トップページ社会ニュース一覧国際電話の高額請求 IP電話乗っ取りか
ニュース詳細

国際電話の高額請求 IP電話乗っ取りか
6月12日 17時14分

国際電話の高額請求 IP電話乗っ取りか
k10010112621_201506121722_201506121723.mp4
利用者には身に覚えのない高額な国際電話料金を請求されるなどしたケースが、ことし3月までの1年間に通信会社3社だけでもおよそ190件に上ることが分かり、業界団体は、インターネットを利用して割安で電話をかけられる「IP電話」が不正なアクセスによって乗っ取られたケースが少なくないとみて、注意を呼びかけています。
通信会社各社によりますと、利用者には身に覚えのない高額な国際電話料金が発生したケースがことし3月までの1年間に、NTT東日本で61件、NTT西日本で40件、フュージョン・コミュニケーションズで90件と、合わせて191件に上っています。
このうち東京・世田谷区の保険代理店では、ことし3月、アフリカ西部にあるシエラレオネに向けて4日間でおよそ1万4000回にわたって国際電話がかけられ、通信会社から通話料金として250万円余りを請求されたということです。
国内の大手インターネット事業者などで作る日本インターネットプロバイダー協会によりますと、こうしたケースでは、インターネットを利用して割安で電話をかけられる「IP電話」が不正なアクセスによって乗っ取られたケースが少なくないとみられ、企業などの中に設置されている電話とインターネットをつなぐ特殊な装置のパスワードが破られているとみられるということです。
日本インターネットプロバイダー協会の立石聡明専務理事は「企業向けなどのIP電話のパスワードは比較的簡単なものになっているところがあり、そうしたところが狙われているのではないか。パスワードが複雑なものになっているか点検が必要だ」と話しています。

具体的な被害の状況

東京・世田谷区の保険代理店でIP電話を利用している茨木眞さんは、身に覚えのない国際電話で多額の通話料金を請求されました。
ことし3月会社のIP電話から4日間でおよそ1万4000回にわたり、西アフリカの国、シエラレオネに向けて国際電話がかけられていました。1回の通話時間は30秒ほどで、その後、電話会社から通話料金として250万円余りを請求されたということです。
電話会社から「海外に何度も電話をしていますが、心当たりがありますか」という問い合わせを受けて、初めて気付いたということです。
料金は請求どおりに銀行口座から引き落とされ、電話会社に被害を訴えましたが、弁済はされませんでした。
茨木さんは「負担は相当に大きい。IP電話の仕組みがしっかり分かっていれば対策ができたかもしれないが、知らぬ間に被害に遭い何もできなかった」と話しています。
茨木さんは「だれがなぜ、こんなことをしたのか理解できない。IP電話の仕組みを知らない会社はほかにもあると思うし、被害を広げないために、電話会社には被害防止や弁済のために早急な対策をしてほしい」と訴えています。

IP電話とは

IP電話は、インターネット回線を使って音声をデジタルの信号で送受信する電話サービスで、従来の電話回線を使った加入電話と同じように使うことができます。
加入電話に比べて料金が安いことから利用が増えていて、固定電話全体に占める割合は去年12月末現在、49.6%とほぼ半数を占め、3510万件の電話番号が利用されています。
「050」で始まる電話番号がIP電話であることが知られていますが、今は通常の加入電話と同じ市外局番から始まるIP電話のほうが多く普及しています。
IP電話の電話機とインターネット回線は、専用の接続機器でつながっています。この接続機器のパスワードが初期設定のままだったり、分かりやすい番号だったりした場合、インターネットを通じて外部からアクセスされ、電話が利用されるおそれがあります。

総務相「被害防止の対応進めたい」

高市総務大臣は12日の閣議の後の記者会見で「きょうからホームページで注意喚起する」としたうえで、「不正利用の実態を速やかに把握するとともに、適切な対策を行っている関係事業者の取り組みを広く共有してもらい、被害防止の対応を進めたい」と述べました。
さらに、「より有効な対応策の検討を進め速やかに取りまとめて対応していきたい」と述べて、ことしの夏までに総務省として対策を打ち出す考えを示しました。

関連ニュース

k10010112621000.html

関連ニュース[自動検索]

このページの先頭へ