韓国で猛威をふるう中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスの勢いが収まらない。感染者は死者7人を含む計95人、医療施設や自宅での隔離対象者は2500人を超えた。感染の疑いがあり自宅隔離対象とされた医師らがフィリピンに出国していたことも判明。ずさんな防疫体制があらわになるなか、韓国内では事態を悪化させた元凶として朴槿恵(パク・クネ)大統領の責任を問う声も上がっている。
収束の気配をみせないMERS禍の拡散阻止に向けて世界も動き出した。世界保健機関(WHO)と韓国政府の合同調査団は9日、文亨杓(ムン・ヒョンピョ)保健福祉相と会談。調査方針などを説明した上で活動を開始し、13日に調査結果を発表する。
調査団はWHOのフクダ事務局長補とソウル大医学部の医師が共同団長で、計16人で構成。感染者が出た医療機関を訪れてウイルスの特性を分析するなどの調査を行う。
一方、MERSをめぐって不手際を連発している韓国の保健当局が、またもやお粗末な対応をしていたことが分かった。
韓国メディアによると、自宅隔離対象とされた医師とその妻が、6日にフィリピンへ出国、7日に韓国に帰国していたという。感染の疑いがある人物の出国を阻止できなかったことになり、ウイルスが国外に広がる危険性もある。
この事態を受け、保健当局は隔離対象者の管理を強化すると表明したが、韓国国民の間では、MERS対策でリーダーシップを発揮できない朴政権への不信感が高まっている。