ホメオパシーとは「健常人に病気をひき起こす物質を使って、その病気を治療できる」とする仮説で、ドイツ人医師サムエル・ハーネマン(1755-1843)が提唱しました。本論文は、欧州生殖医学会誌(Hum Reprod)の編集長がホメオパシーについての公式見解を述べたものです。
Hum Reprod 2015; 30: 1279
要約:サムエル・ハーネマンは様々な仮説を提唱したいわば「学説のヒト」です。コーヒーは薬剤と同等の効果があると「コーヒー説」を唱えたかと思えば、次には身体の老廃物の蓄積によって慢性疾患が発症すると「乾癬説」を唱えました。その仮説のひとつが「ホメオパシー」です。現在までにホメオパシーに関する論文は5000件以上発表されています。しかし、2005年、Lancet誌は110論文のメタアナリシスにより、ホメオパシーの効果はプラセボ(偽薬)群と同等であると結論しました。2015年、オーストラリアのNHMRC(厚労省に相当する機関)は225論文のメタアナリシスにより、ホメオパシーの効果はないことを示しました。このように「ホメオパシー」は科学的根拠のない仮説です。少なくとも生殖医学の領域(Hum Reprod誌)ではホメオパシーに関する論文を今後一切取り扱わないことにしました。
解説:ホメオパシーの治療には、病気をひき起こす物質を極度に希釈(10の60乗)した成分を砂糖玉に吸い込ませた「レメディ」を投与することによって、病気の治療をめざすものです。この希釈倍率ではすでに元の物質は残っておらず、ホメオパシーの「レメディ」は単なる砂糖玉でしかありません。しかし、ホメオパシーの理論によると、元の物質が残っていなくとも「物質のパターンが水に記憶される」ため治療効果があるとされています。 結局のところ、ホメオパシーはプラセボ以上の効果は期待できず、代替医療としての可能性は否定されています。