韓国:MERS死者10人 感染拡大防止、今週末が山場

毎日新聞 2015年06月11日 21時20分(最終更新 06月12日 00時50分)

MERSの死者が感染前にかかっていた病気
MERSの死者が感染前にかかっていた病気

 【ソウル米村耕一】韓国保健福祉省は11日、中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスに感染した男性(65)が新たに死亡し、死者が計10人になったと発表した。感染者は前日から14人増の計122人。これ以上の感染拡大を抑え込めるかは、今週末が山場になるとみられている。

 韓国では、中東から帰国した最初の感染者が5月中旬に入院したソウル郊外の平沢(ピョンテク)聖母病院が最初の感染拡大の発端となったが、同病院で感染した人は今月6日以降、確認されていない。

 一方、平沢聖母病院で感染し、2番目の感染拡大の起点となった感染者(35)がサムスンソウル病院の応急処置室に入院した5月末から、今週末で最長潜伏期間とされる約2週間を迎える。このため、第3の感染拡大を防げれば、徐々に沈静化することを期待できる。

 ただ聯合ニュースによると、保健福祉省幹部は11日の国会MERS対策特別委員会の審議で、第3の感染拡大の起点になる可能性のある感染者が3人おり、警戒を強めていることを明らかにした。いずれも、5月末にサムスンソウル病院で感染した患者だ。

 そのうちの1人は、5月27日にサムスンソウル病院の応急処置室を訪ね、今月10日に韓国中部・大田(テジョン)の病院で死亡した男性(62)。8日に感染が確認されるまでの10日間ほど、大田周辺にある複数の病院を自由に出入りしていた。保健当局は、男性と接触した可能性がある医療関係者や患者を隔離し、危険性の高い病院は閉鎖した。他の2人の移動経路についても、同様の措置を取っているという。

 一方、11日までに死亡した10人は、感染前から何らかの疾患を抱えていた高齢者がほとんどだった。医師免許を持ち、医療取材を専門とする朝鮮日報の金哲中(キム・チョルジュン)記者は「呼吸器や内臓などに疾患を抱える患者にとっては危険性が高いが、健康体であれば、それほど恐れる必要はない可能性もある」と話している。

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