挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
異世界に行ったら能力をコピー出来るようになりました 作者:和泉 和
2/28

第02話 装備確認

 こっ……怖かった……

 だんだんとなぶり殺しのように感覚が消えていく様は、有り体に言って恐怖そのものだった。
 活術の修練である精神修行のおかげで、大抵のことには動じない自信のある俺だけど、自分の生命が失われていくような感覚はさすがにクルものがある。

「有事の時こそ冷静であれ」と言うじいさんの言葉が重くのしかかる。

 しかしながら、感覚が戻るときは一瞬だった。
 感覚が完全に消えたと思った瞬間、俺は一人森の中に突っ立っていた。

 鍛錬で山に行ったときも空気がうまいと思ったものだが、それと比べても数段空気が澄んでいる。
 自然を感じさせる土と木の香りは心地よいものだった。
 針葉樹と広葉樹が入り乱れた森は、十分陽光を浴びることが出来る程度の深さだ。
 これなら、特別な装備を必要としないだろう。

 太陽の傾きから計算すると、日本との時差はほぼ無いようだ。
 ここは異世界であり、時差という表現が正しいかどうかは分からないが。

 とりあえず、持ち物の確認からだ。
 屋上から投げ出されたときは、鞄などの荷物は屋上に置きっ放しだったが、足下には見慣れたスポーツバッグが転がっている。
 中を確認するが、勉強をするつもりはなかったので、教科書の類いは一切無し。
 替えの下着と、胴着と袴、ジャージ、タオル、筆箱、スポーツドリンクの粉、栄養補助食品、チョコレート、ソーラー充電器、それに財布だ。
 続いてポケットの中身は、携帯電話とハンカチ、ティッシュ、学生証、小銭入れのがま口、そして、父さん達からの手紙だ。

 とりあえず、父さん達からの手紙を除けばおかしいところはない。
 真っ先に確認するべきは、この手紙だろう。

 
 恭弥へ
 この手紙を読んでいると言うことは、無事に転移出来たことだろう。
 隷属術式を書き換えて、そちらの世界で生活するのに便利な力を与えることにする。
 父さん達が与えた能力についてはこの手紙で説明するけど、それ以外にも、別な能力が発現しているかも知れないから、注意するように。
 父さん達が与えた能力は、【メニュー】と【完全見取り】それに【限界突破】だ。
 詳しくは、【メニュー】から確認できるから、「メニューオープン」と唱えてみるといい。
 それでは、恭弥、達者で暮らしなさい。

 
 とりあえず、言われたとおりに、「メニューオープン」と唱えてみる。

 
 ---------------------------
 アイテム
 ステータス
 SP操作
 コンフィグ
 ---------------------------

 
 VRなウインドウが目の前に現れる。

 透過しており、完全に視界が奪われることはないが、視界が遮られ見えにくいことは確かだ。

 試しに、アイテムの文字にふれてみると、何もない空のウインドウが表示された。

 なるほど。アイテムは持っていないらしい。
 首をひねっていると、新たにウインドウがポップする。

 
 ---------------------------
 ■ヘルプ
 アイテムボックス。
 手で触れて、「格納」と念じることでアイテムボックスに収納。
 出すときは、アイテムの一覧から選択するか、取り出したいアイテムを思い浮かべながら、「取り出し」と念じる。
 メニューからも取り出しは可能。
 ---------------------------

 
 試しに、父さんの手紙を格納してみる。
 アイテム一覧が更新され、『父からの手紙』が追加される。
 次はステータスだ。

 
 ---------------------------
 名前
  藤堂 恭弥
 種族
  人間
 職業
  無職
 年齢
  18歳
 レベル
  1
 SP
  30
 生命力
  2000
 魔力
  120000
 力
  1100
 体力
  1000
 敏捷力
  1100
 知力
  1000
 精神力
  1000

 スキル
  メニュー(LV1)
  完全見取り(LV1)
  限界突破(LV5)
  SP操作(LV1)
  真理の魔眼(LV1)
  自動翻訳(LV1)

 術技
  なし
 ---------------------------

 
 これは……基準が分からないから、強いのか弱いのか分からんな。

 ドラ○エだと最強だろうが、ディス○イアならどうだろう。
 まぁ、レベル1って事は、言うほど強くないって事だろう。

 数値化されると微妙な感じがするけど、数値で表すことの出来ない力って言うのは、あるからな。
 戦闘経験しかり、じいさんから習った技しかりだ。

 それにしても、剣と魔法の世界か。
 魔法を覚えると、術技に追加されたりするのだろうか?
 それは少し楽しみかも知れない。

 スキルはアレだな、父さんと母さんから貰った便利能力が表示されてるし、便利能力が表示されるのだろう。
 逆に、知らない項目は、【SP操作】、【真理の魔眼】この二つか。

 表示されているスキルをじっと見ると、またヘルプウインドウがでる。

 
 ---------------------------
 ■ヘルプ
 ・スキル名
 【メニュー】

 ・レアリティ
 10

 ・詳細
 レベル1
 ・アイテムボックス
  アイテムボックス内のアイテム一覧を表示する。
  アイテムボックスの使用方法については、こちらを参照。
 ・ステータス確認
  現在のステータスを確認できる。
 ・VRウインドウ(地図)の常時表示
  設定はコンフィグから行なうことが出来る
 ---------------------------

 
 レアリティ10って言うのがどれくらいのレアリティか分からんな。

 試しにコンフィグを開いてみると、『地図を常時表示する』と言う項目がぽつんと表示されている。
 とりあえず、タップしてみると、地図の大きさと視界上での表示位置が選べるようだ。

 最大のものは視界を覆い尽くす程のサイズであるため、自分の近辺だけを表示する最小の地図を表示することにする。
 どのみち、一度通るか視界に収めた場所以外は地図には表示されないようなので、現状はこれで問題なさそうだ。

 迷ったら、大きな地図にして確認すればいいだろう。

 
 ---------------------------
 ■ヘルプ
 ・スキル名
 【完全見取り】

 ・レアリティ
 10

 ・詳細
 一度見たスキルや、術技を収集、習得することが出来る。

 レベル1
 生物が持つレアリティ9までの、スキルおよび術技を収集、取得できる。
 レベル5以上のスキルも複製できるが、最初の複製では、レベル4での複製となる。
 ---------------------------

 
 これはまた、強力なスキルだな……レベル1では制限があるようだが。

 もともと、見取り稽古は得意だからな。
 稽古にして極意、ひいては奥義でもあるわけだし。

 しかし、『一度見たスキル』ってのが曖昧だな。
 名前だけ知っていればいいのか、能力の発動を確認しなければいけないのか、その両方か。
 スキルだと知らずに見た場合はどうなるのか。
 まぁ、追々確認だ。

 
 ---------------------------
 ■ヘルプ
 ・スキル名
 【限界突破】

 ・レアリティ
 9

 ・詳細
 各種制限の限界を解除する

 レベル1
 パラメーターの種族上限解除
 レベル2
 レベル上限解除
 同一経験での成長上限解除
 レベル3
 連続成長上限解除
 レベル4
 スキル、術技取得制限解除
 スキル、術技取得数限界解除
 レベル5
 種族制限解除
 ---------------------------

 
 成長の限界が無くなるって事か?
 まぁ、今はレベル1だしな。
 ステータスもそれなりだ。

 今のところは、気にしないでも良いだろう。
 レベルが99とかになったら改めて気にすれば良い。

 
 ---------------------------
 ■ヘルプ
 ・スキル名
 【SP操作】

 ・レアリティ
 10

 ・詳細
 SPを操作して、スキルや術技のレベルを上げることが出来ます。
 SP操作はメニューから行なって下さい。

 レベル1
 自身のスキルおよび術技のレベルを上げることが出来る
 ---------------------------

 
 メニューから選択してみると、レアリティと同量のSPを消費することで、各スキルのスキルレベル上げる事が出来るようだ。
 現状SPは30。
 回復する手段も分からないし、【真理の魔眼】以外のコストは軽いとは言えない。
 とりあえず、放置だな。

 
 ---------------------------
 ■ヘルプ
 ・スキル名
 【真理の魔眼】
 ・レアリティ
 4

 ・詳細
 魔眼。鑑定眼の上級で、アイテムの他に、他人のステータスを見ることができる。
 レベルが上がると、(ことわり)を見通すことが出来るようになる。

 
 レベル1
 アイテムの情報を見ることができる。
 他人のレベルおよび、レアリティ9以下のスキル情報を見ることができる。
 ---------------------------

 
 試しに、近くの草に目を向けてみる。
 魔眼の発動方法が分からなかったが、とりあえず目に氣を集めると、

 
 ---------------------------
 ・名称
 ヒポクネ草

 ・詳細
 回復の薬草。
 そのまま傷口に湿布するか、煎じて飲むことで効果を発揮するが、生成されたポーションから比べると、効果は低い。
 ---------------------------

 
 おお、なにげに便利そうだな。

 ついでに、ヒポクネ草も摘んでいくことにする。
 足下に大量に生えているので、適当な量をつんでアイテムボックスに放り込んでおく。
 ファンタジーな不思議草だ。いつか、何かの役に立つだろう。

 で最後が……って言っても、大体想像が付くけど……

 ---------------------------
 ■ヘルプ
 ・スキル名
 【自動翻訳】

 ・レアリティ
 2

 ・詳細
 自分の思考言語以外の言葉を、思考言語に自動翻訳する。
 翻訳先言語は、任意に変更できるが、特に意識をしない場合は、大陸共通語に翻訳が行なわれる。
 自分が話した言葉は、自動翻訳される。
 文章を記述する際は、スキルによって自動書記する事で記述が可能。
 翻訳できる言葉は、レベルによって変化する。

 レベル1
 大陸共通語

 ---------------------------
 なるほど。
 いきなりすべての言葉を翻訳することはできないのか。
 とは言え、この共通語ってのだけで十分そうだけどな。
 これで一応全部のスキルを確認し終わったか……

 

 
すみません、説明回みたいになってしまいましたね……

改稿履歴
旧生物が持つレアリティ9までの、スキルおよび術技を取得できる。
新生物が持つレアリティ9までの、スキルおよび術技を収集、取得できる。

旧レベル5のスキルも複製できるが、最初の複製では、レベル4での複製となる。
新レベル5以上のスキルも複製できるが、最初の複製では、レベル4での複製となる。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。

Ads by i-mobile

↑ページトップへ