ユーモラスな話や出来事ですぐに大笑いする人もいれば、かすかに笑うだけの人もいるのはどうしてだろう?
背景に「遺伝子」があるようだ。
米ノースウェスタン大学のクラウディア・ハーゼ氏らの研究グループが、米国心理学会が発行する感情の研究に重点を置いた心理学分野の科学誌エモーション誌で2015年6月1日に報告している。
「本物の笑い」を調べた
研究グループは、うつと不安に関わる神経伝達物質である「セロトニン」が関係していると想定。
「セロトニントランスポーター(5-HTTLPR)」と呼ばれる遺伝子について、短い人と、長い人がおり、かねてうつ病や不安との関係が指摘されている。
以前の研究では、短い人はうつや薬物乱用など望ましくない結果になりやすく、長い人より否定的な感情が強いことが示されていた。
研究グループは、1つ目の試験では10代後半の若者に漫画を見てもらい、2つ目では若者、中年、高齢者に微妙にユーモラスな映画を鑑賞してもらう、3つ目では中高年のカップルに夫婦間の不一致について話し合ってもらうという3つの実験を別個に行った。試験は録画し、顔のわずかな動きを捉える「フェイシャル・アクション・コーディング・システム(FACS)」を使ってその映像から微笑や笑いをコード化した。
人は儀礼的に、あるいは否定的な感情を隠そうとして、おかしくなくても笑うことがある。本当に微笑んだり笑ったりするときにしか出ない目尻のしわをもとにして、本物と作り物を分けた。例えば、目尻に笑いジワができるのが本当に笑ったときという。
その上で、全体で約340人の参加者を分析し、唾液を採取して5-HTTLPRのタイプを調べた
「短い人」は感受性が高い
その結果、5-HTTLPRが短いタイプの人は長いタイプの人と比べて、本物の微笑や笑いが大きかった。
より感情表現が豊かなわけだ。短いタイプの人は、良い環境でも悪い環境でも感情的に強く反応し、長いタイプの人は環境に対する感受性が低いことになる。
「遺伝子が全てを決めるわけではなく、結果は生まれと育ちの相互作用だ」としながらも、「短い対立遺伝子を持つ人は肯定的な環境で活発になり、否定的な環境で苦しむ。この遺伝子は、否定的/肯定的いずれにしても、感情を増幅する働きがあるのではないか。長い対立遺伝子を持つ人は環境自体に感受性が低い」と研究グループは述べている。
人間の感情に関わる遺伝子の重要な面に光を当てる研究である。
よく笑うのは良いことでは有るものの、遺伝的に見ると可能性のある、そのもろさには気をつけたい。
文献情報
QUICK TO LAUGH OR SMILE? IT MAY BE IN YOUR GENES
Haase CM et al. Short Alleles, Bigger Smiles? The Effect of 5-HTTLPR on Positive Emotional Expressions. Emotion. 2015 Jun 1. [Epub ahead of print]
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26029940
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