“その日”大阪は?どうなる生活、
特別区移行「平成29年4月」のとある景色
産経新聞5月2日付朝刊に、下記のような平成29年4月特別区移行時の予測記事(抜粋)が掲載された。
大阪都構想の住民投票で賛成多数となれば、平成29年4月に大阪市は5つの特別区に分割され、市民は特別区民となる。・・・略・・・「その日」が来ると街はどう変わるのか。制度設計をまとめた特別区設置協定書や事務方の説明から未来予想図を描く。
《29年4月1日。桜が咲き始めた大阪城公園は観光客らでにぎわう。所在地は大阪市中央区から大阪府中央区に変更。所有権も市から府に移ったが天守閣の入館料は変わらない》
府外からの来園者も多い大阪城公園など大規模な5園が府に移管。主な利用者が地元住民の小規模な公園は所在地の特別区に移される。現在の24区に1館ずつある図書館は特別区、市内に1つしかない市立体育館「市中央体育館」は特別区が共同でつくる一部事務組合の所有になる。
《小中学校に進学する子供は期待や不安で胸がいっぱいだ。市立小中学校は区立に変わるが、兄姉と同じ学校に通うことができる》
市立小中学校は計約430校。所在地の区立となり、基本的に学区は変わらない。ただ小学校3校、中学校2校では学区が南区と中央区にまたがるため、住民投票後に受け入れ態勢を協議する。
小中学校教員は各区に振り分けられる。区に設置される教育委員会が人事権を持ち、基本的には区内で人事異動を行うが、橋下氏は「不都合があれば区長同士で話をして共同で採用したり、人事を回したりすると思う」との見解を示す。
《市役所本庁舎は特別区の北区役所に。区内の旧北、福島、都島、淀川、東淀川区役所も特別区の支所として業務を続け、区民の申請を受け付ける》
特別区移行後、市職員の多くは区職員として区民に身近な行政サービスを担う。各特別区ごとに本庁舎が定められ、それ以外の旧区役所は支所になる。
《民営化が見送られた市営地下鉄は府に移管される。70歳以上の市民が市営交通に1回50円で乗車できる「敬老パス」事業は各区が引き継ぐため、4月1日から使うことが可能だ》
協定書には「住民サービスの水準を低下させないよう適正に引き継ぐ」と明記されている。だが移行後50日以内の選挙で選ばれる区長、区議会が住民サービスを決めていくため、いずれは5区間でサービス内容の違いは出てきそうだ。
“その日”大阪は?どうなる生活、
「平成37年」大阪都のとある景色
産経新聞の予想した特別区設置の時から、さらに8年が過ぎ、順調に走り始めた平成37年(2025年)の大阪を予想してみた。
世界の観光都市「Osaka Metropolis」
かつては開発に失敗し荒れ地が広がっていた夢洲。現在は大阪都湾岸区に属するこの地域には世界中から観光客が訪れる。都構想実現後、法改正が行われ、大阪府から大阪都という名称に変わった大阪は「Osaka Metropolis」として世界に認知され、いまやアジアナンバー1の観光都市となった。
大阪府と大阪市でバラバラに行われていた観光政策が大阪都に一本化され、強力に推し進められた結果、湾岸区夢洲にシンガポールをモデルとした統合型リゾート施設の誘致などに成功したのだ。さらに今年は大阪都のリーダーシップのもとオール大阪で世界との誘致合戦を制した2回目の大阪万博が開催予定で、大阪は好景気に湧き、かつての活気を取り戻している。
交通インフラの飛躍的発展
インフラ整備を一元的に担うこととなった大阪都は、この万博開催に合わせ、二重行政により停滞していた交通インフラの整備を一気に進めた。
二期工事が完了しイノベーションハブ機能を担う「緑」の新都心「うめきた」を起点する地下鉄新線「なにわ筋線」が開通し、大阪都心と関西空港が直結。さらに「市営」の呪縛から解き放たれた地下鉄「大阪メトロ」は、東京では既に常識となっている私鉄との相互乗り入れを開始し、地下鉄・私鉄間での乗り換えなしでの移動が順次、実現している。さらに、東京・名古屋間より20年程度遅れると言われていたリニア新幹線の大阪延伸は、2027年の東京・名古屋・大阪間の同時開業にこぎつけた。東の東京都に並ぶ西の大阪都として発言力が増した地方政府「大阪都」による中央政府への働きかけの成果だ。
一方道路では、淀川左岸線延伸部の工事がようやく完了し、大阪府と大阪市が対立して整備が進まず環状高速が途中で途切れてしまっていた、いわゆる「ミッシングリンク」問題が解決し、大阪市内の交通渋滞が大幅に緩和された。これにより御堂筋の側道を廃止して歩道の拡幅を行い、沿道にオープンカフェなどを集積する「御堂筋シャンゼリゼ計画」も実現間近となっている。
【大阪はかつて大阪府と大阪市の二重行政の結果、オール大阪の体制構築ができずにオリンピックの誘致に失敗しました。一方、東京は東京都が強力なリーダーシップを発揮してオリンピックの誘致に成功しました。バラバラになっていた観光政策や産業政策、交通インフラの整備などを一元化し、大阪都の強力なリーダーシップのもと大阪の経済再生を図るのが大阪都構想の一つの意義です。】
伝統と先進が織りなすまち、南区
一方、南区のとある中学校。区が設立し、運営を大手学習塾に委託した日本初の小中一貫の公設民営学校の第1期生が卒業式を迎えていた。住宅地を多く抱える南区では、教育日本一を掲げた区長が選挙で選ばれ、特色ある大胆な教育施策を次々と打ち出したのだ。卒業生の進路は国内の難関校にとどまらず、海外の名門ハイスクールへの進学予定も3割を超える。独自の特色を打ち出した結果、教育環境のよいまちとして子育て世代の転入が大幅に増えている。
住みよさナンバーワンのまち、東区
この成果を受けて同じく住宅地を多く抱え「住みよさナンバーワン」を掲げる東区も、小中一貫の公設民営学校の設置を決めた。さらに、東区ではかつて地域事情が分かっていない中之島の市役所主導で中途半端な形で開発され、利用が低迷していた地下鉄今里筋線と千日前線を区内の主要交通と位置付けた。その上でこれを延伸し、阪急やJRの駅と接続させることを決めた。緑をテーマに新たな観光名所としてリニューアルした鶴見緑地に加え、森之宮への大学誘致の成功などもあり、イメージチェンジされた東区は都心に近い便利で環境のよい住宅都市として人気だ。
世界に誇れるゲートシティ、中央区
一方、中央区は、かつて西成区と呼ばれた地域に区の主要施設を集積させ、官庁街として再生させることに成功した。道頓堀や新世界、心斎橋、なんばなどを抱え、それらが区主導で新たにLRT(次世代型路面電車)で結ばれた中央区は、北区と並ぶ大阪の顔として世界中の観光客が「一度は行ってみたいまち」と言われるようになり、かつてない賑わいを見せている。一方で文教地区としての伝統を活かすべく、塾代助成クーポンの拡充など、独自の教育支援施策も充実している。
未来の風を感じるまち、湾岸区
湾岸区では5つの区で唯一のベイエリアとしての特色を活かし、水上バスやクルーズ客船などによる水上交通網が整備されている。シンガポールモデルの統合型リゾートの誘致の成功は多数の雇用と税収を生み、津波被害対策、海抜0メートル地域対策などが大阪市時代とは比べ物にならないほど進んだ。毎日8時にはベイエリア全体を使った音と光のショーが開催され、巨大なコンベンションセンターでは毎日のように国際学会などが開催されている。まちには知的な雰囲気と海外のリゾート地のような雰囲気とが溢れている。
緑ゆたかな成長する都心、北区
梅田や新大阪を抱え大阪の発展のシンボルとして栄えてきた北区は、「うめきた」の全面開業、新大阪へのリニアの新駅設置、国際戦略特区の成功などにより、さらなる進化を続けている。かつてはビジネス街としてのイメージが強かったが、淀川、大川、神崎川などの親水空間化や、「うめきた」や柴島浄水場跡地の緑を中心としたまちづくなど、近年は緑あふれる都心の住宅地を目指した施策にも力を入れている。
【医療・福祉・教育政策など身近な住民の暮らしに特化した各特別区役所では、選挙で選ばれた区長が地域の特徴に合わせた特色ある施策を実施するようになります。そしてある区で成功した施策は、民意を受けた公選区長により他の区でも取り入れられます。今までの24区横並びの区政から、5つの特色区による良い意味での切磋琢磨により、まちの魅力と住民サービスが向上していく。これも大阪都構想の大きな意義です。】