【ソウル=小倉健太郎】韓国大統領府は10日、14日からの朴槿恵(パク・クネ)大統領の訪米を延期すると発表した。中東呼吸器症候群(MERS=マーズ)の感染者は同日、100人を突破するなど拡大が止まらない。国内対応を優先して早期収拾に全力を挙げる考えだ。
大統領府の広報首席秘書官は「国民は不安を抱えている状況だ。国民の安全を確保するために訪米日程の延期を決めた」と説明した。朴大統領は14~18日に米国を訪れ、16日にオバマ大統領と会談する計画だった。実現すれば2回目の公式訪問となるはずだった。早期に日程を再調整するという。
韓国の保健福祉省が10日発表したMERS感染者数は死者9人を含め108人となった。1日で13人増えた。5月20日に初めて感染者を確認してから約3週間で100人を突破した。
感染者は当初、最初の患者が入院していたソウル郊外の平沢市の病院で院内感染により拡大したが、最近は落ち着きを見せている。一方、10日に追加された13人の患者のうち10人はソウル市のサムスンソウル病院で感染した。焦点はソウルに移っている。
感染経路はこれまでのところ病院内に限られていると政府は説明している。ただ、感染確認者が増えるにつれ、確定診断が出る前に患者が訪れた病院の数も増加しており、感染した可能性がある隔離対象者も増える一方だ。感染拡大に歯止めをかけられるかどうか「今週がヤマだ」と崔炅煥(チェ・ギョンファン)経済副首相は述べた。
政府は10日から全国の病院で、すべての肺炎入院患者を対象に、MERS発生病院を訪れたことがないかの聞き取り調査を始める。ソウル市などではMERSウイルスの検査も実施。MERS感染者を見落としていないかを点検する。
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