渋井玄人、斉藤太郎
2015年6月11日05時13分
安倍政権は自衛隊の任務を安全保障関連法案で大きく広げようとしている。国会で言葉が飛び交い始めた「命」や「リスク」に自衛官はどう向き合い、法案審議をどう見ているのか。新人の訓練や、殉職者の慰霊の現場を訪ねた。
「戦闘準備」「準備良し」――。10日、愛知県豊川市の陸上自衛隊の演習場に大声が響いた。4月に入隊した自衛官候補生と呼ばれる新人は、3カ月の訓練を経て自衛官になる。この日、8日からの実戦的な訓練の成果が初めて試される「練度判定」に臨んだ。
2人1組で互いに援護射撃しながら、30分かけて約200メートル先の敵陣に攻め込む。後ろに試験官が立ち、動作を細かく判定する。
「前へ」と候補生らは叫び、4、5メートル先の、ひざ上ほどの盛り土へ中腰で素早く移動。隠れながら進む。身を4秒以上さらすと撃たれる可能性が高まるといい、100メートルも進むと迷彩服に汗がにじむ。
盛り土の間隔が遠く腹ばいの時も、かかとが立ち高さ約20センチになると狙われる。肩で息を始めた候補生には、かかとが上がったままの人も。「今、1人撃ち殺しました」。敵陣側の先輩自衛官が小銃を構えながら、記者に説明した。
残り:940文字/本文:1435文字
PR比べてお得!