出身作家インタビュー
ここでは、電撃小説大賞に応募し、デビューした作家さんに突撃インタビューを行います! あこがれの作家さんたちはどのようにして受賞したのか、貴重な経験を聞いて、作家デビューへの第一歩につなげよう!
第42回 川上 稔
プロフィール
1975年1月3日生まれ。東京出身。第3回電撃ゲーム小説大賞応募作『パンツァーポリス1935』で〈金賞〉を受賞し作家デビュー。代表作は『都市シリーズ』『終わりのクロニクル』『境界線上のホライゾン』等。コミック作品『激突のヘクセンナハト』の原作を手がけるなど、精力的活動中! 最新作『GENESISシリーズ 境界線上のホライゾンVIII〈下〉』(電撃文庫)が6月10日に発売!!
- 小説を書き始めたのはいつ頃からですか?
-
以前は中学校くらいから、と答えてた気がしますが、今、当時のを見てみるとコレは小説とは言えない別の何かな上にビミョーに読めてしまったので今でも書けてない気がします。
つーかぶっちゃけ、この質問って意味あるんでしょうか……。早く書き始めてたら凄いのか、って訳でもないでしょうし。(先生! 川上君が空気読んでません!)
- 受賞するまでの投稿歴を教えてください。
-
某レーベルとかに出したんですが、凄い昔、電撃編集部に渡ってきたそっちの担当さんと話をしたら「あれ、それ知らない……」と言われたので、届いてなかった疑惑が。
二、三回目で電撃に出して最終選考で落ちて、次でまた電撃に出して受賞……、だったかな……。
- 電撃小説大賞に応募しようと思ったきっかけ、理由を教えてください。
- 〆切りが近かったから。
- 受賞作のアイデアは、何から着想を得たのでしょうか?
-
自分が当時作ってた世界観から、段階的に。
でも書いてるときは「あ、テラクレスタっぽいとか思ってたけど、ダーウィン4078かコレ!」とかビミョーに思った記憶が。ケーニギンがギャシャルルあたりかなー。
- 受賞作を書く際に心がけていたこと、工夫したこと、苦労したことを教えてください。
-
発想などの才能が無い人間なので、世界観、キャラ、物語、それらを思いついたとき「ハイ書こう!」ってやると、”お察し”程度のものが出来てしまいます。
だからちょっとそれを前に置いて「この素材を使って、尚、これは思いつかなかった」というものを作ろうと思案しました。そこまでやって、他の人と同じレベルだろう、と。
つまり「自分なりに考えた世界観、キャラ、物語」を前にして「この設定類でやるべき内容」ではなく「フツーやらないけど面白そうな事」を仕込む、という事ですが、これを段階的に積み重ねていくと、最終的に凄く飛躍した内容になります。
まあつまり、自分が面白いと思っても、そこで満足してすぐ書くなって話ですね。
- 応募した後、各選考段階の発表などはチェックしていましたか? 結果を待っている間はどんなお気持ちでしたか?
- 第二回の時、最終選考まで行って落ちたのもありまして、三回目のときは「別に落ちても趣味で書き続けれるなあ」的な開き直りがあり、サッパリ忘れて別のもの書いたり、空前のチャリンコブームがワタクシに到来。時代先取りだ。箱根へのチャリ旅行は楽しかったですね……!
- 受賞の決め手は何だったと思いますか?
- 授賞式で委員長の高千穂先生から「君、前も最終選考残って、しつこいから。他の委員の人も、この人多分また来るよって言ってたし。でもちゃんと実力上げないと駄目だよ」みたいなこと言われたのがソレだと思いますが、後ろの方はさっきまで忘れてた気がします。
- デビュー当時の思い出などを聞かせていただけますか?
- 「あー、そう」みたいな周囲の反応。こっちも、まあそんなもんだよなー、的な。
- デビュー後、小説を書いていて大変だったこと、また楽しかったことはありますか? それぞれ教えてください。
-
読みたいものを書けるようにするための環境整備が一番大変というか、自分がどういうもの作って、それをやるとどういう結果を出せる人間かを示して、編集側とお互い理解していく事が大変なんですが、これこそが、”プロ”作家の本質な気も。
たとえば厚さなども、デビュー当時から印刷所的に450位は行けると言われていて、今の担当さんといろいろ話し合ったりで「そこまでは誰でも行ける。そこからだな」というスタートから、十数年掛けて今に至ってます。
本作るのは個人作業ですが、販売する際は作家も含めての集団作業なので、そこも見越した視線と、売る側の言い分も理解しないと、作るだけ作っても外に出せません。それを理解して遣り取り重ね、結果も繋げていくと、読みたいものを出せる形で書けるようになっていきますし、周囲も推してくれます。
兼業作家がここら強いのは、他業種とのコミュ能力を持っているからですね。
だから「川上稔は特殊ケース」は無いです。コミュって結果出していけば、誰でも出来ることしかやってませなんだ。
楽しいのは、やっぱ書いてる時間と書くことに費やしてる時間と、息抜きとなる時間の全て。
- 小説を書く上で、普段から心がけていること、大事にしていることはありますか?
-
1:徹夜はスポーツ。
2:否定するより「”それ”を面白くして、理解してもらうにはどうしたらいいか」を出す。何故なら”それ”をやりたいのは譲れないし「面白ければ何でもあり」なのだから。
3:合わなきゃ合わないで無理しない。合ったら握手。焼き肉食うか。
4:自分が作るものはまず自分が面白いと思っていること。他が同意してくれたら奇跡。
5:四の五の言わずにいいから書け。話はそれから。
- 作家になってよかった、と実感するのはどんな時でしょうか?
- 読みたいものを仕事として書き続けていいのだということと、才覚も何も無しで好き勝手やってるような自分の作ったものを、読んでくれる人がいるという事実が実感できる時。いやホント、皆様どうも有り難う御座います。
- 最後に、これから電撃小説大賞に応募する方々へひと言アドバイスを!
-
つーかホント、自分みたいなのが前線で十数年続けてられるくらいにはユルい現場なので、とりあえずまあ、応募される方々は、つまり、どうしたらいいんだろうか……。
とはいえ、今でも作風の変化とか、いろいろな発見とかあるので、本(話)を作るということ自体には凄い深さがあるのだと思います。だから大事なのは長く続けていくことと、自分に見切りを付けないこと。身体能力関係ないので、諦めなければ終わりませんし、そうするためにはまず書いてて楽しいことが大事。
作家の本当の個性とは、「どういうものを書いてやろう」として出たものではなく、「書いていて楽しいもの」を書いて出たものだと思います。そのフィーリングを忘れないように続けて頂ければ、と。