欧州野球狂の詩

日本生まれイギリス育ちの野球マニアが、第2の故郷ヨーロッパの野球や自分の好きな音楽などについて、ざっくばらんな口調で熱く語ります♪


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 今月8日に計画が発表されてから、欧州はもちろん日本の野球ファンの間でも話題となっているELBプロジェクト。大陸を横断した形の新たなプロ野球リーグを、2016年4月から立ち上げるという大胆なアイデアには、少なくない数の人々が注目と関心を寄せているようです。


 ところで、欧州の野球ファンたちはこの企画をどのように見ているのでしょうか?今回は、オランダの著名な野球ブロガーであるYankeebiscuitfanさんがELBについて綴った記事を、この場を借りて紹介してみたいと思います。現地で生まれ育ち、現地の野球コミュニティの中で生きてきた人々の視点でのELBの捉え方は、きっと示唆に富んだものであるはずです。


(以下和訳)

 先日、僕はある友人と新たに立ち上がったELBプロジェクトについて話をした。この人物が語った内容を、読者のみんなともぜひシェアしたいと思う。これは主に、このリーグをスタートさせるという決断をするに至った理由についてだ。


 そもそも、EAPBやELBという組織をまず立ち上げることとなったのは、アレンジメントをできるだけの力を持ったオフィシャルな組織を抜きにしては、欧州野球連盟(CEB)や各国の野球連盟、球団、将来的にスポンサーとなりうる企業などとの交渉を行うことが非常に困難だったためだ。


 そして、オランダ勢の2チームの中にL&Dアムステルダム・パイレーツが含まれていなかった理由は、次の通りとなっている。EAPBはまず、同じオランダの強豪であるキュラソー・ネプチューンズと接触した。もちろん、彼らの意向としてはパイレーツにも同様に接触を図りたかったところだが、スポンサーを巡る噂がその方針をヴァッセン・パイオニアーズとコンタクトするというものに変えさせた。パイレーツの親会社であるL&Dサポート社は、球団のメインスポンサーとしての関与の度合いを徐々に減らそうとしており、そしてパイレーツは彼らに代わる新たなメインスポンサーを見つけられずにいるとみられている。


 そういう状況を踏まえれば、パイレーツは球団の資金力に課題を抱えている現段階では、リーグへの参加に対して消極的になるというのは十分あり得る話だし、僕もそれは賢明な選択であると思う。もちろんこれは噂の域を出ない話であって、僕はその真偽について確証を持っているわけではないということは強調しておきたい。もしかしたら、EAPBはまず最初にパイレーツと接触することだっててきただろう。とはいえ、いずれにせよ既にディシジョンは下されたわけであって、今更それを変えることなどできないんだ。リーグは1か国につき2チームを参加させるという意向を決めているわけで、ネプチューンズとパイオニアーズが既に「オランダ枠」を埋めている以上、パイレーツが今更出てくるのは他国にとっておかしな話だろう。「俺たちは2チームしか供出できないのに、なぜオランダはそれ以上許されるのか?」とね。


 オランダにおける野球の将来は、決して明るいわけではないと僕はみている。2011年のワールドカップでオランダ代表が優勝した時、残念ながらオランダの子供たちを野球に十分にひきつけることはできなかった。2013年WBCでベスト4に入った時もそうだ。他競技のオランダ代表が活躍した時には、それは人々に対して大きなインパクトを与えるしクラブにも多くの新しい参加者が集まるようになる。しかし、何故か野球はそうではないんだ。これはKNBSBが、自らのチームの成功を正しく世に伝えられていないからか?それとも、ビギナーにとって野球というスポーツは難しすぎるんだろうか?僕にはわからない。しかし、20年前と比べて競技人口が減っているのは確かな事実だ。


 じゃあそこで考えてみよう。ヨーロッパでプロ野球をスタートさせるのは賢い選択だろうか?非常に難しい質問だと思うね。イタリアのプロリーグであるIBLは、安定的な運営のために非常に多くの苦労を強いられている。イタリアの強豪チームであるネットゥーノは、参加球団の数が偶数になるように同じフランチャイズから2チームで参入している状況だ。これは非常に異様と言わざるを得ない。もし1か国で展開されているプロリーグが運営に苦しんでいるなら、果たしてヨーロッパリーグは永続できるだろうか?


 ただ確かなのは、欧州の地において野球というスポーツが生き残るためには、何かしらの対策を打つことが必要だということだ。もしかしたら、ELBは構想どまりで旗揚げできずに終わるかもしれないし、仮にスタートしても1年か2年で終わってしまうかもしれない。そういった可能性があることを僕は否定しないよ。でも、例えそうなったとしても何かを僕たちはしなければならないんだ。


 子供たちに野球をプレーさせるための道はただ一つ、彼らや彼女らをこのスポーツに引き込むことだ。アメリカのマイナーリーグのような雰囲気を持っている試合の合間に、彼らをイニング間のパフォーマンスに参加させること以上に有効な手が、果たしてあるだろうか(少なくとも僕には思いつかない)?しかし、ここでも考えなければならないことがある。ELBの試合が平日に行われるなら、試合は何時からスタートするんだ?小さな子供たちは、あまり遅い時間帯の試合には参加できないだろう。寝床に着く時間とバッティングするからね。これについては解決策が必要だ。


 しかし、もしELBが子供たちを球場に集め、イニング間のゲームに彼らを参加させて塁間競争なんかをやらせてあげることができたら、きっと彼らはそれを気に入ると思う。マイナーリーグの球団が持っているようなプロモーションプログラムも、それを助けることになるだろう。これらの取り組みは必ず広く周知されなければならない。テレビか、あるいはそれ以外の媒体かは分からないが、どちらにしても広告がなされる必要があるのは間違いない。もちろん多くのコストはかかるが、リーグの冠スポンサーを見つけられればそれは可能になるだろう。1つ間違いなく言えることは、ELBの参加球団はいわばそれぞれの国の代表としてPRされるべきだということだ。それによって、それぞれの国中の関心を集めることができるからね。


 ヨーロッパ野球には新しいインパルス(衝動)が必要だ。ロッテルダム、アムステルダム、ハーレム、ルーアン、レーゲンスブルグ、バルセロナ、ネットゥーノといった、伝統的な街単位での発展の仕組みよりも、さらに規模が大きな成長構造が必要なんだ。もちろん、全ての欧州の球団がELBに参加できるわけではない。しかしこのリーグがもし成功を収めることができれば、これは野球が再び成長していくためのきっかけになるだろう。その恩恵を受けるのは、小規模なクラブも同じことなんだ。


ソース:https://yankeebiscuitfansdutchblog.wordpress.com/2015/05/17/more-on-the-euro-league-baseball/

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