2015.6.10 11:30(1/2ページ)

【乾坤一筆】「私がルールブック」ミスターの復活支えた名審判の孫

【乾坤一筆】

「私がルールブック」ミスターの復活支えた名審判の孫

特集:
ベテラン記者コラム・乾坤一筆

 何年ぶりかも忘れた。過日、取材先で巨人・長嶋茂雄終身名誉監督(79)と遭遇。久々すぎてこちらはガチガチに緊張していたが、目と目が合った瞬間に溶けた。

 「あらま!? どうしちゃったんですか!? 仕事のしすぎですよ」

 長嶋さんは左手で自身の頭をさすり、昔のように接してくれた。記者は1993年、第2次長嶋政権発足時の巨人担当キャップ。当時、フサフサだった頭髪とはその後、諸事情で別れた。戻って来る気配(毛生え!?)もない。それをごまかすため、丸刈りにしているところを、見事に突かれてしまった。

 脳梗塞を患い、一時は生死の境をさまよった長嶋さんの生き生きとした姿に驚いた。周囲から「昔の記憶もしっかりしている」と聞いてはいたが、実際に再会して、それを確信した。

 もちろん、驚異的回復の背景には、壮絶なリハビリがある。長嶋さんが現在も通う東京都内の専門施設で担当した理学療法士が、実はそのキーマンなのだ。

 「俺がルールブックだ!!」。かつて、プロ野球界には二出川延明(にでがわ・のぶあき)さん(1901-89年)という名審判がいた。大試合での微妙なジャッジに、大監督から判定での猛抗議を受けた際、きぜんと「俺が…」の名セリフで退散させた逸話が残る。

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