子供向けプログラミング教室を開催した中学1年生、大人たちにも知ってほしい新しい学習の形とは
6歳のときに父親から古いパソコンを貰い、10歳のときにプログラミングの本と出会い、小学6年生で中高生国際Rubyプログラミングコンテストで優勝した山内奏人氏。山内氏は「子どものことを一番理解しているのは子ども」という考えのもと、子ども同士で教え合うことが一番簡単な学習方法であると語りました。(TEDxKids@Chiyoda2014 より)
- スピーカー
- プログラマー 山内奏人 氏
小学生でプログラミングコンテスト最優秀賞を受賞
山内奏人:昨年、僕はプログラミングコンテスト(中高生国際Rubyプログラミングコンテスト2012)で最優秀賞を受賞しました。なので、子どもですが、プログラマーです。今日は、自分の経験から全く新しい学習スタイルをご紹介します。
僕は幼い頃から物を作るのが大好きで、いつもブロックや積み木で遊んでいました。
6歳のとき、父から古いパソコンを貰いました。
そのパソコンでストップモーション・アニメーションやニュースレターなどを作って楽しんでいました。8歳頃にこれを作りました。
<ストップモーションアニメが流れる>
(会場拍手)
プログラミングが魔法の杖のように思えた
10歳のとき、図書館でプログラミングの本と出会いました。
皆さんはこれを見て何を思うでしょうか? 僕はすっかり惹きつけられました。(魔法使いの杖を取り出して)まるで魔法の杖のように思えたからです。
これを学んだら、好きな物を何でも作ることができるのです。それ以来、プログラミングに熱中し、今では中学生になりました。
ある朝、興味深いニュースを目にしました。
日本の安倍晋三政権がアベノミクス「3本の矢」というスローガンを発表したというのです。第1の矢が大胆な金融政策、第2の矢が機動的な財政政策、そして第3の矢が成長戦略です。
成長戦略を達成するために、安部首相は「今後もIT戦略は、成長戦略の大きな柱である」と述べました。
そのとき、第3の矢の政策を聞いて、僕は思いました。「子どもプログラマーである僕が、世界のために何ができるだろう?」と。
子どものことを一番理解しているのは誰か
浮かんだ答えは「自分のプログラミングスキルと知識を、他の子どもたちと分かち合うべきだ」というものでした。子ども向けに、簡単なプログラムの仕方のワークショップを開いたらどうだろうか?
でも、どんなワークショップにしたらいいでしょうか? 子どもを対象にプログラミングを教えることはできます。子どものことを一番よく理解しているのは誰でしょうか? 両親でしょうか? 違います。先生でしょうか? 違います。
答えは、子どもたち自身なのです。
同じ年代なので、対等な立場でスキルや知識を分かち合えるはずです。この答えに行き着いたあと、僕は動き出しました。まずはクラスメイトにプログラミングの楽しさを紹介しました。僕の考えを伝えるうちにクラスメイトも賛成してくれるようになり、”It is IT”というプログラミンググループができました。
この名前には「ITこそが将来、もっと多くのことを学ぶためのツールとして役に立つだろう」という願いが込められています。スローガンは「子どもの、子どもによる、子どものためのプログラミングワークショップ」に決めました。
学校の先生方も僕たちの計画に賛成し、応援してくれたことで、大いに励まされました。
子ども同士で教え合う学習スタイル
先月、僕たちは学園祭で、子ども向けのプログラミングワークショップを開きました。
そこではScratchというプログラミング言語を使い、ゲームの作り方を説明しました。
ワークショップは大成功を収めました。
参加者はオリジナルのゲームを作り、プログラミングを楽しみました。
ティーンエイジャーだけでなく、幼稚園児や大人も僕たちのワークショップに参加してくれました。
僕は、子どもにしかできないことがあると信じています。今日、皆さんにワークショップについてお話しましたが、これは一つの例に過ぎません。
「子ども同士で教え合う」というこの新たな学習スタイルは、他の分野でも役立つでしょう。この図をご覧ください。緑の丸が教師を、黄色の三角形が子どもを表しています。
現在では、大人が全て指導するのが普通です。でも、僕は子どもにも特別な能力があると思うのです。子どもがスキルや知識を身につけるのを手伝うことができるのは、僕たち子どもです。
実際、子ども同士で教え合うことは、子どもにとって一番簡単な学習方法かもしれません。
なぜなら、楽しみながら学習できるからです。
ですから、皆さん、この新たな学習スタイルを広めるのを手伝ってください。僕たちに必要なのは、情報を共有する機会、そして先生や両親など大人からのサポートです。
どうか僕たちのスキルを、知識を、何よりも可能性を信じてください。
ありがとうございました。