柏連続通り魔:無期判決の被告「また人殺せる」
毎日新聞 2015年06月13日 00時02分(最終更新 06月13日 00時34分)
千葉県柏市で昨年3月、2人が死傷した連続通り魔事件の裁判員裁判。強盗殺人罪などで求刑通り無期懲役を言い渡された柏市あけぼの、無職、竹井聖寿(せいじゅ)被告(25)は「これでまた将来、殺人ができるぜ」などと大声を上げた。「今回の判決で良かったのか」。判決後、審理に参加した裁判員4人が記者会見し、複雑な思いをうち明けた。【円谷美晶、信田真由美】
千葉地裁の201号法廷。竹井被告は、白のタンクトップから入れ墨の入った両腕を出し、グレーのハーフパンツ姿でオウム真理教の歌を口ずさみ、尾崎豊さんの「卒業」を歌いながら入廷した。椅子に座り、腕と足を組みながら、小森田恵樹裁判長の言葉に耳を傾けていたが、無期懲役を言い渡されると大きく何度も手をたたき、傍聴席を振り返った。
会見した裁判員の30代の女性は「今日まで判決は間違っていないと思っていた。でも最後まであのような態度だと、今回の判決が正しかったのかとショックがあった」と涙を浮かべながら話した。40代の女性は「被害に遭った人の気持ちを考えると、今でもこの判決で良かったか悩んでいるし、これからも悩み続けると思う」と言葉を選びながら、心情を吐露した。
8回にわたる公判で、竹井被告は一度は遺族に謝罪する意思をほのめかしたが、被告人質問では「謝罪してもしきれないので謝罪を撤回せざるをえない。テロの犠牲者と考えてほしい」と言い「名を残したい。死刑にしてほしい」とも主張した。
検察側の求刑は無期懲役だったが、こうした被告の態度に触れ、会見した男性1人、女性3人全員の頭には「死刑」も浮かんだという。30代の女性は「彼が何を考えているのかわからなかった。パフォーマンスでやっているが、本当は反省しているのではないかと期待した」と振り返った。
竹井被告は閉廷後、「検察官、悔しかったら死刑にしてみろ」「殺人は麻薬より気持ちいいぜ」などとわめき、刑務官4人に両脇を固められて引きずられるようにして法廷を去った。
弁護人は竹井被告の態度について「初めての経験で残念。本人なりに思うところがあってやったのだろう。死刑にしてほしい、という発言は本気だとは思わない」と話した。
◇遺族「死刑の壁、高い」
殺害された池間博也さん(当時31歳)の両親は公判を全て傍聴した。判決後、「殺された被害者が1人であった時には死刑の壁が高いと感じた。最後まで法廷や遺族を侮辱する態度をとった被告の態度に強い憤りを覚える」とのコメントを出した。