あるテレビ番組で、非行少年少女を積極的に雇っているガソリンスタンドを紹介していました。
今の時代、町中に「防犯カメラ」の設置が当たり前になっている時代にあって、そこのガソリンスタンドは、経営者が元非行少年少女を積極的に採用し(働きたいと言って来るものは断らない)、売上金の計算も彼らに任せる。誰もいない店内で、17歳の元非行少年だった男性が一人で売り上げを計算していました。もちろん、そこには防犯カメラもなく、先輩や店長が「監視」しているわけでもありません。全く一人でその仕事をまかせているわけを、経営者は「信じているから」といともあっさりと笑顔で答えていました。
もちろん、これまでも何回か、そういうことをさせても売上金を持っていかれたということはあったそうですが、そうやって再び刑に問われたあとも、またここで働きたいと懇願した少年を再度雇用してきたそうです。
「裏切られることもあるが、裏切られても、また反省して働きたいという子は採用している。その中で彼らも何か考えが変わるんじゃないかと期待して・・・。裏切りよりも、「信じる」ことで(少年少女たちが)変わっていくことの方が多いから。騙されても信じる」と言う経営者。
17歳の少年は、インタビューで「こんな僕でも雇ってくれて、裏切れない」と言っていました。
まだ少年、ましてや元非行歴がある少年に一人で店の売上の計算を任せることじたい、本当に彼らを信頼していなければできることではないでしょう。
またそこのガソリンスタンドでは、従業員のほとんどが非行歴のある人を雇っているのですが、それを地域の人にも公言しているのです。だから、地域の人たちもそういう人たちが頑張って真面目に仕事に取り組んでいる姿を見て、声をかけたり温かく見守ってくれているのでした。
人が変わる要素があるとすれば、「信頼関係のある出会い」があるかに尽きるのではないかと思います。
非行歴があるというだけで、周りの人たちの見る目がいつまでも偏見に満ちて接していれば、自己肯定感などなく非行を繰り返すかもしれません。
人を育てることは「信じること」、リスクを抱えながらも、それでも「信じる」というこの経営者は、本当の意味での彼らの「支援者」だと心から思いました。
口先だけの「支援」、偏見に満ちた「支援」のなんと多いことか(特に、その道のプロだと称している人ほど、相手を信用せず、自分の支援を強引に押し付ける)。そんなことを感じる生活の中でのこの番組を見ていて、こういう人間観を持ちたいものだと、勉強させられました。




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