター] - 憲法学者3人による違憲の指摘に端を発した反・安全保障法制の機運が、盛り上がりを見せようとしている。12日には元自民党の山崎拓氏ら政界の重鎮4人が会見で反対を表明。安倍晋三首相が訪米時に公言した夏までの法案成立に影を落としつつある。
<戦後最大の危機>
「じじいだからといって、こういう危機に黙っているわけにはいかない」──。12日に日本記者クラブで会見した元自民党の亀井静香・衆議院議員はこう語り、集団的自衛権の行使容認などの安全保障政策の転換を批判した。
会見には、かつて自民党の国会議員だった山崎拓氏や藤井裕久氏、武村正義氏が同席した。いずれも80歳前後の戦前生まれ。「日本が戦争に負けて以来、最大の危機に直面しているとの認識で一致」(亀井氏)し、共同会見を開くことを決めたという。
自民党の副総裁経験者である山崎氏は「歴代政権において踏襲されてきた憲法解釈を一内閣の恣意によって、変更することは認めがたい」と表明した。
<憲法学者220人が廃案に賛同>
政府は昨年7月の閣議決定で、限定的に集団的自衛権を行使できるよう憲法解釈を変更した。他国が武力攻撃を受けた場合でも、日本の存立が脅かさせる事態であれば、必要最小限の反撃ができるとした。
政府は実際に自衛隊を動かすために必要な法案を今国会で成立させる方針だが、6月4日の衆院憲法調査会に参考人として呼んだ憲法学者3人が「集団的自衛権は憲法違反」とそろって主張。これを機に、野党が法案への反対姿勢を強め始めた。憲法学者の有志が呼びかけた廃案要求には、220人以上の学者らが賛同の意向を寄せている。 続く...