逃げた理由は「任意保険に入ってなかった」

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 北海道砂川市で一家5人が死傷した事故で、長男をひき逃げした疑いで逮捕された男は「事故前にビールを1杯飲んだ」と供述している。しかし、警察に出頭した際、男からアルコールは検出されず、ひき逃げについても容疑を否認している。

 古味竜一容疑者(26)は、砂川市で6日に永桶昇太さん(16)を車で引きずって立ち去ったとして、ひき逃げの疑いで逮捕された。警察の調べに対し、古味容疑者は「事故の前に砂川市内の居酒屋でビールを1杯飲んだ」と供述している。昇太さんの死因は、古味容疑者が運転するトラックにひかれて胸などを圧迫されたことによる窒息死だった。

 居酒屋には、古味容疑者と友人だという27歳の男性ら5人がいて、その後、古味容疑者のトラックと27歳の男性のRV車に分乗し、隣の北海道滝川市に向かった。警察は、この2台がトラックとRV車の可能性もあるとみて関連を調べている。

 事故はまず、RV車が交差点で軽ワゴン車と出合い頭に衝突。警察によると、この時、RV車は赤信号を無視して交差点に進入した可能性が高いという。この事故で、はじき飛ばされた軽ワゴン車に乗っていた永桶弘一さん(44)と妻の文恵さん(44)、長女・恵さん(17)が死亡、二女(12)が重体となっている。RV車はその後、街路灯にぶつかり炎上。乗っていた27歳の男性ら3人は軽傷を負ったが、外に出ていて無事だった。

 警察によると、昇太さんは車の外に投げ出されたが、この時点では息があったという。しかし、その後、古味容疑者の車に約1.5キロにわたって引きずられている途中で死亡したとみられている。古味容疑者は警察の調べに対し、逃げた理由について「任意の自動車保険に入っていなかったから」と説明しているという。

 また、その後の取材で、古味容疑者は事故後に友人宅に行き、運転していたトラックを放置していたことが分かった。友人に別の車で自宅まで送ってもらったという。

 さらに、古味容疑者は事故後、最初に軽ワゴン車と衝突してケガをしたRV車の運転手らに会っていたという。古味容疑者が警察に出頭したのは事故から約10時間後で、この時、アルコールは検出されなかったという。警察はアルコール検知を避けるために事故後、逃走した可能性もあるとみている。

 一方、砂川市内の飲食店街では、古味容疑者が車で訪れて酒を飲む姿が度々目撃されていた。飲食店街近くの駐車場に事故を起こしたRV車や古味容疑者のトラックが止められていたこともあったという。

 警察はRV車を運転していた男性らからケガの回復を待って事情を聞くとともに、事故現場に古味容疑者を立ち会わせ、当時の状況などについて詳しく調べることにしている。