化学療法学会:「著書販売禁止は総会会長の独断」
毎日新聞 2015年06月12日 03時00分
◇調査内容まとめ、教授に文書で回答
公益社団法人・日本化学療法学会(事務局・東京)が、薬剤の使用法などに批判的な著書がある会員の岩田健太郎・神戸大教授の出版物を今月開いた総会会場で販売禁止にしていた問題で、学会は11日、事実関係を認める調査内容をまとめ、岩田教授に文書で回答した。禁止の指示を出したのは「総会会長の二木芳人・昭和大教授の独断」とした上で、「学会は何ら関与していない」としている。
回答は学会の門田淳一理事長名で、「担当する書店に、岩田教授の書籍を取り扱わないよう指示したことは事実」と認め、「会長や関係者が不当な介入を行うことがないよう通達する」と今後の再発防止を約束している。
指示を出した理由について、二木教授は取材に「岩田先生の著書は高く評価しているが、考え方が違うところがあった。(販売を禁ずるのは)総会会長の裁量の範囲内と思っていたが、やり過ぎてしまった」と話した。
一方、岩田教授は「意見が違えば論争するのが学問であり、権力を使って著書を排除するのは不当な圧力そのものだ。責任の所在もいいかげんで到底納得できない」と憤っている。【千葉紀和】