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 京都大などの国際研究グループが、西アフリカで現地の人が樹液で造った酒を野生のチンパンジーが繰り返し飲む行動を観察し、論文にまとめた。野生動物で習慣的な飲酒が確認されるのは初めてだとしている。

 グループは1976年からギニア共和国で野生のチンパンジーの群れを観察してきた。現地の人は高さ10メートル弱のヤシの木に傷をつけ、樹液を自然発酵させている。数時間で白濁した甘酸っぱい酒になり、アルコール度数は平均3・1%、高いものは6・9%と一般的なビールを上回る。

 発酵させるタンクの酒をチンパンジーが飲む姿は95年以降、2012年までに計20回、延べ51頭確認された。性別は関係なく6歳の子どもから大人までいた。虫やゴミが入らないようにタンクにかぶせた葉っぱなどをしわくちゃにして、スポンジの要領で酒に浸し、口に運んでいる。

 チンパンジーもアルコールを分解できる遺伝子を持っている。12日に発表した研究グループの松沢哲郎・京大霊長類研究所教授は「酔うかどうかは分からない」としつつ、飲酒した中年の雌が「気持ちよさそうに歩いて去る姿が印象的だった」という。成果は英王立協会の学術誌電子版に掲載された。(阿部彰芳)