それには理由があって、まず『関ジャム』って番組が始まりました。これは関ジャニがバンドとして毎週ゲストミュージシャンとセッションする、ということをやっています。
そしてもう一個のほうが多分大きいんですけど、Mステでバンドとして生演奏する機会がありました。
関ジャニがバンドもやってる("も"っていうのは踊る曲もあるから)器用集団っていうことを世間にアピールできてよかったね。と私は軽く考えていたのですが。。。
②『関ジャム』に(ほぼ)毎週届く「ファンから見ても関ジャニの演奏能力はまだまだです。ゲストミュージシャンのためにも演奏能力の向上を期待します」というお便りをわざわざ読むコーナー
おお、これじゃあまるで世間へのアピールが逆効果じゃありませんか…。
そこでまず検討したいのは①は結果論として②、これは意図的に番組サイドから世間に発信しているという点において、けっこう「賭け」だと思います。これにはメリットとデメリットがあると思います。
良い印象を与える可能性:
・上手いと言うことも出来るのに、天狗にさせない姿勢がゲストミュージシャンへのリスペクトに繋がって好印象
・正直ベースで話が出来る雰囲気が好印象
・本人たちがネガティブな意見でもしっかり受け止めようとする謙虚なところが好印象
悪い印象を与える可能性:
・とにかく人をdisりたいタイプのネットの人に「やっぱ下手なんじゃん」という餌を与える
・「演奏技術の向上」とはどの程度のレベルを指すのか?現状の演奏のどういった点がまずいのか?という説明が曖昧なため永遠に問題が解消できない
・単に練習時間を増やせという話ならその分他の業務から時間が引かれるが?(ダンス、トークや司会、バラエティ出演、映画や舞台やドラマなど役者業その他)
私はこれ、悪い印象のほうを考えちゃいます。
そう思うファンもお便り送るファンも全く悪くないんですけど、あくまでそれを定期的に発信しようという番組の姿勢の話ですが。
そもそも私は音楽を「上手い」とか「下手」とかそういう尺度で見るのがとてもとてもとても嫌なんですけど、それでも一応これまで生きてきて常識という偏見のコレクションとは上手く付き合ってきたわけですから、「この2015年時点のポップスという狭い枠組みの中で何が上手いとされ何が下手とされているかという世間の一時的なルール」のようなものは客観的に大体分かっているつもりです。(主観的には全然分からないですけど)
ので、じゃあ関ジャニって具体的にどの程度「下手」でどの程度「上手く」なればいいんですかね?それをファンや世間は彼らにどれぐらい望んでるんですかね?というところを考えていかないと一生終わらない気がします。
どの程度「下手」か
私はちょっとほっとしました。みんなの求めているレベルがもっと「コード進行だけ渡されてその場で適当に対応できるスタジオミュージシャン的技量」とか「フュージョンからヘヴィーメタルまで対応できる馬鹿テク的技量」とかに向いてたら大変だなと思っていたからです。
つまり「普通の(つまりアマチュアからライブをやって売れてきた)ロックバンド」と同等ぐらいの腕を期待している、っていうことなんですね。
これ、「普通の」の平均をどこに置くのかは非常〜に難しいんですけど、ベテランまでいかない、ハードロック寄りの技巧派ではない、メンボで「中級」で募集して集まってくる程度、っていうことなら関ジャニは既にパスできてると思われます。
じゃあなんで下手に聞こえるんですか?→曲が難しいからです
実は昔、関ジャニのコピーバンドをやろうと思い立ったことがあって、しかも「バンドはやったことないんですけど関ジャニのファンで‥」って人たちと1から作り上げるのがその時は面倒だったので*1、思い切って即戦力を求めて「バンド経験者でそこそこ腕に自身がある人」って括りで集めたんですよ。
で、結局その時は20台後半で男女混合、バンド経験豊富な人たちが集まってくれたんです。で、せーの、で合わせたんですけど、難しいんですよ、ジャニーズの曲。中々息を合わせるのが難しかった。
まあ社会人だからみんな合わせる機会がなくて…っていうのは関ジャニの皆さんも一緒だと思うので。
何が難しいんだろう、って考えたんですけど、単純に技巧って話じゃないんですよね。多分、同じメンバーでMR.BIGとかやったほうがスコアの難易度は高くても「上手く」出来たんじゃないかと思います。
変なことを言うようですが、まずジャニーズの曲ってバンドの曲じゃないんですよ。
まず、バンドマンが手癖で作れる感じじゃないというか、リフがあってそこからセッション的に演奏的気持ちよさから生まれてくる感じの曲ではない。だからバンドでやってスムーズに感じない。
コード進行が凝ってたり、おかずが多かったり、それによってかなり全セクションのリズムをタイトにしないと全部が崩れて聴こえる、"グルーヴ"とか通用しない。
っていう、根本的に「普通のロックバンド」に求められているテクニックとはまた違う種類のテクニックが彼らの曲の演奏には求められている、という点がありますよと。(それも慣れなので、どっちのほうが簡単、ということでもないが、とにかく種類が違う)
なので、「普通のロックバンド」程度に上手くなって欲しい、という問題の解決は簡単です
・バンドで演奏するのが簡単(でもリフが華やかでカッコ良く見える、ただし複雑な進行や余分なオカズは一切入れない)な曲を作る
・ギターソロは安田くんが自分の手癖に合わせて作る(重要なのは100回弾いて1度もミスらない程度の難易度で作ること。テクニックを見せようとするよりメロディをなぞったものにする)
・新曲は早めに作っておき、何回か練習で合わせた上でテレビに出る
・楽器メンバー(すばる以外)はサビのコーラス以外は歌わず演奏に集中する
元々カメラへの存在感、ビジュアルの見せ方、すばるの歌の世界観、っていうところは間違いないわけだから、本当にあとはこれだけだと思いますよ。(Mステ、生で見ていたオカモトズのハマさんは関ジャニの演奏にグッときたとかって呟いておられましたし)
ファンの人だって他の役者業とかを疎かにしてまでバンド一本に打ち込んで欲しいと思っているわけじゃないと思います。
いやそういう人もいるのかもしれないが、それこそその人の求める「上手い」バンドなら世界にバンドは沢山いますから、他に探しに行くのも楽しいでしょう。
けど、まあ一応世間のあれとか世間のあれとかがある世間なので、それこそ「下手じゃない」って思わせるだけなら意外と手軽なソリューションあるんじゃね?というお話なのでした。
書き忘れたこと追記:
ところで私が関ジャニのバンドに求めているのってじゃあなんなんですか、って言ったら色々あるけど、ひとつが「ストーリー」です。
横山くんが、昔は「俺もちゃんと楽器できるようになってみんなと音楽したい…」って言ってたのが、トランペットを練習して村上くんのピアノとセッションした…。とか、
先週のMステで村上くんがピアノをとちるっていうことに今週のMステでオチがついた。
みたいな、その一回一回の演奏だけで完結しない、関ジャニっていう、人生のタイムライン上に途切れなく続くストーリーの中の一瞬としての演奏、ということです。
でもそれはかなりファンのハイコンテクストな楽しみ方であって、「一般の人たち」によく思われとく、っていうことをしておいても損はないよね、という話でした。
*1:今はそれも楽しいかなと思っている。メンバーは随時募集中ですw