「中国のグーグル」とも呼ばれる「百度(Baidu)」が先日、ある種のルール違反を理由に、世界的なAI(人工知能)コンテストへの参加を禁じられた。背景にはAI商用化を巡る巨大なビジネス・チャンスと、人材獲得合戦など加熱する競争がある。
●"Computer Scientists Are Astir After Baidu Team Is Barred From A.I. Competition" THE NEW YORK TIMES, JUNE 3, 2015
アカデミックなイベントから企業競争の舞台に
今回の出来事の舞台となったのは、「ImageNet Large Scale Visual Recognition Challenge (ILSVRC)」と呼ばれる画像認識のコンテストだ。コンピュータやロボットなどが写真や動画など画像を解析し、そこに映っているものが何であるかを識別する「画像認識」の技術は、長らくAIの主要な一分野を成してきた。
ILSVRCはそうした画像認識の分野ではよく知られたコンテストだが、当初は世界各国の大学をはじめ学術関係者による内輪のイベントに過ぎなかった。ところが2012年、トロント大学(カナダ)の研究チームが「ディープラーニング(ディープ・ニューラルネット)」と呼ばれる画期的なAI技術を携えて参戦。この技術によって、それまでの画像認識の記録を大幅に塗り替えた。この頃からグーグルやマイクロソフトなど巨大IT企業も同技術に注目し、ILSVRCにも積極的に参加するようになった。
ディープラーニングは、脳科学における大脳視角野の研究成果を本格的に導入した最初のAIでもある。従って、これが画像認識の分野で優れたパフォーマンスを示すのは自然な展開だ。が、驚くべきことに、この同じ技術が画像認識だけでなく、音声認識や自然言語処理、ひいてはロボット工学や新薬開発など、様々な領域においても極めて有効であることが、次第に分かってきた。
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