円安にMERSが追い打ち、韓銀総裁はどう動くか

迫られる利下げ判断

円安にMERSが追い打ち、韓銀総裁はどう動くか

 韓国銀行(中央銀行)の李柱烈(イ・ジュヨル)総裁は最近、周辺に「努めて冷静になろうとしている」と漏らしている。政府、財界、政界など全方位的に押し寄せる利下げ圧力を感じ、通貨政策のトップとして苦悩が深まっているからだ。最近の韓国経済は内需回復が遅れる中、円安が加速し、現代自動車など輸出型の大企業までもが揺らいでいる。さらに中東呼吸器症候群(MERS)という突発の悪材料も出現し、韓国経済を苦しめている。

 こうした中、李総裁が議長を務める韓銀の金融通貨委員会は今月11日の会合で6月の政策金利を決定する。景気低迷と円安に伴う輸出の減少などは利下げを後押しする要素だ。一方、1100兆ウォン(約123兆円)を超える家計債務は追加利下げを渋らせる要素だ。さらに、突然出現したMERSという悪材料は、李総裁の選択にどんな影響を与えるのか。韓銀関係者は7日、本紙の電話取材に対し、「現在李総裁にとって最大の悩みの種は、MERSが経済に与える影響だ。急激な消費低迷の懸念があれば、政策金利の決定に影響は避けられない」と述べた。

■李総裁の背中押す「円安+MERS」

 政府・財界は、円安の影響が本格化し、輸出が危機に直面する中、MERSによるショックまで加わり、経済主体の心理悪化を防ぐため、韓銀に先手を打つ形での利下げを期待している。しかし、韓銀は世界的な低成長、低物価、円安が利下げの効果を低減させており、利下げが市場で効果を発揮していないとして苦悩に陥った状態だ。実際に李総裁が昨年7月韓銀総裁に就後、政策金利を3回にわたり、計0.75%ポイントの利下げを実施し、過去最低の年1.75%にまで引き下げたが、輸出と内需がいずれも不振に陥り、成長率予測は引き続き下方調整が続いている。

 特に李総裁は、円安の加速化など激化する「為替戦争」に利下げで対抗すべきだとの論理には、安易に同意していない。李総裁は最近、私的な席で、「基準金利を下げ、ウォン安誘導すれば、国内に流入した海外資本が大規模に離脱するレベルの0%台まで政策金利を大幅に引き下げなければならない。(そうなれば)急激な外資の流出で株式市場が急落し、国家信用度が低下するという副作用が予想される」と懸念を示したもようだ。

李陳錫(イ・ジンソク)記者
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