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山中教授「難病治療は時間が必要」…ソウルで講演
2015年06月10日17時19分[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
9日に開幕した科学ジャーナリスト世界会議の講演で山中伸弥教授は流ちょうな英語で最新の研究成果を紹介した。(写真=科学ジャーナリスト世界会議組織委員会) |
世界最高の幹細胞権威者は雲をつかむような夢は語らなかった。その代わり「科学的ビジョン」を示した。自分が成し遂げた業績を誇張することもなかった。「弟子と同僚に大きな借りを作った」と謙虚に話した。
iPS細胞を開発し、2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞した京都大学の山中伸弥教授(53)の言葉だ。山中教授は9日、ソウルCOEXで開幕した科学ジャーナリスト世界会議(WCSJ)の最初の基調演説者として演壇に立ち、このように述べた。
iPS細胞とは、すでに分化が終わった人間の体細胞をあらゆる細胞に分化できる胚性幹細胞(ES細胞)状態に戻したものだ。女性の受精卵を利用するES細胞とは違って倫理的な問題がないため、現在、幹細胞研究に最も多く使われている。
山中教授は「研究する時間も不足している」とし、メディアや大衆の前にあまり姿を現さなかった。しかしこの日は違った姿を見せた。自分が率いる京都大iPS細胞研究所(CiRA)などの最新研究成果について丁寧に説明した。長く続く質問にも誠意を尽くして答えた。
山中教授はもともと整形外科医出身だ。しかし手術を下手で同僚から「じゃまなか」とからかわれたりもしたと自叙伝(『可能性の発見』)に書いている。山中教授は思い切って基礎科学者に進路を変更し、世界的な大学者になった。
山中教授はこの日、「医者になってからまもなくして父が亡くなった。その時に科学者になろうと決心した」と述べた。外科医が手術で治せない難病を治療するためだった。山中教授は「父のような人のために」と語った。講演を始めて最初に見せたものも父の生前の写真だった。