独政府がギリシャに助け舟か、チプラス首相は銀行資金確保
2015/06/11 10:51 JST
(ブルームバーグ):ギリシャへの融資再開に向けた同国と債権者の協議で双方が交渉の立場を硬化させる中、ドイツのメルケル政権がギリシャに助け舟を出すことを検討していると、事情に詳しい関係者2人が明らかにした。メルケル首相は10日夜、ブリュッセルでギリシャのチプラス首相、オランド仏大統領と会談した。
ギリシャの金融システムが破綻の危機にひんし、チプラス首相に時間切れが迫る中で、メルケル政権はギリシャが債権者の要求リストのうち、まず一つの改革を受け入れれば救済資金の供与に賛同する用意があるもようだ。独仏ギリシャの首脳会談は2時間続き、11日未明に終了した。
ドイツ政府報道官はそのような取引を同国は検討していないとし、債権者側の欧州委員会、国際通貨基金(IMF)、欧州中央銀行(ECB)の3機関の提案以外は受け入れないと述べた。ドイツはブリュッセルでの首脳会談について、ギリシャが協議に「一段と真剣に」取り組むことに同意したと説明した。同会談は事態打開には至らなかった。
ギリシャ支援プログラムの失効を月末に控え、ギリシャと債権者は合意に向け行動を迫られている。欧州連合(EU)と中南米カリブ海諸国共同体(CELAC)のサミット参加のためブリュッセルに到着したメルケル首相は記者団に対し、「意志あるところに道は開ける」と述べた上で、「目標はギリシャをユーロ圏に残留させることだ」と語った。
格下げ格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は10日、ギリシャの長期ソブリン格付けを従来の「CCC+」から「CCC」に引き下げた。IMFへの返済延期はギリシャ政府が債務返済よりも年金や国内支出を優先していることを示すと発表資料で説明した。
フランク・ギル氏率いるS&Pのアナリストらは同資料で、「公的債権者と合意できなければ、ギリシャは1年以内に」デフォルト(債務不履行)に陥る可能性が高いと指摘。「名目国内総生産(GDP)の好転と公共セクターの抜本的改革なしではギリシャの債務は持続不可能だ」と述べた。
ギリシャ政府当局者は10日にアテネで、改革プログラム策定のための時間を得るため、同国は支援プログラムの9カ月延長を望んでいると語った。また、チプラス首相が債権者側にこれ以上譲歩するのは難しいと説明した。
ECBは、ギリシャの銀行向け緊急流動性支援(ELA)の上限を830億ユーロ(約11兆5000億円)と、従来の807億ユーロから引き上げることを10日の電話会議で決定した。引き上げ幅はこの約4カ月で最大。事情に詳しい関係者によると、ECBの決定前にギリシャの銀行の手元資金は約7億ユーロまで減っていた。
原題:Merkel Considers Greek Options as Tsipras Wins Aid for Banks(抜粋)
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更新日時: 2015/06/11 10:51 JST