韓国で中東呼吸器症候群(MERS)の感染拡大が続き、最近韓中両国による共同イベント2件が中止された。中国国務院新聞弁公室は8日から12日まで北京などで開く予定だった「第7回韓中メディア幹部フォーラム」を突然延期した。また、大韓貿易投資振興公社(KOTRA)によると、11日にソウル市のロッテホテルで開かれる予定だった「2015韓国企業北京投資説明会」も無期限延期された。北京市投資促進局が北京地域の企業人と韓国の企業人による情報交流、ビジネスチャンス模索のために企画したイベントだった。当初計画では北京市の公務員や企業関係者200-300人が参加する予定だった。中国側はMERS感染を懸念し、延期を求めたとみられている。
中国側の対応は自国にMERSが広がることを防ぐというのが名分だ。しかし、世界保健機関(WHO)は今回のMERS感染拡大に関し、韓国に対する旅行制限を勧告していない。一般観光客が個人的に心配で韓国訪問を取りやめるならともかく、中国当局が公式なイベントまで中止するというのはいくら考えても行き過ぎで、両国の信頼関係に役立たない。
こうした中、中国全国人民代表大会(全人代)の張徳江常務委員長が予定通り11日から13日まで鄭義和国会議長の招きで韓国を訪れるというのは幸いなことだ。
2003年に中国で新型肺炎SARSが広がり始めた際、中国政府は感染者数を隠ぺいし、実際より少ない数字を発表するなどして、感染拡大を招いた。しかし、韓国政府は当時、30万ドルを支援するなど、中国のSARS撲滅を積極的に支援した。最後まで現地滞在韓国人に退避を求めず、中国人への入国ビザも発給した。中国はその当時のことをもう忘れてしまったようだ。