子供たちは夢を見ながら育つ。ロボット・テコンVのようなSF漫画や映画は、子供たちに科学が高度に発達した未来への夢を抱かせる。日本がロボット大国となったのも、幼いころに手塚治虫氏の「鉄腕アトム」を見て育った子供たちが科学者になる夢を育ててきたからだ。米国は今も架空ヒーロー映画「アイアンマン」によって科学者を目指す子供たちを育てている。しかし韓国ではテコンVに続く作品は出なかった。科学者になりたいと夢を抱く子供たちも減った。
ただ幸いなことに、先日科学技術を活用した文化コンテンツの開発に投資が行われるといううれしいニュースも聞こえてきた。科学分野の研究者たちが資金を拠出し、主に科学技術者年金などを運営する科学技術人共済会が、科学と文化を融合させた複合コンテンツの開発を目指すファンドを立ち上げるという。企業などからも出資を受け、200-300億ウォン(約22-33億円)規模でスタートする見通しで、主に漫画や映画、ゲームなどの分野に投資を行うようだ。ただしコンテンツ開発や制作過程には必ず科学者を参加させるという条件が付けられている。米国の物理学者キップ・ソーン氏がシナリオ段階から加わった映画『インターステラー』が成功を収めた事例を参考に、科学を分かりやすく、また面白く伝えるコンテンツを今後数多く制作することを目指すという。科学技術人共済会のキム・ヨンシク理事長は「今後は科学技術関連のコンテンツを増やすことで、研究者の雇用も同時に創出できる一石二鳥のプロジェクトになるだろう」と意欲的だ。世の中に旋風を巻き起こす第2、第3の「テコンV」の登場が待たれる。